平成25年 12月 24日提出
この度、貴社が作成された「(仮称)むつ小川原港洋上風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。
1.対象事業計画区域で確認されている鳥類について
「第3-30表(1)~(4)」では、オオハムなどのアビ類およびクロガモやコオリガモなど海ガモと言われる鳥類等、欧州における環境影響評価の結果から洋上風力発電施設の建設によって生息が妨害される可能性の高い種が掲載されている。そして、海岸部の土地改変の影響を大きく受けると想定されるシギ・チドリ類の多くの種が生息していることも示されている。また、「3-98~3-102」にあるように、当該地はオジロワシ、オオワシ、オオハクチョウなどガンカモ類の渡り経路・中継地となっていることが示されている。これらの種はいずれも海岸および比較的岸に近い海域に生息する鳥類であり、洋上風力発電施設の建設によって衝突、渡りの阻害、生息地放棄などを起こす可能性があるので、特に配慮書に記載されていないアビ類や海ガモ類については、洋上風力発電との関係で配慮すべき事項を配慮書に記載すべきである。
2.鳥類への影響評価手法と結果について
「5.3-14~5.3-24」にある洋上風力発電およびその付帯施設の建設が鳥類へ及ぼす影響の評価手法とその結果について、風車建設による土地改変面積および空隙率を用いて生息地の損失や衝突事故の発生を評価している。しかし、実際に鳥類へ及ぼす影響を考えるには、改変面積ではない風車や付帯施設の存在そのものが及ぼす忌避効果も加味して、生息地放棄やその質などの低下による影響を考慮すべきである。また、世界的にみて風車間の距離が広いものや単独で建っている風車でも衝突事故が起きていることから、衝突事故については空隙率から計算するのではなく、対象となる鳥類の生態的特徴や環境利用の状況なども考慮して影響評価を行うべきである。
平成25年 12月 24日提出
3.風車列の位置について
1.および2.で述べた意見から考えると、配慮書で示されているA案およびB案とも、一番海岸に近い洋上風力発電および桟橋など付帯施設の存在そのものが、移動阻害によりオオワシやオジロワシなど希少猛禽類およびハクチョウやマガンなどのガンカモ類の渡り経路および中継地利用に影響を及ぼす可能性がある。また、海岸に近い海域は特に移動期および冬季はアビ類や海ガモ類の利用が多い場所となっていることが予測され、そのような場所に洋上風力発電施設を建設すると大規模な生息地放棄が起きると考えられる。そのことから、風車の配置案についてはAおよびB案ではなく、桟橋を伴う発電機列・尾鮫地先・西側については、桟橋を伴わずもっと沖側へ移動、変更するC案を提案すべきである。
以上