公益財団法人 日本野鳥の会

チュウヒの観察マナー:チュウヒが安心できる観察を!

 チュウヒは冬になると全国のヨシ原で観察できることから人気のある鳥で、休日ともなると有名な生息地ではカメラの放列が敷かれることもあります。しかし残念なことに、チュウヒを観察・撮影する人が増えるとともに、フィールドマナーを守らない人が増えているのも現実です。

 チュウヒの観察で特に問題となるのは、繁殖期にチュウヒを近くで見るためにねぐらや巣に近づきすぎてしまうことです。さらに、雛の写真を撮ろうと巣に立ち入る心ない人もいます。チュウヒは警戒心が非常に強く、巣の近くで観察すると、親がねぐらや巣に戻らない、または飛び立たないことがあります。これは、チュウヒが地上からの天敵の接近に敏感なためです。繁殖期に餌を持った雄親が帰巣できなければ、雌や雛へ給餌することができず、繁殖に悪影響が出るばかりか、簡単に営巣を放棄してしまうこともあるのです。山口県では、巣の前でカメラを構えるという悪質なカメラマンのせいで繁殖できなくなった事例もあります。また、畑や立入禁止区域に入って観察し、地域住民に迷惑をかけるという、人に対するマナーの問題もあります。

 当会の経験では、少なくとも冬期ねぐらからは300m、巣および高度利用域から500m以上は離れて観察することが必要です。警戒心が強い個体なら、もっと離れなければなりません。また、餌を解体したり、食べているところの邪魔をすることも控えなければなりません。観察中にチュウヒと目が合ったり、反転するなどしてチュウヒが急に飛行の向きを変えた場合は、観察者を気にしている証拠ですから、すぐにその場を立ち去るなどの配慮が必要です。

 チュウヒを観察する場合は、窓に布を貼った自動車の車中から観察することをお勧めします。これは実際に私たちがチュウヒの調査で用いている方法なのですが、これまでのところ、チュウヒの行動に影響を与えることはなかったと考えています。しかし、車の窓に布を貼っても、巣やねぐらに近づいてはいけません。

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