降水量が少なく渇水の多い香川県では、古くから雨水を利活用するため、多くのため池が造られてきました。
全国一の密度を有する香川のため池は、里山と共に地域の人々の生業(なりわい)と結びついた独特の風景となっています。
ため池は、田んぼの水を確保したり、洪水を調整したりする機能のほか、生物相を豊かにする水辺としての働きを併せ持っています。また、農業のサイクルに合わせて水位は変動し、毎年または数年に1度、「池干し」が行なわれます。このように「適度に管理する」という人の営みが池の機能を維持するとともに、生態系のバランスにも寄与しています。
このような環境は、順次いろいろな池で池干しが行まわれる秋から冬場にかけて、特に水辺を好む旅鳥や冬鳥に安住の場所を提供しています。しかし、再生可能エネルギーの導入加速化の必要性が叫ばれる近年、太陽光発電装置が設置される池が増えてきました。特に、その効率性から比較的大きな池が開発されるケースが増えています。これによりシギ・チドリ類やカモ類、サギ類などに影響が出ています。
クリーンなエネルギー源の確保は重要なことですが、先人が長い年月にわたって積み上げてきた讃岐平野のため池と里山の循環サイクルは、今後とも守っていきたいものです。
香川県一円
池、田んぼ/農耕地
1月、2月、3月、10月、11月、12月
水草の多い池ではカイツブリ、バンなどが繁殖しています。ミサゴは年間を通して見られ、出会える確率も高いです。
水を抜いた池では淡水湿地を好むイカルチドリ、コチドリ、タゲリ、アオアシシギ、ハマシギ、ツルシギ、トウネン、セイタカシギなどのシギ・チドリ類、マガン、ヘラサギ、クロツラヘラサギ、ナベヅルなどの大型の野鳥や、タヒバリ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイなどの小鳥類も立ち寄ります。また、近年はコウノトリの冬季の餌場、休息地となっています。
丸亀市田村池、八丈池、大窪池、金丸池、善通寺市前池、高松南部の小田池、坂瀬池など冬季に水を湛えた池には、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ミコアイサなどのカモ類や、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、オオバンなどの水鳥が多数渡来します。特にミコアイサの飛来数は、近県に比べて多くなっています。ミコアイサは丸亀市宝憧寺池(ほうどうじいけ)、新池、大池、高松市坂瀬池、平田池などにやってきます。
ため池近くの道路の多くは非常に細くなっています。車の走行には十分注意してください。また、駐車する位置も、地元の方の通行に支障をきたさないよう、十分注意してください。
日本野鳥の会 香川県支部については、以下をご覧ください。