公益財団法人 日本野鳥の会

クロツラヘラサギ世界一斉センサス集計結果(2023年)

2023年8月30日

2023年クロツラヘラサギ世界一斉センサスの集計結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・(公財)日本野鳥の会

東アジアの各国と地域が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギ世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会(HKBWS))の2023年の調査結果がまとまりましたのでお知らせいたします。

この調査は、絶滅が危惧されているクロツラヘラサギの越冬個体数と分布を把握するために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東アジアの自然保護団体が参加し、毎年実施しています。2023年の調査は1月6日~8日にかけて行なわれました。

クロツラヘラサギの国内での越冬地は、九州や沖縄など西日本が中心です。2023年の調査は、日本クロツラヘラサギネットワーク、日本野鳥の会の会員を中心に1都11県60か所において、計77名の協力者を得て行なわれました。

1.2023年クロツラヘラサギ世界一斉センサス調査結果の概要

2023年クロツラヘラサギ世界一斉センサスは1月6日~8日にかけて行なわれ、各国の130地域からの報告に基づき、香港バードウォッチング協会(HKBWS)が取りまとめを行ないました。その結果、2023年の調査では、東アジア全体で前年より471羽増えて、6,633羽が確認されました(7.6%増)。

東アジア地域での主要な越冬地、台湾では4,228羽が観察され、全世界の個体数の約64%を占めています。
2023年に観察個体数が増加した地域は、台湾の4,228羽(10.6%増)を筆頭に、中国本土で1,307羽(15.1%増)、韓国の54羽(45.9%増)で、昨年観察されなかったフィリピンでは4羽が確認されました。

一方、減少傾向が見られたのは、日本640羽(6.3%減)、后海湾(香港、深セン)299羽(19.0%減)、ベトナム80羽(9.1%減)、マカオ21羽(4.5%減)で、特に大きく減少した后海湾では越冬環境が悪化しており、保全が急務となっています。日本では発見された死亡個体から高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI)が検出されました。越冬地での伝染病の蔓延は生息地の消失と並んで大きな脅威となっています。この他、タイ、カンボジア、マレーシアでは一斉センサス期間中には生息が確認されませんでした。

クロツラヘラサギの全世界の観察個体数は、2019年に4,000羽、2021年に5,000羽、2022年には6,000羽を超え、約50年前の深刻な個体数の減少から回復しつつあるものの、2023年の一斉センサスでは、増加傾向にある地域と減少地域が分かれるという結果になっています。

(HKBWSによる2023年世界一斉センサスの集計をもとに作成)

表1.地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 2021年
調査
2022年
調査
2023年
調査
前年比
(2023年-2022年. 羽数)
前年比
(2023年/2022年. %)
台湾 3,132 3,824 4,228 404 +10.6
后海湾(香港、深セン) 336 369 299 -70 -19.0
中国本土 1,022 1,136 1307 171 +15.1
日本 570 683 640 -43 -6.3
ベトナム 82 88 80 -8 -9.1
マカオ 45 22 21 -1 -4.5
韓国 34 37 54 17 +45.9
タイ 0 1 0 -1
カンボジア 0 0 0 0
フィリピン 1 0 4 4 0
マレーシア 0 2 0 -2
合計 5,222 6,162 6,633 471 +7.6

(HKBWSの集計に基づく)

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉センサス調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・(公財)日本野鳥の会

2023年、国内では昨年より43羽少ない、計640羽が確認されました(6.3%減)。最も多かったのは熊本県で181羽が観察され、次いで、福岡県126羽、鹿児島県83羽、佐賀県79羽、沖縄県61羽、山口県45羽、宮崎県40羽、大分県17羽、長崎県1羽の順で観察されました。西日本以外では、静岡県3羽、滋賀県2羽、東京都2羽が観察されています。

図1.日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図1.日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

図2.クロツラヘラサギの県別記録数の推移
図2.クロツラヘラサギの県別記録数の推移

表2.県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移
表2.県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移(画像クリックで拡大)

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