聟島列島
環境構成
小笠原諸島の最北にある聟島列島は、父島から北へ約50㎞の太平洋上に位置し、聟島(面積2.6㎢)、媒島(面積1.4㎢)、嫁島(面積0.8㎢)等からなる。かつては人が居住していたが、第二次世界大戦後、無人島となった。聟島では、クロアシアホウドリ、コアホウドリなどが繁殖しており、聟島列島全体が国指定小笠原諸島鳥獣保護区の特別保護地区に指定されている。アホウドリの保護増殖事業により2008年より聟島でのアホウドリの人工繁殖が進められ、新コロニーの形成が進んでいる。
周辺海域では、延縄漁が行われ、聟島、媒島、嫁島の3島は、底魚やエビ類等の良好な漁場となっている。また、これら3島では、小笠原漁協により、日本で初めて、持続的な漁業資源維持のための輪番制の休漁制度が設けられた。
海鳥の繁殖地の保護指定
- 国指定小笠原群島鳥獣保護区(特別保護地区)
- 小笠原国立公園(特別地域、特別保護地区)
繁殖している海鳥
アホウドリ、オナガミズナギドリ、シロハラミズナギドリ、カツオドリ、クロアシアホウドリ、コアホウドリ、アナドリ、クロアジサシ、オーストンウミツバメ
海鳥・海洋保全への脅威
- 移入種(ネズミ類)による捕食
- 上陸による繁殖地の攪乱、繁殖地の侵食
- 海洋へのゴミ投棄
保全活動
- 環境省(モニタリングサイト1000調査 小島嶼・海鳥)
- 環境省・山階鳥類研究所・東京都など(アホウドリ類の標識調査、繁殖状況調査、保護増殖事業)
- 小笠原自然文化研究所(小笠原諸島のクロアシアホウドリ、コアホウドリ標識調査、海鳥の生息状況及び外来種生息調査、アカガシラカラスバトの生態調査)
- 環境省・東京都・自然環境研究センター(自然再生推進計画調査、小笠原国立公園植生回復事業)
- 環境省・自然環境研究センター(ネズミ類、ノヤギの駆除)
- 小笠原野生生物研究所、小笠原アホウドリ連絡会(植生回復事業などの保全活動、啓発パンフレット発行などの教育・普及活動)
- 東京都小笠原支庁(媒島での土壌流失防止、外来植物の駆除、聟島及び媒島での外来植物の駆除)
- 小笠原野生生物研究会(嫁島における在来種植栽等)