公益財団法人 日本野鳥の会

(仮称)秋田県由利本荘市沖における洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

2020年6月27日

中部電力株式会社
再生可能エネルギーカンパニー
企画室 風力・太陽光グループ御中

日本野鳥の会秋田県支部
支部長 佐々木 均
秋田県横手市前郷一番町1-21

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

「(仮称)秋田県由利本荘市沖における洋上風力発電事業計画段階環境配慮書」に対する意見書

貴社が計画されている(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に関して、鳥類の保全の観点から下記の通り意見を述べる。

対象事業実施区域(以下、計画地という)に設定されている海域(以下、当該海域という)は、貴社が作成した計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)に記載のある通り、マリーンIBAの指定海域と重複していること、渡り鳥の重要な経路と重なっていること、計画地の周辺で繁殖する希少猛禽類であるミサゴの採餌海域となっていることなどから、鳥類の保全の観点から考えて、計画地から除外されるべき海域である。この海域であえて事業を進めようとするのであれば、鳥類および海洋生態系に対する影響を限りなくゼロにするものでなければならない。
これを実現するためには、綿密な調査に基づいた環境影響評価を行ったうえで風車の設置基数や配置を検討すべきである。
貴社の計画は、当該海域ですでに事業を進める他社と比べても風車の本数が多く、サイズも一回り大きいため、その他社の計画と比べても鳥類への影響はより大きなものになると危惧するものである。そのため、先行する他社が行った以上の綿密な環境影響評価および現地調査の実施を求める。

以下に鳥類を中心に注意すべき項目と、調査における注意点を述べる。

ガン・ハクチョウ類の渡り

カモ類の渡りについて

カモメ類について

ミサゴについて

調査時間と天候について

調査機器について

協議会の開催について

上記で述べた調査の結果から得られたデータを地元団体や鳥類保護関係者および鳥類や風力発電の専門家等と共有し、風車の設置位置を決定するための公開の協議会を設けることを求める。

環境に貢献することを理念と掲げる風力発電事業であるからこそ、本計画の実施が由利本荘の海洋生態系に影響を与えないよう、全力で取り組んでほしい。

以上

1)
論文名 Long-term declines in common breeding seabirds in Japan(日本における普通海鳥種の長期的減少)

著者名 先崎理之1,照井 慧2,富田直樹3,佐藤文男3,福田佳弘4,片岡義廣5,綿貫 豊6(1北海道大学大学院地球環境科学研究院,2ノースカロライナ大学グリーンズボロ,3山階鳥類研究所,4知床海鳥研究会,5NPO法人エトピリカ基金,6北海道大学大学院水産科学研究院)
雑誌名 Bird Conservation International(鳥類保全学の専門誌)
DOI 10.1017/S0959270919000352
公表日 2019年8月28日(水)(オンライン公開)

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