濤沸湖(とうふつこ)は、網走市と小清水町にまたがった、淡水と海水の入り混じる汽水湖です。湖の北側には発達した砂州からなる「小清水原生花園」が広がり、湖畔ではスゲやヨシをはじめ、ミズバショウやハンノキ群落が生い茂る低層湿原を形成しています。湖の面積はおよそ900ha、周囲長は30kmに及びます。
濤沸湖は国指定濤沸湖鳥獣保護区や網走国定公園に指定されており、周辺ではタンチョウが繁殖していることや、春秋には多くのガンカモ類が渡来し、羽を休めることなどから、2005年にはラムサール条約湿地にも登録されました。濤沸湖では多くの野生の動植物が生息する傍ら、湿地環境が育む恵みである漁業も営まれています。代表的なワカサギやニシン、スジエビ漁をはじめ、ワカサギの人工ふ化放流事業やサケマスの遡上河川ともなっており、水産資源と漁業を支える貴重な水域でもあります。
夏にはエゾキスゲやヒオウギアヤメなどの多様な植物が湖畔を彩り、冬には結氷した湖面と遠くにそびえる斜里岳(しゃりだけ)をはじめとした世界自然遺産・知床の山影が相まって、四季折々の雄大な景色を楽しむことができます。
湖の西側には「濤沸湖水鳥・湿地センター」があり、濤沸湖周辺の動植物の情報を知ることができます。当センターでは濤沸湖のあらましが分かる屋内展示をはじめ、定期的な自然観察会が実施されたり、写真展や自然環境に関する企画展示などが行なわれたりしています。濤沸湖を訪れた際には是非お立ち寄りすることをおすすめします。
北海道網走市及び小清水町
海、干潟、湖、川/河原、森林、草地
1月、2月、3月、4月、5月、7月、8月、9月、10月、11月、12月
多くの渡り鳥にとって重要な中継地となっており、ヒシクイなどのガンカモ類をはじめ、シギチドリ類などがよく見られます。
濤沸湖周辺で繁殖するノビタキやシマセンニュウ、マキノセンニュウなどの草原性鳥類のさえずりを楽しむことができる季節です。例年、湖畔では子連れのタンチョウやカモ類が観察されています。鳥たちにとっては繁殖期の真只中ですので、遠くから観察するようにしましょう。
オジロワシやオオワシなどが湖面近くの魚やカモ類などを狙って、周辺の木々や結氷した湖面に佇む姿が見られます。原生花園では、コミミズクやハイイロチュウヒなどの冬に渡来する猛禽類もよく見られます。
「濤沸湖水鳥・湿地センター」で、さまざまな情報を見聞きすることができます。網走市街地からは車で20分ほどです。2kmほど西側には、多くのガンカモ類が中継する藻琴湖(もことこ)もあります。
濤沸湖周辺では、保護の指定状況の有無にかかわらず、動植物の採取が禁止されています。また、濤沸湖周辺にはヒグマなどの野生動物も多く確認されています。ゴミの投棄や餌やり行為は、人間と野生動物とのトラブルに繋がるため、絶対におやめください。カやブユも多いため、長袖、長ズボンの着用をおすすめします。
日本野鳥の会 オホーツク支部については、以下をご覧ください。