JP009 濤沸湖(とうふつこ)
北海道:網走市、小清水町
位置 |
N 43°56′ E 144°24′ |
面積 |
2,200ha |
環境構成 【潟湖】
写真:川崎康弘
濤沸湖は北海道東部、網走市と小清水町にまたがる位置にあり、細長い砂丘(小清水原生花園)によってオホーツク海と隔てられてできた海跡湖である。面積は約900ha、岸辺の総延長は約27.3kmで、水深は平均1.1m、最深部でも2.5mと、比較的浅い湖である。湖には数本の河川が流入し、湖周辺には総面積約118haの湿原が広がっている。流入河川周辺にはハンノキ林が分布し、湿原は主にスゲ群落とヨシ群落で占められ、これにガマやフトイが加わる。汽水部にはアツケシソウやオオシバナなどが生育する塩性湿地も分布する。湿原では古くから牛馬が放牧され、家畜の選択的採食によって、ヒオウギアヤメやハマナス、センダイハギなどが優先する群落がパッチ状に成立している。
選定理由
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(濤沸湖)、国定公園(網走国定公園)、自然環境保全地域
<その他>
ラムサール条約登録湿地
保全への脅威
- 観光、レクリェーション。ここ2年で、カヌー利用が個人のレクリェーションで3件ほど確認された。
- 外来植物の影響による在来植物の衰退。一部地域はオオハンゴンソウに置き換わっている。アメリカオニアザミが増加。
- 小清水原生花園は牧草(ナガハグサなど)が繁茂し在来植物が衰退したため、火入れを行っている。
- 海と河川から土砂が流入し、湖の浅化が進む。アッケシソウ群落、干潟の一部衰退。
- 以前は観光のための餌付けがあったが、ほぼ行われなくなった。(対応として餌付け禁止・鳥インフルエンザの注意看板の設置、餌付け行為者に注意を行っている。)
保全活動
- 環境管理:実施者(環境省(国指定濤沸湖鳥獣保護地区)、オホーツク総合振興局 (網走国定公園)、林野庁(国有林)、網走市(濤沸湖水鳥・湿地センター運営)、小清水町(小清水原生花園インフォメーションセンター運営)
- 内容:
- 平成17年 濤沸湖及び周辺域の環境保全推進協議会を組織し、毎年清掃活動を実施。事務局は網走市。
- 平成23年 網走市と小清水町において「濤沸湖環境保全ビジョン」を策定。
- 網走国定公園小清水原生花園風景回復対策協議会を組織しており、2008年度版小清水原生花園管理マニュアルを作成。事務局はオホーツク総合振興局。毎年春に野焼きを実施。
- 外来種のコントロール:実施者(濤沸湖水鳥・湿地センター)
内容:アメリカオニアザミ、オオハンゴンソウ、オオアワダチソウの駆除を濤沸湖水鳥・湿地センターのボランティア組織である濤沸湖ファンクラブと実施。2015年度は行事としてオオハンゴンソウ駆除を実施。
- 環境教育活動:実施者(濤沸湖水鳥・湿地センター、日本野鳥の会オホーツク支部)
内容:濤沸湖水鳥・湿地センターにおいては植物、野鳥観察会等を実施。また、総合学習対応などを行っている。日本野鳥の会においては定期的に探鳥会を実施している。
- 保全のための人材育成活動:実施者( 濤沸湖水鳥・湿地センター )
内容:濤沸湖水鳥・湿地センターのボランティア組織である濤沸湖ファンクラブ会員はセンター事業の協力(ハクチョウカウント調査等)や講習会に参加。
- 利用ルールの策定:実施者(濤沸湖エコツーリズム推進協議会)
内容:濤沸湖エコツーリズム推進協議会(網走市、小清水町事務局)において策定した「濤沸湖 保全と利用のためのルール」の運用管理及び普及啓発。
- モニタリング調査:実施者(濤沸湖水鳥・湿地センター )
内容:ハクチョウ類、ワシ類カウント調査、環境省の渡り状況調査等を実施。(ハクチョウ類カウント調査は野鳥の会オホーツク支部、オホーツク総合振興局等が協力)。NPOや個人がモニタリングサイト1000(植物相、鳥類)の調査、標識調査を実施
- 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):
内容:近隣のユースホステル等宿泊施設が、宿泊者向けにガイドを行っている。
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 736KB)
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