スプーンのようなユニークなくちばしを持つヘラシギ(Spoon-billed Sandpiper)。生息環境の干潟の消失や狩猟の影響などで現在約300羽にまで減少し、環境省レッドリストの絶滅危惧IA類に指定されています。かつて国内の干潟ではほぼ全国的に記録されていましたが、現在では観察できる場所はごくわずかとなってしまいました。
ヘラシギと湿地保全の大切さを広めるため、香港バードウォッチング協会とともに、ティーチャーズガイド・ヘラシギと湿地を守ろう(Spoon-billed sandpiper teaching kit- for teachers and education leaders)を作成しました。
ヘラシギが渡る国々の学校や、環境教育の場で役立ててもらうための教材で、パートA~Cの3部で構成されています。パートAでは「湿地の大切さ」を解説し、パートBでは「ヘラシギの現状」をイラストや写真で紹介、パートCでは学校の授業などに取り入れられるアクティビティとワークシートを紹介しています。
湿地保全のシンボルとしてヘラシギをテーマにしていますが、ヘラシギが見られる場所に限らず、干潟での環境教育活動で活用いただける内容となっています。本教材は、現在、英語、日本語、中国語、ミャンマー語で作成されています。英語と日本語のPDFは、以下から無料でダウンロードできます。教材中のワークシートは、教育目的であれば、自由に印刷して利用いただけます。
画像をクリックするとダウンロードできます
(PDF 左・英語版:11.9MB、右・日本語版:10.4MB)
香港バードウォッチング協会の依頼を受け、ヘラシギと湿地の保護を訴える国際環境教育事業”Journey of Spoon-billed Sandpiper”制作プロジェクトに協力しました。このプロジェクトは、ヘラシギの渡りをストーリーにしたモノクロの原画に、子どもたちが色を塗ってアニメーションを完成させるもので、渡りルート上8か国・500人の子どもが参加しました。世界各国の子どもたちからの「ヘラシギを守ろう!」というメッセージが込められたアニメーションをご覧ください。
ロシアから韓国・日本・中国を経由して東南アジアに渡るヘラシギを守るには、国際的な連携が不可欠であり、渡りの中継地となる日本の役割は重要です。当会では今後も、ヘラシギをはじめ、渡り鳥の保護・普及活動に力を入れていきます。
日本の小学生が着色したシーン。仲間が捕獲されて悲しむヘラシギ。
「ヘラシギを守ろう」というメッセージを届ける、三谷小学校の子どもたち。