公益財団法人 日本野鳥の会

JRE酒田風力発電所更新計画 環境影響評価方法書に対する意見書を提出しました

「JRE酒田風力発電所更新計画 環境影響評価方法書に対する意見書」

令和元年11月13日提出

項目 記入欄
氏名 ①日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
②公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略)
住所 ①〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された「JRE酒田風力発電所更新計画 環境影響評価方法書」について、次の通り意見を提出します。

 現在、貴社が風力発電所更新計画に係る環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している酒田風力発電所更新計画について、事業実施区域に風力発電施設(以下、風車という)を建設した場合、事業実施区域は様々な野鳥の渡りのコースと重なっており、風車の高さがより高くなり、ローター直径もより長くなることで、バードストライクなどの様々な悪影響を及ぼす危険性がより高くなると考える。
 まず、事業実施区域が、ハクチョウ集団越冬地である最上川河口に隣接していることが大きな問題である。バードストライクの危険性が高まることが予測される。また、猛禽類では、近年ミサゴが増え、度々事業実施区域内に現れるようになってきている。渡りのコースとしているサシバやハチクマなど希少猛禽類のバードストライクや渡り経路の変更(障壁影響)といった影響が出ることが予測される。
 また、カモメ類は、越冬期に海岸を採餌場として利用しており、カモメ類への影響も懸念される。
 さらに、毎年、事業実施区域の近辺で絶滅危惧種Ⅱ類のコアジサシが繁殖しており、バードストライクや繁殖への影響が危惧される。
 調査の方法については、方法書によれば、バードストライクの調査に係って、死骸調査を既設風車の8地点で月2回、1年間行うとしている。しかし、バードストライクでの死骸調査はかなり困難である。多くは風車の真下に落ちるが、草地であれば発見は困難で、哺乳類などから捕食される場合もある。また、水面に落ちた場合には、発見や回収が困難になると予想される。死骸の種名と数をより正確に把握するための具体的な方法と手だてをきちんと検討すべきである。

 以上の理由から、貴重な野鳥の生息環境を保護・保全するために、
①野鳥の渡りの時期(4~5月、9~10月)と越冬期(11~3月)
は、風車を稼働しないようにしていただきたい。
②バードストライクの影響に係る死骸調査については、より正確な資料となるよう調査頻度を上げ、毎週実施する。さらに、死骸を発見しやすいように事前にシートを敷くなどの対策をとっていただきたい。

貴社においては、風車の更新建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、バードストライクなどの鳥類への影響調査を適切の実施することで、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

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