2018/07/19
「ご先祖様はもしかしたらツルを追いかけていたかも…」という妄想が広がる会を6月末、愛媛県西予(せいよ)市で開催しました。
西予市では、住民や市役所、当会等が連携してナベヅル、マナヅルの越冬地保全活動に取り組んでいます。ナベヅル、マナヅルの飛来地である宇和町は、実は江戸時代にもツルがいたことが分かっています。
昔からツルは日本人の文化と関わりが深いので、昔のツルの記録を調べることで、当時の人々の暮らしなどがわかり、地域の方々にツルをより身近に感じてもらえるのではないかと思い、昨年度、「ツルから探る江戸時代の宇和」という市民講座を市役所と共催で開催しました。
当時ツルは幕府や藩主といった権力者が食用として利用したり、飼育したりしていたのですが、宇和島藩の資料によると、宇和町では町民にも藩主から鶴料理がふるまわれたり、捕獲は農民が行なっていたなど、庶民も関わりがあったことが分かりました。
「御鷹野図巻」(国立国会図書館所蔵)西予市の風景ではありませんが、イメージとしてはこんな感じ?
また、ツルは湿田を好むのですが、飛来地は大昔は湿地で、田んぼになった後も稲作に困るくらいの湿田だったそうです。
庄屋の資料など地元の資料もあたってみたら、さらに情報が出てくるのではないかと思い、今回は、地元の史談会や博物館、「四国西予ジオパーク(※)」のガイドさん等に声をかけて、ツルに関すると思われる資料や情報をもちよっていただきました。
昨年度に引き続き、北海道大学大学院の専門研究員の久井さんが、冒頭に人とツルの関係についてお話してくださいました。平日夜の開催でしたが、予想よりも多くの参加者でした。
詳しくは割愛しますが、当日は新しい発見があり、ツルをきかっけに歴史、文化、農業、気候変動や日本人の思想まで話題が発展し、知的好奇心がビシバシ刺激される会になりました。今回分かったことをふまえて、市民講座をまた開催したいと思っています。
(ちなみに現代は、許可なくツルを捕まえることは法律で禁止されていますので、ご注意ください)
※日本ジオパークに認定されている「四国西予ジオパーク」の地元ボランティアガイド