公益財団法人 日本野鳥の会

「生物多様性EXPO2010 in大阪」出展報告

The forest of the fish owl シマフクロウの森を育てよう!プロジェクト ~生物多様性と森林吸収量~

野鳥保護区事業所
松本潤慶

2010年3月20、21日の2日間、「生物多様性EXPO2010in大阪」に出展させていただき、当会が行っている「シマフクロウの森を育てようプロジェクト」の紹介をしました。2日間で、約200名の来訪者にプロジェクトをご案内することができました。
国連が定める「生物多様性年」であり、10月に名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議」が開催されるなど多様性の保全が注目されている中、大阪国際会議場で開催された今回のEXPOは、大手企業だけでなく中小企業、大学、NGO、NPO、市町村など、さまざまな団体が出展し、出展者ごとに設けられた展示スペースでパネルや実物を見たり、担当から解説を受けたりしながら生物多様性保全の取り組みを知ることができる催しでした。EXPOが開催された2日間で16,604人もの方が来場されました。

当会の展示スペースでは、当会の担当職員2名が常駐し、「シマフクロウの森を育てようプロジェクト」の紹介を行いました。北海道東部地域にのみ生息するシマフクロウは、推定個体数が約130羽と絶滅の危機に瀕しています。巨木がはえる森で、木の洞で子育てをし、サケ科の魚が数多く遡上する豊かな河川で魚をとって食べるシマフクロウは、次々と行われる森林の伐採や、砂防ダム等の構造物による魚の遡上の妨害などにより、住む場所も食べるものも奪われてしまっています。そこで、このようなシマフクロウを取り巻く現状や、シマフクロウの生息地を保全するために行っているシマフクロウの住める豊かな森を野鳥保護区に育てていく活動「シマフクロウの森を育てようプロジェクト」を、シマフクロウの実物大写真などを掲載したタペストリーを使って、紹介しました。

このプロジェクトは、シマフクロウの生息地を保全するだけでなく、森林生態系の生物多様性の向上を目指し、植樹などを実施して森作りを進めるものです。森林伐採後の裸地には、ササ原などの多様度の低い草原環境ができます。そこに植樹を行い、適正な管理をしつつ植生遷移を進めることにより、多様な森林環境が形成され、森に住む生き物も多種多様になっていきます。シマフクロウの生息地を保全することで、他の生き物の生息地も保全できるのです。また、森作りをすすめるために、当会では、植樹や適正な森林管理を継続的に行うための協賛者募集型の植樹プログラムを実施しています。これは、植樹や適正な森林管理を継続的に行うためにかかる多くの費用を、活動の協賛者を募集し、その費用負担にご協力をいただき活動を進める仕組みです。

来訪者とお話しする中で、「シマフクロウの大きさや現状」、「どんな木を植えるのか」、「木が大きくなるまで何年くらいの期間がかかるのか」といった質問の他、「一口幾らくらいで協賛できるのか」など当会の進める植樹への協賛の仕組みについて、多くの方からの質問を受けました。また、どういうPRをすればもっと活動が広まるか等、さまざまなご意見もいただくことができました。

「自然保護のために自分たちに何かできることはないか」、当会の進める植樹活動への協賛者の募集は、そのような気持ちを持った多くの方にとって自然保護に関わるきっかけになると感じました。
今後も、生物多様性の保全のために当プロジェクトを推進していくだけでなく、今回のような展示会を通して、より多くの方へ活動の紹介を行っていきます。

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