2018年4月12日
2018年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2018年の結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東南アジアの自然保護団体が参加し、実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2018年の国内での調査は1月19日~21日に、7県54か所、のべ60名を超える協力者を得て行われました。
1.2018年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要
香港バードウォッチング協会
2018年のクロツラヘラサギの世界一斉センサスは1月19日~21日に行われました。
2018年の調査では、前年と同じ羽数の3,941羽が確認されました。
主要な越冬地は台湾で、世界の約56%を占めます。しかし、昨年よりは406羽の減少です。増加した国は中国本土で347羽(187%)の増加です。日本では508羽が観察され、昨年より75羽(17.3%)の増加です。この他、マカオ、ベトナムで増加しています。減少傾向にあるのはディープベイ(香港/深セン)で、2010年には462羽が観察されていましたが、2018年は350羽でした。
表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 | 2016年調査 | 2017年調査 | 2018年調査 | 前年比 (2018年-2017年. 羽数) |
台湾 | 2,060 | 2,601 | 2,195 | -406 |
后海湾(香港、深セン) | 371 | 375 | 350 | -25 |
日本 | 383 | 433 | 508 | +75 |
中国本土 | 434 | 397 | 744 | +347 |
マカオ | 61 | 44 | 50 | +6 |
ベトナム | 9 | 62 | 65 | +3 |
韓国 | 38 | 29 | 26 | -3 |
タイ | 0 | 0 | 0 | 0 |
カンボジア | 0 | 0 | 0 | 0 |
フィリピン | 0 | 0 | 3 | 3 | 合計 | 3,356 | 3,941 | 3,941 | +-0 |
2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉個体数調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
2018年の調査では、日本では前年より75羽多い(17%増)、計508羽が確認されました。県別では、熊本県の171羽が最も多く、次いで、福岡県130羽、鹿児島県78羽、山口県42羽と続き、佐賀県40羽、宮崎県と沖縄県では21羽が確認されました。
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移
表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移