公益財団法人 日本野鳥の会

「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに「(仮称)道北北西風力発電事業」に係る要望書を提出しました

日野鳥発第 56 号
平成26年8月29日

北海道知事 高橋はるみ 様
環境省北海道地方環境事務所長 徳丸久衞 様

日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
利尻郡利尻町沓形字富士見町

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

北海道北部における「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに
「(仮称)道北北西部風力発電事業」に係る要望書

 平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
 さて、北海道北部にて計画され、「計画段階配慮書」が縦覧された(株)道北エナジーによる「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに「(仮称)道北北西部風力発電事業」に対し、日本野鳥の会道北支部および(公財)日本野鳥の会は、連名で、別紙(写)のとおり意見書を事業者に提出しました。
 この2件の事業実施想定区域は、稚内市、豊富町、幌延町にわたる宗谷地方の日本海側から内陸の中央部へと非常に広い範囲を想定しており、既存の宗谷岬ウィンドファームをはじめ、浜頓別町および猿払村で予定されている事業を含めると、宗谷地方一帯の鳥類に大きな影響を与えかねない範囲が事業対象になると懸念しています。また、事業者が示す事業内容からすると、少なくとも600基程度の風車が設置される、極めて大規模な事業となります。
 ところで、北海道北部には、利尻礼文サロベツ国立公園、北オホーツク道立自然公園、更にはラムサール条約登録湿地や国内的に稀有な周氷河地形等が存在するなど、その自然景観・環境は一地域だけではなく、北海道、国にとっても貴重な財産になっています。また、自然とふれあえる場として、この地域の自然景観は人工物の少なさが大きな魅力となっており、心の癒しを求め、道民はもとより、国内外から多くの人々がこの地域を訪れています。こうした地域で、今回の2件のような大規模事業が安易に進められることは、鳥類をはじめとする野生動物はもとより、自然景観・環境に対して多大な影響を与え、さらには、人々の心や行動にも多大な影響が及ぶことを懸念しています。
 また、この2件とは別案件ですが、北海道北部の日本海側で同様に事業を計画中の某事業者は、配慮書作成の前段階で、「資料だけでは把握できない鳥類などに関する情報を得ることによって、候補地選定の一助とし、配慮書作成のための助言をもらう」というような位置づけとして、鳥類等の専門家や、関係市町村を含めての有識者検討会を設置しました。これにより、鳥類等の野生生物並びに景観に影響のある区域を想定区域から全て除外することは困難であっても、事業者に対し、ハザードマップ、もしくはアボイドマップのような区域を示唆することが可能になります。
 同じ北海道北部で、同じ風力発電事業でありながら、今回の道北エナジー社は、野生生物や自然環境の保全保護に関わる関係者からの聞き取り等をほとんどすることもないまま計画段階配慮書を提出するなど、事業者が一方的に風力のポテンシャルだけで発電事業の計画を進めることは、極めて遺憾であり、道義的にも許されるべき手法ではありません。
 つきましては、当方から道北エナジー社に送付した「意見書」の写しを添付しますので、内容等をご確認のうえ、北海道知事(環境大臣)としての適切かつ強い意見を述べていただくようつよく要望します。
 さらに、事業者に対しても、事業の推進だけを優先することなく、自然景観・環境並びに鳥類をはじめとする野生生物に関する関係者に対して、丁寧かつ誠意ある説明と意見交換等をするよう、強く指導していただくようあわせて要望します。

本件に関する問い合わせ先

  • 日本野鳥の会道北支部
    支部長 小杉和樹(TEL:01638-4-3145)
  • (公財)日本野鳥の会
    自然保護室(TEL:03-5436-2633、担当:浦 達也)
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