(仮称)大和風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書
令和元年11月25日提出
項目 | 記入欄 |
氏名 | ① 日本野鳥の会宮城県支部 支部長 竹丸 勝朗 ② 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略) |
住所 | ①〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された「(仮称)大和風力発電事業 環境影響評価方法書」について、次のとおり意見を提出します。 現在、環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している(仮称)大和風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK MIYAGI 2016(以下宮城RDBと言う)にも掲載されているクマタカの生息地と重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、サシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路に対しても障壁影響等が発生することが懸念される。 ① 私たちの普段の観察において計画地周辺でクマタカの生息を確認しており、また、計画地全域周辺でも同種の生息の可能性が高いことから、影響評価に係る現地調査ではクマタカが繁殖しているものとして、2営巣期にわたり調査を行うなど、調査には慎重を期していただきたい。国内ではクマタカが過去に風力発電施設によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地に風車を建設した場合、バードストライクの起こる可能性が高いと考える。そのため、クマタカの生息状況の確認および猛禽類の渡りに係る調査について、環境影響評価が適切に行えるよう質、量とも十分なものを求める。 ② 方法書における鳥類の調査計画において、季節ごとに年4回の調査を計画されているが、猛禽類の生息、生態調査は3月、4月の造巣期から巣立った幼鳥の生態、行動範囲を調査によって把握していただきたい。猛禽類が計画地をどのように利用しているかを明確にできるよう調査時期を選定するとともに、調査回数を増やすなど配慮していただき、周年生息する猛禽類の正確な生息状況データを影響評価に提供していただきたい。 ③ ミゾゴイやヨタカなど夕方から朝方の夜間に活動する種の調査は適切な時間および時期、地域で行い、生息状況がきちんと評価できる夜間調査を要望する。また、夜間に上空を移動する鳥類の存在も知られているので、各種アセスのガイドラインに沿った内容だけでは不足してしまう調査データを補うような調査の実施(時間及び回数)を求める。 ④ 秋の渡り調査にあたっては、夏鳥の南下時期と冬鳥の南下時期が異なるので、3回の調査回数では全く不十分である。夏鳥であるサシバやハチクマなどの猛禽類調査にあたっては、適切な移動時期に適切な回数の調査を行い、計画地付近を通過する猛禽類の飛行行動を明らかにできる調査方法で実施すること。また、計画地は冬鳥の移動ルートとなっていることが予想されるので、バードストライクが予想される小鳥類についても、猛禽類調査と同様の調査の実施を要望する。 ⑤ 計画地を通過する猛禽類について、秋の調査実施を計画されているが、サシバ、ハチクマの移動時期は、宮城県では9月上旬から始まり、約ひと月続くことが観察され、また公表されている。しかし、ピークの時期は短く、その年の気候に左右されることが知られている。従って、このピークの時期を外さない調査方法での実施が必要である。計画地は広範囲であるため、風向きによって上昇気流発生が峰の東になるか西になるかによって、移動のコースが変わること、風力によって移動時の飛翔高度が変わることも調査時には考慮して、適切な調査データを示していただきたい。 ⑥ 計画地周辺に生息する鳥類は猛禽類だけではなく、それ以外の鳥類や移動の時期には水鳥類の移動も考えられる。従って、日中の調査だけではなく、レーダー調査を行うなど夜間の調査も充実した内容となることを要望する。 以上 |