公益財団法人 日本野鳥の会

(仮称)北鹿児島(西地区・東地区)風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書

令和3年1月14日

電源開発株式会社
代表取締役社長 渡部肇史 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一(公印省略)
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)北鹿児島(西地区・東地区)風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書

貴社が作成された(仮称)北鹿児島(西地区・東地区)風力発電事業に係る環境影響評価準備書(以下、準備書という)に対し、下記のように意見を提出いたします。

(1)クマタカの生息への影響について

貴社による希少猛禽類調査の結果では、対象事業実施区域(以下、計画地という)の内外において2461例23ペアのクマタカの行動を周年で確認しており、計画地およびその周辺はクマタカにとって好適な生息環境であることを貴社自ら示しています。

クマタカは風力発電施設(以下、風車という)の設置後に風車に衝突死するバードストライク(浦 2015)および繁殖等が阻害される生息地放棄(日本野鳥の会 2020)がすでに国内で確認されています。そのため、貴社が計画通り風車を建設すると、計画地とその周辺において複数のクマタカでバードストライク、または生息地の放棄が生じる可能性があります。貴社の調査結果では高度Mでの本種の確認が多かったことから、特にバードストライクの発生確率が高くなることを懸念します。

そのため、環境省により国内希少野生動植物種および絶滅危惧ⅠB類に指定されるクマタカの保護の観点から、計画地内におけるクマタカの営巣地およびその周辺で行動が確認されている場所での風車の建設を取り止めるべきです。また、風車の影響によりクマタカの行動圏に変化が生じる可能性があることから、事後調査の対象として位置づけることが必要です。

(2)サシバの生息への影響について

貴社による希少猛禽類調査の結果では、計画地の内外において環境省版レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類のサシバが繁殖期に行動していることを確認しており、計画地およびその周辺はサシバにとって好適な繁殖環境であることを貴社自ら示しています。

サシバは近年、個体数が非常に減少しており(環境省 2013)、保護が急務とされている鳥類です。貴社が計画通り風車を建設すると、計画地およびその周辺においてサシバがバードストライクまたは生息地放棄が生じる可能性があります。貴社の調査結果では高度Mでの確認が多かったことから、特にバードストライクの発生の確率が高くなることを懸念します。
そのため、サシバの保護の観点から、計画地内におけるサシバの営巣地およびその周辺で行動が確認されている場所での風車の建設を取り止めるべきです。

(3)ツル類の移動分散について

貴社による一般鳥類調査の結果では、計画地の内外において環境省版レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類であるマナヅルやナベヅルなどのツル科鳥類(以下、ツル類という)の飛翔行動を確認しており、計画地およびその周辺はツル類の移動分散の経路になっていることを貴社自ら示しています。また、事業予定地の南に流れている薩摩川内川の上流から下流までツル類の越冬地が川沿いに点在しており、さらに南側の南さつま市にも越冬地があることを当会は確認しています。これらのことから、越冬地および中継地である出水平野からこれら南側の越冬地への移動経路上および新たな分散先を探す際の移動経路上に当該事業の計画地が存在していると考えられます。

貴社の調査結果によると、計画地およびその周辺では高度Mでの飛翔が多いことから、計画通り風車を建設すると、計画地およびその周辺においてバードストライク、または移動経路が変わる障壁影響が生じる可能性があります。

環境省は2020年度から出水平野で越冬するツル類に対する給餌量の削減を実施し分散の促進事業が稼働し始めるなど、関係各者はツル類の集中的な越冬地からの分散を促しているところですが、貴社による風車の建設により生じる影響により、ツル類の越冬地への移動や分散を阻害する可能性があります。そのため、ツル類の分散経路等の確保の観点から、ツル類の飛翔が確認された場所での風車の建設を取り止めるべきです。

なお、貴社はツル類の飛翔状況については10/30~11/1および1/10~1/13しか調査していませんが、1月下旬から3月中旬までの春期の移動時期も調査を行い、計画地およびその周辺でのツル類の飛翔状況を詳細に把握すべきです。

以 上

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