JP094 妙高・戸隠(みょうこう・とがくし)
新潟県:上越市、糸魚川市、妙高市
長野県:長野市、小谷村、信濃町、飯綱町
位置 |
N 36°55′ E 138°04′ |
面積 |
55,000ha |
環境構成【山岳/湖沼・河川/草原/落葉広葉樹林】
写真:岡田成弘
■妙高
山岳、亜高山帯、高層湿地、ブナ林、草原、湖沼・ダム湖、河川、滝、落葉広葉樹林、スキー場。
新潟県上越地方南西部に位置する妙高山(標高2,452m)、火打山(標高2,462m)、焼山(標高2,400m)の頚城三山は妙高連峰の中核を成している。冬期日本海を吹き抜けてくる季節風が豪雪をもたらし、豪雪の雪解け水が高谷池湿原、天狗の庭、黒沢湿原を形成する。ハイマツ帯は国内北限のライチョウの生息地となっている。高層湿原ではハクサンコザクラ、チングルマ、コバイケイソウ、ツガザクラ、ウサギギク、ガンコウラン、コケモモ等の高山植物が見られる。降り積もった多量の雪がブナ林を育て、笹ヶ峰では植樹されたドイツトウヒの巨樹の森が広がる。高原地帯にはシラカバ等の落葉広葉樹林が発達し、無積雪期にはススキの草原となるスキー場から赤倉、関、燕、池の平、杉野沢の各温泉街へと通ずる。池の平いもり池やシラカバ林にはミズバショウ群落が見られる。
■戸隠
火山地形、海底火山の噴出物、湿地、落葉広葉樹林と常緑針葉樹林、多雪地帯。
妙高山、火打山、黒姫山など成層火山と戸隠山、高妻山など海底火山が隆起した地形。標高約1,000mの高原から亜高山まで。水分の多い平坦地には春にミズバショウの咲くハンノキ林、その周辺にはサワグルミ林、ハルニレ林、ミズナラ林がひろがる。カラマツの植林地も広い面積を占める。標高を上げていくとブナ林、その上部にダケカンバ林、山頂付近はハイマツも生えている。ブナ林内のチシマザサが特徴。雪解けとともに草花が咲き出しミツガシワの群落、トガクシショウマなどが見られる。多雪地帯特有のユキツバキ、ヒメアオキ、エゾユズリハなども分布している。
また、山岳信仰の霊地として古くから人々の信仰を集めていた。
選定理由
保護指定
サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
都道府県指定鳥獣保護区(火打山)、国立公園(妙高戸隠連山)、都道府県立自然公園(久比岐県立自然公園)、自然環境保全地域、保護林
保全への脅威
- 登山者の増加によるライチョウ生息域の環境悪化(新潟県側)
- 百名山のブームなど、一部オーバーユースになっている(長野県側)
- 外来種の影響(オオハンゴンソウが10数年前から出現している。アライグマが侵入してきているとの情報もある。長野県側)
- 湿地の乾燥化(長野県側)
- ネコ、イヌなどの野生化
保全活動
- 環境管理:実施者(戸隠森林植物園管理運営協議会 国・県・市町村の行政と自然保護団体)
内容:2012年にはイノシシによる地面を掘り起こされる被害が広がり、地面を覆う防護ネットを張った。
- 外来種のコントロール:
内容:いもり池における外来魚(ブラックバス)、外来植物(オオハンゴウソウ、スイレン)の駆除・除去(妙高高原ビジターセンター)
- オオハンゴンソウの駆除 2008年から2009年に戸隠地区で駆除と駆除後の植生変化に関する調査をした。(長野県環境保全研究所とNPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会)
- 環境教育活動:実施者(日本野鳥の会新潟県、上越探鳥の会、妙高高原ビジターセンター)
内容:探鳥会(日本野鳥の会新潟県、上越探鳥の会、日本野鳥の会長野支部)
探鳥会(新潟県、新潟県野鳥愛護会)
自然観察会(妙高高原ビジターセンター)
観察会、植樹活動(NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会)
- 保全のための人材育成活動:実施者(国際自然環境アウトドア専門学校)
内容:妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校による対象地域の自然・生物調査、研究、保護を中心とした実習、フィールドワーク、自然観察会の実施
- 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(ハートランド妙高)
内容:体験型エコツーリズム実施
- モニタリング調査:実施者(新潟県、新潟県野鳥愛護会)
内容:野鳥生息調査
- その他:実施者(戸隠高原生物多様性保全協議会:地元3団体、県・市オブザーバー(2013年1月発足))
内容:野生動物の実態を把握し、共存、自然環境の保全活動につなげる。イノシシやニホンジカの侵入、アライグマの情報もあり実態調査を実施している。
- 戸隠妙高連山国立公園の管理体制やビジョンを検討する連絡協議会を設立予定とし、同公園管理体制検討会議が始まっている。
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 1,009KB)
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