国見山は、帯広市の中心地から北西に10km、音更(おとふけ)町と芽室(めむろ)町の境界に位置し、十勝川とその支流の然別川(しかりべつがわ)の合流点付近にあり、両河川によって削られて形成された丘陵地は、樹林性鳥類の観察適地になっています。
この丘陵地の森林は、郷土種のカシワ、ミズナラ、トドマツ等のほか、ストローブマツ等の外国樹種も植栽され、天然のカシワ林が保存された北海道森林管理局所管の自然観察教育林です。
名称の由来は、眼下に広がる十勝平野が見渡せることから、開拓の祖が「国見山」と名づけたとされ、日本野鳥の会十勝支部ではここを定点観察地とし、ほぼ毎年5月の連休頃に観察会を開催しており、2005年以降の記録だけでも約60種の野鳥を観察しています。
北海道十勝での野鳥観察は、木々の葉が繁る前の5月中旬頃までが最も適した季節で、春から初夏に向かう季節は、オオバナノエンレイソウやツバメオモト、ベニバナイチヤクソウなどの群落も見られ、草花と野鳥を同時に楽しむことができることも、国見山の魅力でしょう。
現在利用できる駐車場は芽室町側にあり、駐車場から山頂(標高差約130m)まで登ることができる展望台コースのほか、ゆるやかな坂道から尾根に通じるコースや外国の森コースがあります。草花も楽しみながら、年代を問わず気軽に野鳥観察ができる国見山は、市街地に近い貴重な探鳥地です。
北海道河西郡芽室町・音更町
森林
5月
木々の葉が繁る前の5月上旬から中旬は野鳥たちの繁殖時期でもあり、さえずりがにぎやかで最も観察しやすい時期です。小鳥類では、留鳥のカラ類やエナガ、コゲラたちのほか、夏鳥として早々とやって来るセンダイムシクイのにぎやかなさえずりや、沁み入る虫のようなヤブサメのさえずりに包まれながら、キビタキ、オオルリ、コルリなどカラフルな種に加え、アカハラやクロツグミなどの中型の鳥も観察することができます。猛禽類や希少種としては、稀にですがオオタカ、ハイタカ、クマゲラ、オオアカゲラ、ヤマシギ等が観察できるのも楽しみです。6月以降もこれらの野鳥は生息していますが、木の葉が広がるため野鳥観察はむずかしくなります。
国見山のそばを流れる十勝川を下流に約10km下ると、札内川(さつないがわ)と合流します。この札内川と十勝川に挟まれた地区は草原とヤナギ林が混在し、ノビタキ、コヨシキリ、ホオアカ、アオジ、ノゴマ、ベニマシコ等の夏鳥の営巣地となっています。