大潟村野鳥観測ステーション
八郎潟(はちろうがた)干拓地は、かつて琵琶湖につぐ日本第二の広さを誇る湖であった八郎湖を干拓し、1977年にできた約17,203ヘクタールの広大な農耕地です。東部承水路、西部承水路、南側の八郎潟調整池に囲まれた多様な環境は、繁殖地あるいは渡りの中継地、越冬地として多くの鳥類に利用されています。
ここは、幻の鳥・オオセッカの繁殖が確認された「聖地」として、国指定大潟草原鳥獣保護区があり、保護区内には「野鳥観測ステーション」が設けられています。現在、干拓地及びその周辺でのオオセッカは激減してしまいましたが、チュウヒなどの貴重な猛禽等の繁殖は続いています。
さらに、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの生息地ネットワークの参加湿地でもあり、ガン・カモ・ハクチョウ類の越冬地及び渡りの中継地としては、特に重要な地域として位置づけられています。
日本野鳥の会秋田県支部では毎年6月と12月に探鳥会を実施しており、この干拓地のすばらしさを支部会員のみならず一般の皆さまと共有してきました。これまで230種を超える野鳥が記録されているこの干拓地を、「野鳥の楽園」として秋田県を代表する未来に残すべき探鳥地として紹介します。
秋田県南秋田郡大潟村
農耕地、草地
1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月
承水路や調整池では、カンムリカイツブリをはじめとする水鳥たちが繁殖を始め、草地ではチュウヒ、コヨシキリ、ホオアカ、アオジ、コジュリン、オオジュリンなどが繁殖します。また農道沿いの巣箱を利用してアリスイも子育てに励んでいます。
繁殖している鳥たちは雛が巣立ちはじめ、承水路では渡り途中のクロハラアジサシなど、また農地ではショウドウツバメやニュウナイスズメの大群に遭遇することもあります。
なんと言っても数万羽のマガンやヒシクイ(亜種オオヒシクイ、亜種ヒシクイ)の大群は圧巻で、近年増加しているハクガンは2,000羽を、シジュウカラガンは5,000羽を超えるまでになってきました。承水路の氷上にはオジロワシやオオワシの姿が見られ、農耕地にはケアシノスリやハイイロチュウヒ、オオカラモズなどの珍客が現れることもあります。
この溜池も東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの生息地ネットワーク参加湿地で、特に渡り鳥のガンカモ類保護のために重要な地域です。八郎潟干拓地と同様、多くのガン類の渡りの中継地で、クロツラヘラサギやオジロワシなどの貴重な野鳥も記録されています。また最近ではソリハシセイタカシギも観察されました。
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