2021年8月26日
2021年クロツラヘラサギ世界一斉センサスの結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・(公財)日本野鳥の会
東アジアの各国、地域が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギ世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2021年の調査結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、絶滅が危惧されているクロツラヘラサギの越冬個体数と分布を把握するために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東アジアの自然保護団体が参加し、毎年実施しています。2021年の調査は1月15日~17日に行なわれました。
日本での本種の越冬地は、九州や沖縄など西日本が中心です。2021年の調査は、日本クロツラヘラサギネットワーク、日本野鳥の会の支部会員を中心に1都10県64か所において、計63名の協力者を得て行なわれました。
1.2021年クロツラヘラサギ世界一斉センサス結果の概要
2021年のクロツラヘラサギ世界一斉センサスは1月15日~17日にかけて行なわれました。調査結果は各国、地域からの報告に基づき、香港バードウォッチング協会(HKBWS)が取りまとめを行ないました。
2021年の調査では、本種が主に越冬する東アジア全体で前年より358羽増えて、5,222羽が確認されました(7.4%増)。
東アジア地域での主要な越冬地は台湾で3,132羽が観察され(12.5%増)、全体の約60%を占めています。2021年に観察数が増加した地域は、ベトナム22羽(36.7%増)、マカオ5羽(12.5%増)で、日本では26羽が増え570羽が観察されました(4.8%増)。減少傾向が見られたのは、フィリピン(66.7%減)、韓国(8.4%減)、后海湾(6.9%減)、中国本土(1.2%減)でした。
表1.地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 | 2019年調査 | 2020年調査 | 2021年調査 | 前年比 (2021年-2020年. 羽数) |
前年比 (2021年/2020年. %) |
台湾 | 2,407 | 2,785 | 3,132 | 347 | +12.5 |
后海湾(香港、深セン) | 383 | 361 | 336 | –25 | –6.9 |
中国本土 | 990 | 1034 | 1022 | -12 | -1.2 |
日本 | 538 | 544 | 570 | 26 | +4.8 |
ベトナム | 65 | 60 | 82 | 22 | +36.7 |
マカオ | 53 | 40 | 45 | 5 | +12.5 |
韓国 | 23 | 37 | 34 | -3 | -8.1 |
タイ | 1 | 0 | 0 | 0 | – |
カンボジア | 0 | 0 | 0 | 0 | – |
フィリピン | 3 | 3 | 1 | -2 | -66.7 |
合計 | 4,463 | 4,864 | 5,222 | 358 | +7.4 |
(HKBWSの集計に基づく)
2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉センサス調査の結果
日本クロツラヘラサギネットワーク・(公財)日本野鳥の会
2021年、国内では前年より26羽多い、計570羽が確認されました(4.8%増)。熊本県が最も多く、調査期間中に197羽が観察され、次いで、福岡県106羽、鹿児島県77羽、佐賀県75羽、山口県46羽の順で観察されました。
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図2. クロツラヘラサギの県別記録数の推移
表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移