JP086 母島列島(ははじまれっとう)
東京都:小笠原村
位置 |
N 26°39′ E 142°09′ |
面積 |
2,650ha |
環境構成【火山地形(島嶼)/樹林(照葉樹林)】
写真:小笠原自然文化研究所
母島列島は、東京から南へ約900~1100kmの太平洋上に連なる小笠原群島の南に位置し、母島、向島、平島、姉島、妹島、姪島などからなる。最大の母島の面積は約20.21k㎡、最大標高は乳房山で約463mであり、群島の最高峰である。島の周囲は約58kmでほとんどが急峻な崖となっている。
主要な島では戦前に入植した歴史があるが、第二次世界大戦後小笠原が1968年に返還されるまですべての島が無人島化していた。これにともない、開墾により失われた森林がある程度回復した。しかし、戦前に薪炭材として導入されたアカギが1980年代になって在来植生を圧迫し始めたため、巻き枯らしなどの駆除事業が行われている。母島列島の主要な島々及びその属島が国設小笠原諸島鳥獣保護区特別保護地区に指定されている。
選定理由
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(小笠原群島)、国立公園(小笠原)、自然環境保全地域、保護林
保全への脅威
- 漁業による混獲(現在の小笠原漁業は、地域開発された、たて延縄(カジキマグロ)であり、大型海鳥等の混獲の危険性が非常に低い。今後、クロアシアホウドリが増加した場合に、他県船の横延縄漁の影響が懸念される。)
- 東南海地震時の津波、西之島の山体崩壊時の津波、小笠原近海地震の津波、硫黄島における大規模火山噴火時の津波等が想定されている
- 外来種の影響(母島南崎で、カツオドリのコロニーがネコの補食により壊滅し、その後繁殖地回復のためにネコの排除が継続されている。母島の属島では、ドブネズミが確認されており、特に、小型海鳥類等において悪影響があると思われるが実態は不明。)
- 放射性物質の影響(過去の追跡調査から、聟島列島のクロアシアホウドリは、育雛期後半には東日本沿岸域で採餌することが明らかになっている。卵やヒナへの放射性物質の長期的なモニターが必要と考える。)
- 中国船によるサンゴの濫獲(海洋資源の破壊として問題となっている。付随して、海洋へのゴミ投棄、無人島(海鳥コロニー含む)への上陸の懸念がある。)
保全活動
- 環境管理:実施者(環境省、林野庁、東京都、小笠原村)
内容:自然再生事業、国立公園事業、国立公園整備事業、特定外来種対策事業、種の保存法関連事業化:環境省
森林生態系保全地域における保全及び修復事業:林野庁
植生回復事業、種の保存法関連事業、希少生物保全関連事業ほか:東京都
天然記念物保護管理事業:小笠原村
※世界自然遺産となり、環境管理と外来種コントロールには約30の行政事業が併走している。個別民間団体の取り組みもある。
- 外来種のコントロール:実施者(環境省、林野庁、東京都、小笠原村、民間団体 小笠原ネコに関する連絡会議、東京都獣医師会 ほか)
内容:外来植物の駆除
外来動物(ネコ、ネズミ、アリ、プラナリアほか)の駆除ほか
小笠原自然文化研究所では、ネコ連絡会議に参画。
- 環境教育活動:実施者(民間団体はじめ、多様な実施者)
内容:民間団体、行政機関ともに多様な取り組み多数
アカガシラカラスバト保全のための普及啓発イベント(あかぽっぽネットワーク)
- 保全のための人材育成活動:実施者(民間団体はじめ、多様な実施者)
内容:民間団体、行政機関ともに多様な取り組み多数。
- 法律制定、政策、規制:実施者(小笠原村、林野庁)
内容:民間団体、行政機関ともに多様な取り組み多数。
例:小笠原村ネコ登録条例など
- モニタリング調査:実施者(行政 民間団体)
内容:多種多様な主体による多様なモニタリングが実施されている
アホウドリ類標識調査(東京都)
希少鳥類の生態調査、外来鳥類の影響調査(森林総合研究所)
小笠原諸島のクロアシアホウドリ分布拡大及び標識調査、オガサワラオオコウモリ保全研究および活動、小笠原諸島における海鳥の分布調査、外来哺乳類が海鳥類に与える影響評価研究(小笠原自然文化研究所)
- 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(小笠原エコツーリズム協議会、東京都ほか)
- その他:アホウドリ類ウォッチングの自主ルール(小笠原アホウドリ連絡会)
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 554KB)
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