ここは約100年前、足尾銅山の鉱毒を沈殿させるため、当時あった谷中村を廃村とし、造られた遊水池です。渡良瀬(わたらせ)遊水地は全体の面積約3300haで、これは山手線の内側の約半分と同じ広さです。その広大な土地には人が住んでおらず、今ではほぼ遊水地でしか観察できない植物や昆虫がいるなど、動植物の宝庫となりました。遊水地の南に人造湖の谷中湖があります。谷中湖がハート型なのは、へこんだ部分に谷中村の跡地があり、お墓などもあったことから、子孫の方たちがこの場所を残そうと活動された結果です。ここは現在、史跡保全ゾーンとして整備されています。
東京から60kmと近いところにある広大な土地ということで、遊水地全体を遊園地化する構想が持ち上がり、また、全体を貯水池にするという計画もありました。そういった開発計画から遊水地の自然を守るため、探鳥会をはじめとした普及活動を関連団体とともに行ってきました。その活動が実を結び、現在では開発計画はなくなり、2012年7月に「ラムサール条約湿地」に登録されました。
栃木県支部では、史跡保全ゾーンと谷中湖北部を中心とした探鳥会を年4回。5月には、植物班・昆虫班・野鳥班と観察対象を分けた湿地のグリーンウェイブ観察会。8月には、ツバメのねぐら入り観察会。1月に初日の出探鳥会。2月に遊水地で越冬するワシタカ類の数を数えるワシタカカウント探鳥会と、時期や観察対象に工夫を凝らして観察会を行なっています。
栃木県栃木市藤岡町藤岡
川/河原、池、草地
1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月
ヨシ原でオオヨシキリ、コヨシキリ、カッコウなどが観察できます。8月になるとツバメのねぐら入りが見られるようになります。
チュウヒ、ノスリといった猛禽類の越冬地となっており、遊水地内のあちこちで見られます。谷中湖ではカンムリカイツブリ、ミコアイサといった水鳥が観察できます。
渡良瀬遊水地コウノトリ交流館では、近年繁殖しているコウノトリをはじめ、渡良瀬遊水地の情報発信を行なっています。
所在地:栃木県小山市下生井865-1
日本野鳥の会 栃木県支部については、以下をご覧ください。