2004年3月25日掲載
身近な場所にやってくる渡り鳥として、ツバメが鳥インフルエンザを運んでくるのではと不安に思われている方もいらっしゃるようです。東南アジアでは犠牲者も出ていますので、ご心配に思われるのももっともでしょう。
しかし、鳥インフルエンザがツバメから人にうつることは考えられません。 小さな体で海を越え数千キロも旅をして日本にやって来るツバメたちを、温かく見守ってあげてください。
野外で生活している野鳥から人へ鳥インフルエンザが感染した例はありません。野鳥の中では、カモ類など水鳥が鳥インフルエンザを持っていることがありますが、鳥インフルエンザは高病原性のものであっても人へは感染しないのです。これは、ウイルスへの適合性があるたんぱく質の種類が鳥と人では違うためです。
この冬はアジアの広い地域で鳥インフルエンザが発生しましたが、人が感染したのはタイやベトナムでのごく少数でした。これらの感染例は、飼っていたニワトリの糞の粉塵を吸い込むなど、ウイルスを多量に取り込んでしまった特殊な例と考えられています。
ツバメは人家に営巣しますが、軒先など開放環境に営巣するので、感染の心配はありません。
これからは鳥たちの繁殖期です。繁殖期になると、ツバメなど多くの鳥はなわばりを作ってつがいごとの生活となり、鳥同士の接触も減ります。このような中では、もし渡ってきた時にウイルスを持っていた鳥がいたとしても、他の鳥にうつす機会がないまま、体の中に抗体ができて、ウイルスも消滅してゆくと考えられます。
また、インフルエンザのウイルスは、気温が高くなると寿命が短くなりますし、湿度が高くなると、埃が減るので空中を漂うことも少なくなりますので、感染は終息していくと思われます。
鳥インフルエンザのウイルスとは関係なく、糞がたまると衛生面でも好ましくないので、時々掃除することをお勧めします。
巣の下に糞を受けるもの(古新聞などで十分です)を置いて、時々取り替えたり掃除をすることで清潔にしておくことができます。