アカコッコの現状や保護活動の効果を評価するために、活動の拠点となっている三宅島全域でアカコッコの個体数調査を行なっています。
2000年の三宅島の山頂噴火の際には、アカコッコの生息地である森林が大きな被害を受けました。噴火前からイタチによる捕食などで個体数を大きく減らしていたアカコッコは、それによりさらに個体数を減らしてしまったと考えられました。
そこで、帰島後に三宅島全島で個体数を調べる活動を始めました。全部で25コースの調査を数日の間に当会の職員だけで行なうのは難しいこと、島民にとってアカコッコはとても愛着がある鳥であることなどから、当会職員と島のみなさんとが協力して調査を行なっています。
また、調査になれていない島民の方には、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館のレンジャーが事前に調査の練習をする機会を設けるなど、調査の協力者を増やす取り組みもしています。
アカコッコのさえずっている個体を数えます。繁殖期の最もさえずりが盛んな時期に、日の出前の30分以内に調査を行ないます。数える範囲は長さ1kmのコースの左右25m以内です。同じ個体を重複して数えないように気をつけて、調査用紙に記録します。記録された個体数と調査コースの環境、島全体の各環境の面積から島の個体数の推定値を求めます。
三宅島の調査コース(全25コース)
2009年の調査では、アカコッコが56羽記録され、推定個体数は約4,400羽となりました。その7年後の2016年の調査では、アカコッコの記録個体数が1.6倍に増えるなど、個体数に回復の兆しが見られました。しかし、2019年の調査では、記録個体数が83羽と伸びず、推定個体数も約7,600羽と横ばいの結果となりました。アカコッコの個体数が伸び悩んでいる原因として、噴火後に少し減少したといわれていたイタチの個体数も回復してきていることが考えられます。他に原因がないかも探りながら活動を進めていきたいと考えています。
表.調査で記録されたアカコッコの個体数
図.三宅島のアカコッコの推定個体数の変化
※本事業は、手島基金と多くの方からのご寄付を基に活動させていただいています。