公益財団法人 日本野鳥の会

世界一斉個体数調査(2016年)

2016年11月25日

2016年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2016年の結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジアなど東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2016年の国内での調査は1月15日~17日に9県58か所、90名を超える協力者を得て行われました。

1.2016年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

2016年のクロツラヘラサギの世界一斉センサスは1月15日~17日に実施されました。
2016年の調査では3,356羽が確認され、前年より2.6%(+84羽)の増加です。

最大の越冬地は台湾で、世界の約61%にあたる2,060羽が確認されています。このうち南西地域のTsengwen河口で963羽、Bazheng河口で782羽が確認されています。そして、香港と深圳の間にあるDeep Bayでは371羽が観察されています。これら3か所が主要な越冬地です。台湾、中国本土、日本では個体数が増加しましたが、Deep bay、ベトナムのRed River Deltaでは減少しました。

表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数

場所 2015年調査 2016年調査 前年比
台湾 2,034 2,060 +26
后海湾(香港、深セン) 411 371 -40
日本 371 383 +12
中国本土 330 434 +104
マカオ 55 61 +6
ベトナム 40 9 -31
韓国 31 38 +7
タイ 0 0
カンボジア 0 0
合計 3,272 3,356 +84

原文のリリース元
The International Black-faced Spoonbill Census 2016: The Hong Kong Bird Watching Society

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

2016年の調査では、日本では前年よりも12羽多い(3.2%増)、計383羽が確認された。県別では、熊本県の143羽が最も多く、福岡県95羽、鹿児島県67羽と続き、佐賀県29羽、沖縄県19羽、山口県17羽、宮崎県12羽、その他1羽であった。


図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移


図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移

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