広島県鳥類目録(2024)340種中、八幡川(やはたがわ)河口付近で、海鳥を中心に約200種が観察されています。広島市西区と佐伯区の間で広島湾に注ぐ八幡川の河口は、多くの野鳥が集まる場所として知られてきました。かつては、汽水域に繁茂するアオサを主食とするヒドリガモが3,000羽いる場所として知られていました。
1980年代に入ると都市化の進展に伴い、広島港五日市地区湾整備事業による埋立て計画が生じました。埋立ては、河口干潟・前浜干潟の自然環境を保全するため、人工干潟・野鳥園の設置を前提に実施されました。人工干潟は1991年造成され、沈下対策の2期工事が2006年に施工されました。以来、日本野鳥の会広島県支部では、沈下計測や野鳥の飛来モニタリングを、継続して行なっています。埋立地内に設置される野鳥園は、埋立て造成地の利用とセットとなったため、今後(2025年以降)展開される見込みです。
日本野鳥の会広島県支部が発足した1981年の第1回探鳥会から、八幡川河口で毎月1回定例探鳥会を開催しており、広島県を代表する探鳥地です。広島県西部に位置し、100万を超える人口がある広島都市圏からアクセスが容易な地でもあります。今後開設される野鳥園とともに、河口に集まる多くの野鳥を身近に観察できる瀬戸内海広島湾の河口干潟で、ガンカモ類、シギ・チドリ類、サギなど水鳥を中心とした多数の野鳥を身近に観察できる場所です。
広島県広島市佐伯区五日市町
海、干潟、川/河原、池、草地
1月、2月、3月、4月、5月、8月、9月、10月、11月、12月
干潟を利用する代表種はシギ・チドリ類ですが、八幡川河口で観察されるシギ・チドリは4月末から5月初めの時期を除いては多くはありません。八幡川を代表するガンカモ類はヒドリガモが代表種でしたが、近年はオカヨシガモ、マガモ、オナガガモ、カルガモ、ヒドリガモと5種の陸ガモが各々100羽前後、河口干潟で越冬します。人工干潟の水面では、潜水ガモのスズガモ、ホシハジロの300羽以上の群れが、10月から4月に越冬します。冬季には、カンムリカイツブリやユリカモメ、カモメ、ウミネコ、セグロカモメのカモメ類4種と、近年多数のカワウの群れが見られます。夏のヨシ原では、オオヨシキリや近隣のツバメが集まる集団ねぐらが観察できます。
八幡川の西10km、廿日市(はつかいち)市に位置する野鳥飛来地です。支部の定期的な探鳥会を年2回程度開催しています。前浜干潟に生息する野鳥が観察できます。おすすめは春秋のシギ・チドリ類と冬のガンカモ類です。満潮時には、牡蠣の幼生を抑制する棚「カキひび」の上で羽を休める、多数のユリカモメやハマシギ等が観察できます。
御手洗川の対岸の世界遺産「宮島」は、紅葉谷公園、大元公園、包ヶ浦、標高535mの弥山(みせん)などで、山地の野鳥を観察できる見どころが多い場所です。大鳥居を望むコースをめぐる探鳥会も、年2回程度開催しています。
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