公益財団法人 日本野鳥の会

(仮称)能代山本広域風力発電事業計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第 2017-004号

「(仮称)能代山本広域風力発電事業計画段階環境配慮書」に対する意見書

平成29年4月21日 提出

項目 記入欄
氏名 ①日本野鳥の会秋田県支部  支部長 佐藤 公生
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 ①〒010-0101 秋田県潟上市天王追分86-15
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
配慮書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された「(仮称)能代山本広域風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

 貴社が作成された「(仮称)能代山本広域風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)に示されている3つの事業実施想定区域(以下、想定区域と言う)のうち、浅内鵜川エリアと能代北エリアは八郎潟と小友沼および小友沼と津軽半島とを結ぶガン・ハクチョウ類の主要な渡り経路を大きく含むものである。想定区域の浅内鵜川エリア北東部にある小友沼では、春に1万羽、秋に3万羽のガン類が中継地として利用し、渡り経路となっている。
 貴社の配慮書にある影響評価では、「ガン類の飛来地となっている小友沼については、浅内鵜川エリアが主要な移動ルートになっているとみられるが、今後、事業区域を絞り込んだ上で、現地調査、予測を行い、その結果を踏まえて重要な生息地や鳥類の飛翔を考慮した配置、生息状況に応じた環境保全措置を検討することにより、重要な影響を回避又は低減することが可能と評価する。」とある。
 風力発電施設の建設によるガン・ハクチョウ類への影響については、バードストライクと言われる衝突死よりも、渡りや移動経路としての利用を避ける障壁影響が大きいと言われている(日本野鳥の会2009、浦2015、日本野鳥の会2016)。障壁影響は風力発電施設の2~3km手前から生じ、施設を大きく迂回して飛翔を行うものである。なお、障壁影響が渡り鳥にもたらす影響については、飛行エネルギーの大幅な損失とそのことによる繁殖および越冬状況への負の効果が生じることが考えられる。
 このことから、3つの想定区域のすべてに風車を設置した場合、3つの想定区域が含まれる地域全体において、ガン・ハクチョウ類が渡り経路として利用することを避ける可能性がある。
 そのため、少なくともガン・ハクチョウ類の渡り経路が多い浅内鵜川エリアのすべてと能代北エリアの西半分については想定区域として選定しないことで、当該地域のガン・ハクチョウルイの渡りと風力発電施設の建設の両立を図るべきである。
 以上のことから、貴社が作成された配慮書における風力発電施設の建設計画は、想定区域の選定段階から見直すべきである。

以上

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