2019年4月8日
2019年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2019年の結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東南アジアの自然保護団体が参加し、毎年実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2019年の国内での調査は1月25日~27日に、1都9県60か所、110名を超える協力者を得て行われました。
1.2019年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要
香港バードウォッチング協会
2019年のクロツラヘラサギの世界一斉センサスは1月25日~27日に行われました。
2019年の調査では、前年より522羽(昨年より13.2%増)増えて4,463羽が確認されました。
主要な越冬地は台湾で、2,407羽が観察され(9.7%増)、世界全体の約54%を占めます。増加した地域は中国本土で990羽(33.1%増)、ディープベイ(深圳・香港)383羽(9.4%増)となっています。日本では538羽が観察され、昨年より30羽(5.9%)増加しました。東京都や福井県でも観察されています。この他、マカオでも増加しています(53羽、6.0%増)。減少傾向が見られたのは韓国で、23羽(12%減)でした。
表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 | 2017年調査 | 2018年調査 | 2019年調査 | 前年比 (2019年-2018年. 羽数) |
前年比 (2019年/2018年. %) |
台湾 | 2,601 | 2,195 | 2,407 | 212 | +9.7 |
后海湾(香港、深セン) | 375 | 350 | 383 | 33 | +9.4 |
中国本土 | 397 | 744 | 990 | 246 | +33.1 |
日本 | 433 | 508 | 538 | 30 | +5.9 |
ベトナム | 62 | 65 | 65 | 0 | ±0 |
マカオ | 44 | 50 | 53 | 3 | +6.0 |
韓国 | 29 | 26 | 23 | -3 | -12.0 |
タイ | 0 | 0 | 1 | 1 | – |
カンボジア | 0 | 0 | 0 | 0 | – |
フィリピン | 0 | 3 | 3 | 0 | ±0 |
合計 | 3,941 | 3,941 | 4,463 | 522 | +13.2 |
2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉個体数調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会
2019年の日本での調査では、前年より30羽多く、計538羽が確認されました(5.9%増)。県別では、熊本県で205羽が観察され最も多く、次いで、福岡県138羽、鹿児島県61羽、佐賀県と山口県が43羽で、沖縄県25羽、宮崎県では21羽が確認されました。
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移
表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移