知床半島
環境構成
知床半島は北海道東部、オホーツク海に突出した長さ約70㎞、基部の幅約25㎞の長い半島で、斜里郡斜里町と目梨郡羅臼町にまたがる。海岸部の断崖や岩場は、ケイマフリやカモメ類などの海鳥の繁殖地となっている。海岸断崖上部の森林にはオジロワシが営巣し、冬期は多数のオオワシが越冬する。
周辺海域では、サケ、カラフトマスの定置網漁、水タコのタコ箱漁、毛ガニの籠漁、ウニ漁、ツブ貝の籠漁、ホッキ貝のけた網漁、カレイ、ホッケなどの刺し網漁が行われている。また、観光船やシーカヤックなどのエコツアーも盛んである。
海鳥の繁殖地の保護指定
- 国指定知床鳥獣保護区(特別保護地区・特別保護指定区域)
- 斜里岳道立自然公園
- 知床森林生態系保護地域
- 遠音別岳原生自然環境保全地域
- 知床世界自然遺産地域
- 遠音別岳原生林自然環境保全地域
- 知床国立公園(特別保護地区)
繁殖している海鳥
ウトウ、オオセグロカモメ、ケイマフリ、ウミネコ、エトピリカ、ウミウ、ヒメウ
海鳥・海洋保全への脅威
- ケイマフリ、ウミウなど海鳥営巣地付近への観光船航行による影響
- 釣り人などによる植生保護区域への車両進入
保全活動
- 環境省(アライグマ生息状況調査・捕獲調査)
- 環境省林野庁・知床財団・民間グループ(世界遺産管理計画に基づく各種モニタリング調査)
- 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
- 知床財団・羅臼町教育委員会・斜里高校・羅臼高校(地元小中学校におけるヒグマ学習、世界遺産体験学習)
- 斜里町立知床博物館(キッズ育成事業として小中学生に自然観察会や体験講座の実施。生態調査・研究活動、観察会等の開催。環境教育活動、生物保護に関する講演会・講座の開催)
- 斜里町教育委員会と斜里町観光課(小中学校を対象にした体験学習)
- 日本野鳥の会オホーツク支部(探鳥会の開催、油汚染鳥類調査等)
- 知床海鳥研究会(ケイマフリ等海鳥類の調査、普及啓発パンフレットの作成)
- 漁業従事者(一部港内海底を含む漁港清掃)
- 地域住民と自然愛護少年団(海岸漂着ゴミの清掃活動)
- 観光関係者、行政による任意団体(ケイマフリをはじめとする海鳥の生育環境の保全と観光資源としての活用)
- 観光船事業者(繁殖地への接近防止のため観光船航路の変更、海鳥・海獣の研究データの収集協力、研究データの乗船客への案内活用、解説ハンドブックの研究者との共同作成