三方五湖(みかたごこ)は、2005年にラムサ-ル条約湿地に登録されました。日向湖(ひるがこ)、久々子湖(くぐしこ)、菅湖(すがこ)、水月湖(すいげつこ)、三方湖(みかたこ)の5つの湖の塩分濃度がそれぞれ異なっており、多様な魚類が生息する湖となっています。また、周辺にはカモ類の餌場となる水田が広がり、ゆるやかな低山に囲まれています。
日本野鳥の会福井県は、古くから当地で探鳥会を開催してきました。湖周辺の公園や施設整備が進み、安心して探鳥会に参加できる環境がしだいに整ってきました。特に三方湖湖岸の「道の駅三方五湖」には2階の展望室に望遠鏡が備えてある「三方五湖自然観察棟」(県の施設)があり、寒い冬にも暖かい室内から湖岸の水鳥を観察することができます。
春にはシギ・チドリ類が立ち寄り、夏にはオオヨシキリやカイツブリ、カルガモが繁殖し、森林性の小鳥たちのヒナ連れの姿を見ることができます。
秋から冬にかけては、最近では1羽になりましたがオジロワシが越冬し、湖をねぐらとし、二番穂水田を餌場とするコハクチョウが100羽を超え、約10,000羽のカモでにぎわいます。特に、汽水湖で水深が浅く湖底が砂地の久々子湖では、ホオジロガモをはじめとした潜水ガモやカモメ類を多く見ることができます。
このように三方五湖は、冬季のカモ類とコハクチョウ類や海ワシだけでなく、一年を通じて森林性の小鳥からミサゴ、ノスリなどの猛禽類まで、多様な野鳥の観察ができる探鳥地です。
福井県若狭町・美浜町
湖
1月、2月、11月、12月
周辺の水田に水が張られて代搔きや田植えが始まると、渡り途中のシギ・チドリ類が立ち寄り、ヨシ原ではオオヨシキリがさえずり、カイツブリやカルガモの繁殖が始まります。ミサゴは盛んに湖に飛び込み、魚を獲る姿が見られます。
夏鳥たちと交代するかのように、カモ類がどんどん到着します。湖上空を飛ぶヒヨドリの大群は、時折出現するハヤブサを避けるために、湖面すれすれを飛んでいきます。晩秋からはコハクチョウが増え始めます。
多くの種類のカモやオオバン、カンムリカイツブリで湖がいちばんにぎやかになり、運がよければ上空を飛ぶオジロワシを見ることができます。
「道の駅三方五湖」の隣にある「縄文ロマンパ-ク」では、川の河口近くに六角屋根の東屋があり、階段を上がるとヨシ原付近の野鳥観察ができます。公園内には、水月湖で採取された世界標準のものさしを展示する「年縞(ねんこう)博物館」や「若狭三方縄文博物館」があり、見学ができます。
久々子湖の北端にある「美浜町レイクセンタ-」からは、走行音が静かな電池推進遊覧船が航行しており、船上からカモ類など水鳥を間近に観察することができます。水月湖、日向湖にまたがるレインボ-ライン頂上からは、三方五湖、若狭湾を一望することができます。
野鳥観察の後は、「三方温泉きららの湯」(若狭町中央)で疲れをいやすことができます。
湖周道路は幅が狭く樹木も迫り出しているため、自動車での通行はおすすめできません。農耕地での観察の際には、耕作者の通行の妨げにならないよう配慮をお願いします。
日本野鳥の会 福井県については、以下をご覧ください。