JP139 博多湾(はかたわん)
福岡県:福岡市
位置 |
N 33°37′ E 130°21′ |
面積 |
9,000ha |
環境構成【干潟/浅海域/淡水湿地/農耕地(後背地)】
写真:掛下尚一郎
博多湾は玄界灘に面した内湾で、干潟、砂浜、岩礁などにより形成された自然海岸である。このため、底生生物、塩生植物など豊かな生物相を有し、後背地となる農耕地を含めて、鳥類の重要な生息地となっている。しかし、都市化の波とともに海岸線の埋立が進み、生物を育む干潟が減少の一途を辿り、和白川と唐原川河口に広がる和白干潟(約80ha)、多々良川河口(約30ha)、室見川河口(約15ha)、そして瑞梅寺川河口に広がる今津干潟(約80ha)がまとまった形で残るのみとなっている。また、後背地となる農耕地も激減しており、鳥類の生息環境は大きく変化している。一方、内陸部に目を転じると、市街地を挟んだ三方には緑豊かな山々が連なり、博多湾に流れ込む河川とともに重要な生態系の一部をなしている。
選定理由
A1 |
クロツラヘラサギ・ズグロカモメ・ウチヤマセンニュウ |
A4i |
クロツラヘラサギ・トウネン・ハマシギ・アオアシシギ・キアシシギ・ソリハシシギ・チュウシャクシギ |
保護指定
法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である
<保護指定の内容>
国定公園(玄海国定公園)、自然環境保全地域
保全への脅威
- 人工島建設による潮流の変化(和白干潟)
- 富栄養価による水質の悪化とアオサの増加(和白干潟)
- 住宅開発に伴う後背地の激減(和白干潟)
- 干潟の後背地の土地利用の変化による、田畑や湿地、ヨシ原などの減少(今津干潟)
- 休猟区の期限切れ(保護区への早期編入)(今津干潟)
- 香椎パークポートの住宅地の隣接と都市化(多々良川河口)
- 海水の淡水化後の濃縮海水の湾内排水(博多湾東部)
- 筑後川水系から水道用水を福岡市に供給し、使用後博多湾へ排水することによる、水質の変化
- 干潟に隣接する後背地の田畑や湿地・ヨシ原などの減少
- 浅海域での水上レジャーの増加に伴う水鳥の生息域の減少
保全活動
- 環境管理:実施者(福岡市)
内容:博多湾内の水質・底質モニタリング
- 環境教育活動:
内容:今津地区・和白地区で、毎月探鳥会実施(日本野鳥の会福岡支部)
自然観察会、クリーン作戦、普及活動(和白干潟を守る会)
- 法律制定、政策、規制:実施者
内容:県指定鳥獣保護区
- モニタリング調査:
内容:水質・底質・鳥類など(福岡市)
博多湾および外洋の海鳥調査、報告書作成、博多湾内の能古島およびその周辺の鳥類調査、報告書作成(日本野鳥の会福岡支部)
調査・保護(和白干潟を守る会)
- その他:
*福岡市環境審議会・同環境審査会等への委員派遣、ブログによる広報活動(日本野鳥の会福岡支部)
*博多湾西部の今津干潟を保全していくために、福岡市が呼びかけた今津干潟懇話会がある。
*NPO法人日本環境監視協会が博多湾再生市民フォーラムを年に1~2回開催している。
*博多湾東部のアイランドシテイー周辺は、福岡市のエコパークゾーンに指定(国設鳥獣保護区を含む)されており、その一部(12㏊)に野鳥の生息を考えた公園(アイランドシテイはばたき公園)の設置が具体的に推進されつつある。
※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 802KB)
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