日 野 鳥 発 第 2018-124号
(仮称)第二中九州大仁田山風力発電事業 環境影響評価準備書に係る意見書
平成30年 3月 30日 提出
項目 | 記入欄 |
氏名 | ①日本野鳥の会宮崎県支部 支部長 岩切 久 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略) |
住所 | ①〒880-0943 宮崎県宮崎市生目台西1-2-6 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
準備書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された(仮称)第二中九州大仁田山風力発電事業に係る環境影響評価準備書について、次のとおり意見を提出します。 記 (1)工事期間について 準備書によると、平成27年3月にクマタカの営巣木が確認され、抱卵まで確認されたが、4月にエリアB(小原井)で、5月にエリアA(桑の木谷)でそれぞれ営巣放棄が確認されている。4月から工事が始まれば工事車両が行き来し、重機類が作動し、この年同様の営巣放棄や生息地の放棄(事実上の生息地からの追い出し)といった影響が懸念される。 (2)風力発電機設置予定箇所について 環境省監修の「猛禽類保護の進め方(改訂版)」によれば、クマタカについては「年間を通じて営巣木を中心とした半径1.5kmの範囲を高利用域として扱う」とある。そして、今回の準備書にもこれに抵触しない「稜線からの各ペアの営巣地までは約1.5km以上離れている」と記されている。しかし、小原井ペアについては風力発電機設置予定場所から1.5km以内に有り、しかも現地を調査したところ、この近辺ではこのペアの営巣場所を含む高利用域だけが、つい最近広く伐採されており、営巣木を変えざるを得ない状況になっていた。このペアがなわばりの中で営巣木を探すことになれば、更に風力発電機建設予定地に近くなることが懸念される。再度、小原井ペアの調査を行い、約1.5km以内の建設は計画変更を含めて再検討すべきである。 (3)バードストライクについて 準備書によると、クマタカについては、平成27年1月~11月に327回、平成27年12月~平成28年11月に450回の確認があり、対象事業実施区域内通過回数は75回ある。その内、ブレード回転域内である「対地高度約35m~121m」を飛翔した回数が35回とある。そして、確認された飛翔行動について、平成28年には、成鳥によるディスプレイ飛翔、幼鳥や若鳥の飛翔が確認され、「幼鳥の行動圏も広がりつつあります」とある。 (4)土捨て場について 工事の残土捨て場は、新設の風力発電機の最南端に設置されるようになっており、そこからの水はそのすぐ北側を流れる川に流されるものと思われる。河川が汚濁されればカワガラス、ミソサザイ、キセキレイ、カワネズミ等の野生動物の生息に影響が出ることが懸念される。 貴社においても、風車の建設にあたっては、野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。 以上 |