公益財団法人 日本野鳥の会

いのちを支える海を守ろう「カンムリウミスズメ保護事業」

カンムリウミスズメ写真:掛下尚一郎

無数のいのちを育む海――ところが、海洋環境は人間活動の影響で急速に悪化し、海洋生態系の上位にいる海鳥たちは、この60年間で7割も減少してしまいました(Paleczny, et al. 2015)。海に恵まれた日本は、世界でも有数の海鳥の生息地で、39種もの海鳥が繁殖していますが、いまや、その半数以上に絶滅のおそれがあります。

とくに、カンムリウミスズメという海鳥は、世界でも日本近海でしか繁殖していないため、このまま数が減り続けると、世界から姿を消してしまいます。日本野鳥の会は彼らを守るため、繁殖地を保全し、新たなヒナが海へと旅立つのを助けてきました。しかし近年、彼らの生きる海に、プラスチックごみによる深刻な汚染が迫っています。

カンムリウミスズメ(天然記念物、絶滅危惧Ⅱ類)

カンムリウミスズメ
写真:中村豊

カンムリウミスズメは繁殖期にのみ、無人島や岩礁に上陸し、岩の割れ目などに巣をつくり、2個の卵を産みます。約1か月後にヒナが孵化すると、次の夜には巣から離れます。まだ飛べないヒナは、ときに50mもの高さを転がり落ちながら、海をめざします。

ヒナたちの旅立ちに、美しい海を

カンムリウミスズメは、ウミスズメのなかまでは珍しく温暖な海域に生息し、日本近海の離島でのみ繁殖する希少な海鳥です。しかし、マリンレジャーによる繁殖地のかく乱、人間の活動により誘引されたカラスやネズミの侵入による捕食、混獲や油汚染などが影響して数を減らし、絶滅が危惧されています。

捕食されたカンムリウミスズメ成鳥と卵捕食されたカンムリウミスズメ成鳥と卵

種の絶滅は、海洋生態系のバランスを崩し、海の豊かさの喪失につながります。当会はカンムリウミスズメの保護活動を強化し、伊豆諸島での調査結果をもとに国や自治体に働きかけ、2010年には繁殖地である無人島2か所と周辺海域が国指定鳥獣保護区になりました。また、繁殖を助けるため人工巣の設置に挑戦し、2016年に世界初となるヒナの巣立ちに成功。以降、毎年新しい命を海へ送り出しています。

調査用センサーカメラに記録された人工巣とカンムリウミスズメ調査用センサーカメラに記録された人工巣とカンムリウミスズメ

しかし、ヒナが旅立つ海には、世界全体で年間1千100万トンを超えるプラスチックごみが流れ込み(The Pew Charitable Trusts, 2020)、細片化したマイクロプラスチックは、それ自体の添加剤や漂流中に吸着した有害な化学物質を運んでいることがわかってきました。日本近海にただようマイクロプラスチックの濃度は、世界平均の約27倍(Isobe, Atsuhiko, et al. 2015)もあると推計され、海洋生態系への影響が懸念されています。

マイクロプラスチック(1~4.75mm)の密度分布(モデルによる予測) Erikson, et al. 2014マイクロプラスチック(1~4.75mm)の密度分布(モデルによる予測) Erikson, et al. 2014

このまま、海鳥とともに豊かな生態系が失われ、海がプラスチックでいっぱいになってしまったら、私たち人間も安全な食や暮らしを失ってしまいます。健全な海洋環境を取り戻すため、当会は、カンムリウミスズメの保護活動を進めるとともに、プラスチックごみによる海鳥への影響の有無を調査し、プラスチックごみの新たな自然界への流出をゼロにするための政策提言を行ない、日本の海の生物多様性を守っていきます。ご支援をお願いします。

カンムリウミスズメと海を守るため、ご支援をお願いします

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当会の取り組み

人工巣を軽量化し、設置海域を拡大

人工巣によるカンムリウミスズメ繁殖補助の挑戦は、当会の調査により国内第2位の繁殖地と判明した伊豆諸島にほど近い静岡県下田市の無人島・神子元(みこもと)島で、2010年からはじまりました。2016年に世界で初めて人工巣を使った繁殖が成功し、2019年には軽量化した人工巣を福岡県・烏帽子島でも設置を開始。翌2020年には烏帽子島での初利用を確認できました。今後は、人工巣を活用し、繁殖数の増加や、過去に繁殖していた島での繁殖復活をめざしていきます。

地元の大学などと共同で烏帽子島にも人工巣を設置地元の大学などと共同で烏帽子島にも人工巣を設置

海鳥を対象に、プラスチックごみの汚染状況を調査

マイクロプラスチックが運ぶ有害な化学物質は、食物連鎖を通じてプランクトンから魚、海鳥へと蓄積され、生物濃縮されていることが科学的に示され、海産物を食べる私たち人間への影響が懸念されています。

当会では、海鳥を対象に、研究機関とともにプラスチック由来の有害化学物質の蓄積を調べていきます。日本近海に生息する海鳥の汚染状況を明らかにすることで、私たちの身近な海の状態を検証し、その調査結果も使って、これ以上のプラスチックごみ汚染を防ぐために政府に働きかけていきます。

カンムリウミスズメ人工巣がある神子元島に漂着したプラスチックごみカンムリウミスズメ人工巣がある神子元島に漂着したプラスチックごみ

笹川環境副大臣に「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を提出笹川環境副大臣に「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を提出

※その他の活動については、「カンムリウミスズメ保護の取り組み」をご覧ください

私たち一人ひとりの選択と行動が、世界の海といのちを守ることにつながります。
当会の活動を支えるなかまになってください。ご支援をお願いします。

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