下池全景
標高273mの高館(たかだて)山と麓の上池(かみいけ)・下池(しもいけ)は、庄内海浜県立自然公園の一部に指定されています。また、上池・下池は、農業用ため池として400年以上前に造られ、毎年ガンカモ類、ハクチョウ類が多く飛来し越冬することから、水鳥たちの生息地として国際的に重要な湿地であるとして、山形県内で唯一ラムサール条約湿地に登録されました。
春、高館山周辺は春の草花が咲き乱れ、イワウチワの群落なども見られます。
また、初夏は繁殖のため飛来した夏鳥たちのさえずりでにぎわいます。野鳥の声が少なくなる夏は、上池・下池のハスの花が満開となり、多くの人が観賞に訪れます。また、下池と接するように「都沢(みやこざわ)湿地」があり、ヨシ原が広がり、ヒクイナも観察されています。
広葉樹の葉が落ちる10月下旬になると、越冬のためにガンカモ類、ハクチョウ類が多数飛来し、翌春3月まで多くの冬鳥の越冬地となっています。さらにカモ類をねらって、猛禽類が池の近くの木にとまる姿が見られます。下池の畔には、野鳥観察の施設「おうら愛鳥館」があり、厳冬期でも間近にガンカモ類やハクチョウ類を観察することができるようになっています。また、下池の近くには、鶴岡市の施設である自然学習交流館「ほとりあ」があり、毎年市民を対象にした「カモ類のねぐら立ち観察会」や「猛禽類観察会」などの自然観察会が開催されています。その他の特徴としては、日本海沿岸の渡りのルートに近いこともあり、迷鳥も多く記録されています。
山形県鶴岡市大山字城山331
池、草地、山地
1月、2月、3月、4月、5月、6月、11月、12月
渡ってきた夏鳥として、高館山周辺を中心にオオルリ、キビタキ、クロツグミ、サンコウチョウ、コマドリ、アカショウビンなどが見られます。
上池周辺で繁殖しているミサゴ、ハヤブサ、カワウ、カワセミ、カンムリカイツブリ、コサギなども見られます。
上池・下池とその周辺で渡ってきた冬鳥、ガンカモ類、ハクチョウ類などが見られます。また、カモ類をねらってオオワシ、オジロワシ、クマタカ、オオタカなど猛禽類も姿を見せることがあります。マヒワ、シロハラ、アトリ、ベニマシコ、ジョウビタキ、ミヤマホオジロ、ヨシガモ、トモエガモ、ハシビロガモ、ミコアイサ、カンムリカイツブリ、マガン、オオヒシクイ、シジュウカラガンなど。
上池・下池の近くを通る国道112号線を北西に5、6kmほど進むと、加茂の海岸線に出ます。ここでは、11月~2月頃にかけてウミアイサやシノリガモなどの海カモ類とカモメ類が多く見られます。また、加茂地区の国道7号線沿いには、多種類のクラゲの展示で有名な「加茂水族館」があり、年間を通して多くの観光客が訪れる観光スポットとなっています。鳥見のついでにぜひ訪れていただきたいところです。
高館山周辺に自生する植物を採集しないでください。また、上池・下池で野鳥の観察・撮影をする際は、散策する人や見物する人たちの通行を妨げることのないよう、三脚の使用などについては配慮をお願いします。
日本野鳥の会 山形県支部については、以下をご覧ください。