2007年3月6日掲載
トリインフルエンザウイルスには様々な系統が存在しますが、感染は野鳥の間で循環していて、しかも感染率が高いのは若い水鳥の一部だけです。こうしたウイルスは病原性が低く、発症しても、症状は軽いものです。家禽がこの「低毒のトリインフルエンザ」(LPAI)ウイルスに感染しても、大事には到りません。
しかし、高密度で集約的に営まれている家禽飼育場では、野鳥に由来するH5亜型やH7亜型ウイルスの変異株が強毒のトリインフルエンザ(HPAI)ウイルスに進化して、家禽の大量死を引き起こす可能性があります。つまり、強毒のH5N1亜型トリインフルエンザウイルスは家禽の病気なのです。現在のところ、強毒のトリインフルエンザウイルスが人間に感染する可能性はきわめて低いのですが、このウイルスが進化を遂げ、急速に人から人へ感染し、人命が失われる可能性が強く懸念されています。野鳥も強毒のトリインフルエンザウイルスに感染して死亡する可能性はありますが、個体群規模ではまれです。野鳥は、感染した家禽やそれらが飼育されている施設に接触することにより、ウイルスに感染していると思われます。
バードライフは、H5N1亜型の強毒のトリインフルエンザウイルスを生態系から完全に除去することを目指していますが、一方、このウイルスが定着してしまった地域もあるので、これが短期間では達成できないことも認識しています。バードライフは、トリインフルエンザにより人命が失われたこと、そして莫大な経済的損失が生じたことに対して、深く懸念しまた心を痛めています。さらに、トリインフルエンザが人間に大流行する可能性も認識しており、強い懸念を持っています。
H5N1ウイルスの感染経路は複数考えられるので、H5N1ウイルスを伝播させることがわかっている、あるいはその疑いが大きい活動を監視・規制することが不可欠です。感染した家禽や未処理の家禽の加工製品(フンも含む)の移動、衛生管理が不十分な輸送用器具の再使用、野鳥の商取引、野鳥の移動など、ウイルスを伝播させる可能性がある行動に対して、有効な対策を講じる必要があります。また、国連食料農業機関(FAO)が危険性の高い行為であると指摘していますが、感染の可能性がある家禽の排泄物(フン)を農業用肥料、養魚や養豚用の飼料として利用することについても、さらに調査する必要があります。
2006年にヨーロッパとイランで野鳥に発生したウイルス感染は、感染した野鳥がウイルスを新たな場所に広げる能力があることを示しています。ウイルスが野鳥に与える影響、野鳥間や野鳥と家禽間の感染力の程度(特に長距離の移動による感染)については、まだわかっていないことが多々あります(「野鳥の役割」の項を参照)。
一方、2006年にカメルーン、エジプト、インド、イスラエル、ヨルダン、ニジェール、ナイジェリア、ジブチ、ラオス、パキスタンで発生したウイルス感染は家禽飼育産業が感染源でした(「H5N1ウイルス大規模感染の要約」(2006年10月8日発表、英文))。2007年にハンガリー、韓国、日本、タイ、インドネシアなどで発生している最近のウイルス感染も家禽産業が関わっています。
H5N1ウイルスの感染事例の例にもれず、ここでも家禽やその加工製品の移動が感染源であることをを強く示す状況証拠があります。上記の国の多くでは、家禽のウイルス感染が複数の大規模家禽飼育施設を運営する企業内でほぼ同時に発生しています。このことは、渡り鳥は感染源ではありえないことを示しています。さらに、感染の発生した時期と場所は、渡り鳥の動きとは一致しません。
東南アジア諸国に関しては、最近実施されたウイルスの包括的な系統分析の結果から、国内外の家禽の移動がウイルス感染の再発の原因であり、「家禽間の感染がこの地域にH5N1ウイルス感染を繰り返し発生させている要因」です(チェンら、PNAS, 103: 2845-2850)。
2006年の初頭に香港で発見された「野鳥」の死亡個体と2007年にさらに発見された事例は、いずれも市街地で、本来の生息地から遠く離れているか、あるいは腐肉食性の種(「スカベンジャー種」訳注:他の動物の死体を食べるもの)でした。こうした死亡個体は、宗教的な理由で放鳥(訳注:日本でも「放生会」といった名称で仏教・神道の儀式として行われていた)された飼い鳥であることを強く示す状況証拠があります。こうした宗教がらみの野鳥は生きた動物を売買する市場(生鳥市場)で取引されることが多いですが、生鳥市場においてH5N1ウイルスが効率的に伝播するのはよく知られた事実です。生鳥市場でウイルス感染した野鳥を通じてH5N1ウイルスが国内に持ち込まれることが懸念されたため、2007年1月に欧州連合(EU)加盟国では、野外で捕獲された鳥の輸入を期限を定めず禁止する措置が取られました。さらに、香港でもそうした野鳥の輸入禁止を求める声が出ています。
H5N1ウイルスの大規模感染が続発しているので、実効性のある対応策を迅速かつ冷静に講じることが求められます。バードライフは以下のことを特に提言します。
H5N1ウイルスの感染防止策として、野鳥の駆除、生息地の破壊、繁殖地やねぐらからの追い出しを行なうことを提唱している政府もありますが、そのような方策は効果がないだけでなく、適切な対応策を講じる妨げとなり、状況を悪化させかねません。さらに、生息地の喪失ですでにストレスを受けている種に追い討ちをかける可能性もあります。
人間がH5N1ウイルスに感染する危険性はきわめて低いものです。人への感染例は、ほとんどが感染した家禽と頻繁に濃密に接触した結果です。しかし、特にアジアにおいて言えることですが、高頻度で家禽と接触を持つ人の数に比べると、知られている感染者の数は小さなものです。
トリインフルエンザの脅威に効果的に対処するためには、獣医師、家禽飼育産業、食料・農業・厚生・環境の各行政機関の協力が必要だと、バードライフは考えています。収集された情報を最大限に活用するためには、野鳥に発生したH5N1ウイルスの感染に鳥類学の専門知識を活かす必要があります。国連環境計画の「移動性野生動物の種の保全に関する条約(CMS、通称ボン条約)」が召集する、トリインフルエンザ対策委員会および欧州連合(EU)のORNIS委員会の会合にバードライフは積極的に参加しています。尚、この対策委員会は国連の4機関を含む9つの国際組織の研究者や環境保護関係者が構成委員を務めています。
2006年末と2007年始めに、家禽における新たなH5N1ウイルスの感染発生がベトナム(感染が速い速度で進行)、ナイジェリア、タイ(初めての感染発生から6ヶ月)、韓国、日本で報告されました。これらの国々ではこの感染発生に対応する野鳥の感染は発生していません。韓国と日本では、2004年以来、H5N1ウイルスは見つかっていませんでしたが、両国における感染発生の原因は、不明のまま残っています。
香港では、H5N1は中国から違法に輸入されたニワトリと、様々な種の少数の野鳥から確認されています。これらの野鳥は、状況証拠からいうと、いわゆる「放生会」のために捕獲され持ち込まれた個体(あるいはそれらを捕食した個体)ではないかと思われます。しかしこの仮説はまだ検証されていません。香港の事例を除いては、2006年8月以降、H5N1ウイルスは野鳥の間では確認されていません。
ごく最近のパキスタンにおける2つの感染発生が、2月7日に報道されました。1例は「土着種のニワトリ」、そしてもう1例は「裏庭で飼われる愛玩用家禽」(クジャク類、キジ類、ハト類、インコ類)です。国際獣疫事務局(OIE)の報告書は、ウイルスの起源は新しく野鳥が持ち込まれたことによるとしていますが、それらがどこから持ち込まれたかを明らかにしていません。
H5N1ウイルスが不運にして人に感染し死亡する事例は続いており、インドネシア、中国、エジプト、から、そしてナイジェリアでもこのほど初の死亡が報告されました。
ハンガリーでは、1月24日にH5N1ウイルスが、南東部のCsongrádの1ヶ所の飼育場に飼われていた3,000羽を超えるガチョウにおいて確認されました。Csongrádは2006年半ばに発生した前回の感染発生地(主に農場のアヒルとガチョウが感染)に県境を接しています。ウイルスの遺伝子の詳細はまだ明らかではありませんが、初期の報告は、2006年の感染発生時のものとは大幅に異なるとしています。ハンガリーの感染発生の起源は分かっていません。
英国では、2月3日にH5N1ウイルスがイングランド東部のサフォーク州の大規模なシチメンチョウの閉鎖式の飼育場で確認されました。感染したシチメンチョウの数は159,000羽に上ります。英国の当局は目下、サフォーク州における感染発生の原因は、ハンガリーから輸送された家禽産物がウイルスに汚染されていたためである可能性が強いとしています。サフォーク州の飼育場を所有しているバーナード・マシューズ社は、SáGa Foodsという家禽肉加工のための子会社をハンガリーに所有しています。毎週、38トンものシチメンチョウの半加工された肉が、ハンガリーからサフォーク州の飼育場にある肉加工工場(感染発生が始まった飼育場の隣にある建物)に運び込まれていました。英国の報道機関は、サフォーク州で見つかったウイルスの遺伝子は、約10日前に見つかったハンガリーと同一であったと報じています。
ハンガリーでも英国でも、政府当局は欧州連合(EU)のウイルス管理に関する法令(強化改訂されたもの)のガイドラインに従って、速やかに家禽の処分と移動制限地域の設置を行いました。英国では数人の人が家禽の処分の後に体調を崩しましたが、H5N1ウイルスの検査結果は陰性でした。
ロシア政府当局は、1月末ごろにクラスノダール地域(ウクライナと黒海に近い)の3つの村落においてH5N1ウイルスの感染発生が生じたことを報告しました。しかしこれらの感染発生、及びH5N1亜型という鑑定結果については、まだ確認が取れていません。
一番最近のH5N1ウイルスの渡り性の野鳥への大規模な感染事例は、2006年8月にロシアとモンゴルの国境にあるウブス湖地域で起きており、弱った鳥や死亡した鳥が見つかりました。野鳥のサンプル調査は世界の各地で数多く行われてきていますが、健全な渡り鳥がH5N1ウイルスに陽性反応を示したという信頼できる記録はなく、このことを否定する主張は裏づけを欠いています(Feare & Yasue,Virology (ウイルス学) 3: 96-99を参照)。
2006年の初頭に、ヨーロッパ各地で野鳥にウイルス感染が発生し、5月に突然終息しました(スペインでは、7月にカンムリカイツブリPodiceps cristatusの古い死体が報告されていますが、おそらく新たに感染が起こったのではないと思われます)。ほとんどの場合、感染した個体の数は比較的少数でした(10羽以下の場合が多い)。ドイツのリューゲン島での死亡事例では、H5N1ウイルスに対して陽性反応を示したのは200羽以上でしたが、全死亡数(数千羽)のうちのおよそ3%でした。
ヨーロッパで発生したこのような感染事例から、野鳥には感染後にウイルスを別の地域へ運ぶ能力があることはわかりました。しかしそのメカニズムはまだ解明されていません。ウイルスに感染した個体が死亡するまでのしばらくの間に移動し、別の鳥の群れにウイルスを移すことによって、馬跳び式にウイルスを広い地域に広めて行くという可能性はあります。また、H5N1ウイルスに対する耐性を持っていて、自身は重症になることなく、他の個体にウイルスを伝染させることができる種が存在するのかも知れません(Feare & Yasue,ウイルス学3: 96-99)。ヨーロッパで2月に発生したウイルス感染は、例年にない寒さに見舞われた野鳥が黒海とカスピ海地域から移動せざるを得なかったことに関連しています。当時、この地域では家禽の間にH5N1ウイルス感染が広まっており、衛生管理は徹底されていませんでした。
アフリカでも、2006年の初頭に家禽にウイルス感染が発生しました(ナイジェリアが感染源)。これはヨーロッパの場合と異なり、渡り鳥がH5N1ウイルスをアフリカに運んだ可能性は考えられません。政府機関による調査とかなり確実な状況証拠から、家禽およびその加工製品の移動がウイルス感染の原因であることが示唆されています。感染発生の時期や場所は、渡り鳥の動きと一致していません。さらに、ナイジェリアやエジプトなどの国では、複数の大規模家禽飼育施設を運営する企業内の各施設でほぼ同時に、ウイルス感染が発生しています。こうした状況は渡り鳥が感染源ではないことを示しています。特に、東アフリカではそれに先立って重要な湿地で感染の監視が行なわれていたので、H5N1ウイルスが野鳥によってアフリカへ運ばれたのあれば、ウイルス感染は発見されたはずです。
同様に、アジアでも、野鳥の移動はH5N1ウイルス感染の主な原因となってはいません。ウイルスは既に1996年に発見されているからです。2005年4月以前にはアジアでは、弱った、あるいは死亡した少数の野鳥からH5N1ウイルスが見つかっていましたが、それらの野鳥は、家禽飼育場や生きた動物を売る市場の付近で死体を食べていた、広域に分布する渡りをしない種(スカベンジャー種)か、捕獲された野鳥でした(表2を参照)。
しかし、2005年の4月から6月にかけて、中国北西部の青海湖とモンゴルのエルヘル湖で、渡りをする野鳥において、大量死が発生しました(青海湖:6,300羽、エルヘル湖:130羽)。死亡した個体の中には、H5N1感染の症状や、ウイルス検査で陽性反応を示したものもいます。青海湖付近には家禽飼育施設が存在しますが、エルヘル湖周辺には一ヶ所もないと言われているので、野鳥が遠く離れた地域にH5N1ウイルスを伝播することができるかどうかに関心が高まっています。
青海湖とエルヘル湖で野鳥がH5N1ウイルスに感染した経路は、まだ明らかになっていません。インドガンAnser indicusは、青海湖で最初にH5N1ウイルスに感染して大量死した種です。大量死は越冬地から飛来して数週間後に発生しているものの、H5N1ウイルスの感染源は青海湖周辺と思われています。インドガンの感染源は、どれと特定されていませんが家禽飼育場が原因である可能性があります。また、青海湖にあるインドガンの人工繁殖施設も感染源の可能性があります(バトラー 2006;H5N1ウイルス感染は公式には報告されていない)。この施設ではインドガンを家禽化するために、人工繁殖する一方、放鳥も行なっています。2006年に中国の北西部で報告のあったインドガンのウイルス感染は、すべてこうした放鳥場所近くで発生しています。インドガン以外の種ものちに青海湖でウイルスに感染しています。この感染で4つの異なるウイルスの系統が検出されましたが、インドガンから感染したのか、別の感染源から感染したのかは明らかになっていません(チェンら 2006)。ウイルス感染発生の範囲はきわめて狭く、青海湖周辺にある湿地ではインドガンやその他の野鳥の死亡は確認されていません。青海湖や他の野鳥に関するウイルス感染の詳細は、「野鳥のH5N1ウイルス感染(PDF 190 KB、英文)」を参照して下さい。
モンゴルのエルヘル湖で2005年7月に、H5N1ウイルスにより弱ったり死亡して見つかった個体は、主にインドガンとオオハクチョウCygnus
cygnusで、少数からウイルス感染が見つかりました。エルヘル湖のウイルス感染は青海湖のあとで発生しているので、調査者は、渡り鳥がウイルスをモンゴルへ運んだ可能性を疑いました。青海湖のウイルス感染でもインドガンとオオハクチョウが死亡しており、青海湖で検出されたH5N1ウイルスの4つの系統のうちの1つが、エルヘル湖でも検出されています。しかし、インドガンもオオハクチョウも、モンゴルにはウイルス感染が発生する数ヶ月前に繁殖のために到着していたはずです。また、感染が起きた時期は、換羽の終わり近い時期に当たりますが、換羽期にはこれらの種は移動は行わないのです(訳注 ガンやハクチョウは換羽の時期には飛べなくなるため)。したがって、両種が青海湖からエルヘル湖へウイルスを運んだとは考えられないのです。エルヘル湖から450キロメートル以内にある8ヶ所の湿地では、大量死事件が起きた兆候は全くありません。感染が発生した時期に、4,119羽の健全な野鳥に対しH5N1ウイルスの検査を実施したところ、すべてが陰性でした。エルヘル湖では野鳥の大量死は起きていますが、実際にウイルス検査で陽性を示した個体は数少なく、H5N1ウイルスに感染した鳥の割合は、生きている鳥と死亡した鳥の合計のわずか0~1%と推定されています。エルヘル湖におけるH5N1ウイルス感染は限定された地域内のみで発生しており、感染した野鳥がウイルスを別の地域へ伝播させることはなかったし、仲間同士でも大きな感染は起きなかったことをこうした事実は示しています。
2005年と2006年に、感染が発生したモンゴル、中国、ロシアの繁殖地と、南のアジア・太平洋地域の越冬地の間の渡り経路で、道状に渡り鳥の死体が発見されたという事実がないことは、渡り鳥が春と秋の渡りに際して大陸から大陸へウイルスを長距離運んではいないことを示しています。アジア・太平洋地域では、野鳥の監視を行なっていない国や地域があるので、野鳥の大量死が見過ごされてしまった可能性はあります。しかし、H5N1ウイルス感染の発生地域(東南アジアやシベリア)からの渡り経路上に位置する日本、韓国、フィリピン、オランダ、フィンランドなどの国では、最近、H5N1ウイルスの感染は発生していません。こうした国々では、主要なガンカモ類の越冬地や渡りの中継地で広範囲にわたる野鳥の監視を実施しています。日本と韓国では、2003年から2004年にかけて家禽とスカベンジャー種(カラス類)だけに発生したウイルス感染を、家禽の輸入停止措置を講じることにより防止した後は、感染発生は起きていませんでしたが、2007年の初頭に商業的な家禽飼育施設で再びウイルス感染が発生しました。少数の例外を除き、家禽間の伝播の時期やパターンと、野鳥の渡りとの間に、相関関係はほとんど認められていません。
それにもかかわらず、2005年の秋に黒海とカスピ海で発生したウイルス感染の時期と場所は、南西の渡り経路に沿っていると主張する関係機関もあります。黒海とカスピ海で発生したウイルス感染は、2005年の夏に、ロシアの家禽とロシア南西部の野生のガンカモ類でH5N1ウイルスが検出されたあとのことですが、渡り経路上では野鳥の死体は発見されていないようです。野鳥の死亡が起きたのは狭い地域に限定されています。少なくともある事例では、大きな群れの中の数個体が死亡したに過ぎません。野鳥が関わっていることを示す証拠は状況証拠の域を出ていません。2005年の後半にトリインフルエンザが西の方へ広まった原因として、家禽やその加工製品の移動説も同様に有力です(「家禽と家禽からの生産物の移動」の項を参照)。さらに、2006年の春の渡りの時期に、ウイルス感染の再発はありませんでした。
H5N1ウイルスの感染拡大に野鳥が果す役割でよくわかっていないことのひとつは、感染した野鳥が発症せずに、ウイルスを運び、伝播させることができるかどうかという点です。渡り鳥はウイルスに感染しても発症しないことを立証したと称される研究報告は、今のところ、中国のポーヤン湖で行なわれた検査に基づくものだけです。研究報告によると、13,000羽を超える野鳥を検査して、陽性反応を示した個体は6羽だけでした。検査を行なった研究者は十分に詳細な鳥類学的なデータや生態学的なデータ(陽性反応を示した鳥類種、捕獲場所、サンプリングの方法など)を発表していないので、この結果の普遍性を評価するためには、さらに研究が必要です(データ・サーベイランス論、英文と、MB, Yasue et al,BioScience 56: 1-7、英文を参照)。
ヨーロッパ、アフリカ、アジアで、これまでに検査された健全な野鳥は何千羽にも上りますが、H5N1ウイルスは検出されていません。しかし、この結果を解釈するときには、慎重を期す必要もあります。感染率が非常に低いと、無症候性の感染を検出するためには、もっと多くのサンプリングを必要とするかも知れないからです。さらに、最近の調査(Fouchier et al. 2006 トリインフルエンザに関する国連食料農業機関会議)は、H5N1ウイルスを実験的に感染させた水面採食ガモには、フンと一緒にウイルスを排泄せず、発症もしない種がいることを示しています。気管の方がウイルスを検出できる可能性が高いのですが、気管ではなく排泄物や排泄口を綿棒で拭き取る方式がH5N1ウイルスの検査の主流です。したがって、こうした検査では、H5N1ウイルスが検出されない種がいる可能性があります。今後は、気管を拭き取る方式を用いるべきでしょう。H5N1ウイルス感染の空間的時間的発生パターンを解明するためには、野生のガンカモ類の個体群で、種に特異的な病原性に関する調査をさらに行なうことがきわめて重要です。
野鳥のH5N1ウイルスの疫学的理解やウイルスの挙動の解明は、未だにきわめて不十分です。H5N1ウイルスの研究は大部分が実験室の家畜・家禽で行なわれてきました。重要でも解明されていないことに、感染した野鳥から他のガンカモ類や家禽へウイルスが移る感染のしやすさの問題があります。しかし、2006年の初頭にヨーロッパで、小規模ですが、こうした感染は起きたようです。感染した個体が長距離の渡りを行なえるかどうかに関する情報は皆無ですが、渡りを行なっている間は、病気に対する耐性が抑制される可能性があることを示唆する証拠が蓄積されつつあります。宿主の種やウイルスの系統によって、感染率や病原性はきわめて変異に富むことを示唆する証拠は少ないがあります。
感染の一般的な発生パターン、感染経路、渡り鳥の個体群に及ぼす可能性のある影響を理解するためには、質の高い情報の収集や公開がきわめて重要です。こうした情報は、不測の事態対応の集中化、将来の感染の発生予測、トリインフルエンザの経済や環境保全への影響を低減する有効な政策の策定に利用できるからです。
強毒のH5N1亜型ウイルスの感染拡大の防止に努める方々のために、監視データや検査データをすべて公開して、研究者が自由に利用できる環境を整えることが望ましいと、バ-ドライフは考えています。
東南アジアで発生したウイルス感染の大半は、家禽および家禽の排泄物(フン)や加工製品の移動や、水、藁、車両に付着した泥、衣服、靴など、ウイルスに汚染された物質が家禽飼育場から不用意に持ち出されたことと関連があります。世界的には規制のない家禽の移動が未だに重要な感染源となっています。「アジアにおけるH5N1インフルエンザ・ウイルスの多亜系の特定:流行防止の展望」(国立科学院報告、2006年2月21日)と題する論文で、チェンらはウイルスの系統を分析し、東南アジアで発生した大規模感染の原因は家禽の移動であるという結論を下しています。
国連食料農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)および世界保健機関(WHO)によると、東南アジアで発生したウイルス感染に大きな役割を果したのは、生きた動物の市場(「生鳥市場」)と思われます。1997年に香港の家禽飼育場で発生したH5N1ウイルス感染の感染源として、生きた動物の市場が特定されました。生鳥市場のニワトリの20%がウイルスに感染していて、ベトナムも状況は同じでした。2004年に家禽飼育場で大規模感染が発生しましたが、その3年前にハノイの市場のガチョウがH5N1ウイルスに感染していたことが報告されています(トリインフルエンザおよび人の健康に関するFAO/OIE/WHOの諮問:アジアにおける動物の増殖、売買および同居の危険削減策、クアラルンプール、マレーシア、2005年7月)。
さらに、家禽に関しては、違法なものも含め、大規模な国際取引が存在します。合法的な取引では、家禽が文字通り、何百万羽単位で世界各地へ輸送されています。具体例を挙げると、ウイルスの大規模感染が発生する前のエジプトは、年に1億8千万羽の1日齢のヒナ鳥と50万羽の成鳥を輸出していました。2004年にウクライナはニワトリを1,200万羽、ルーマニアは1,600万羽、輸入しています。トルコでは一ヶ所の農場で、年に1億個以上の孵化卵を生産することができ、主に東欧と中東に輸出されています。2006年にインド、ナイジェリア、エジプトで発生した大規模感染は家禽産業がその感染源で、家禽およびその加工製品の移動が感染を広めた疑いが強いのです。2007年にタイ、韓国および日本でウイルス感染が再び発生しましたが、その感染も家禽飼育施設でおきています。
当然のことながら、家禽の違法取引に関する情報は入手困難ですが、2006年の2月と7月に、家禽の肉がアジアからアメリカへ違法に輸出されていたことが判明しました。2005年10月に、中国から密輸された3,000羽のニワトリがイタリア当局に押収されました。2005年11月には、おそらく何百万トンにも上ると思われますが、大量のニワトリの肉が中国から密輸されたことを英国当局が明らかにしました。国内の食品製造業者に売り渡す前に、ラベルが不正に張り替えられていました。また、2006年2月には、中国から密輸された20キロのニワトリの舌がリオデジャネイロで、ブラジル当局に摘発されました。さらに、中国から密輸された21トンの家禽の肉がスペインの南部で押収されました。中国とベトナムでは陸路経由で大規模な家禽の密輸が行なわれているという報告が多数あります。密輸される家禽の多くは健康状態が不良です。2006年12月にベトナムの中部で実施された検査では、75%に上る家禽がウイルスに対して陽性反応を示しました。このことは、感染の危険性が広く公表さているにもかかわらず、国境の取り締りがまだ十分でないことを示しています。中央アジアでは違法な家禽の輸送が横行していると、報告されています。2005年のウクライナの獣医学局の発表によると、第3国から輸入された肉が違法にロシアに再輸出されているケースがかなりあるようです。
ニワトリやアヒルなどの家禽の排泄物(フン)やその他の家禽の副産物(例えば、死亡した鳥や羽など)が農業や水産養殖で肥料や飼料として、未処理のまま広く利用されていますが、こうした方面も精査を行なう必要があります。H5N1ウイルスに感染した家禽はウイルスをフンと一緒に排泄します。トリインフルエンザウイルスは、排泄物などの有機物質の中では数週間、活動を停止している可能性があるので、感染した鳥のフンを未処理のまま養魚池や畑に撒くと、新たな感染源になる可能性があります。こうした危険性は1988年にすでに認識されていたにもかかわらず、これまでほとんど調査されていません。2006年の後半にヨーロッパで発生した唯一のH5N1ウイルス感染は、飼われていたコクチョウCygnus atratus(オーストラリアの種)における発生です。このコクチョウは8月にドレスデンの動物園で死亡しましたが、2006年4月に孵化して、観賞用の池で飼われていました。池で使用されていた人工の餌が感染源のひとつとして考えられています。
ロシアや東欧、東南アジアでは、ニワトリの排泄物が水産養殖場で飼料として利用されています。家禽の排泄物は農地にも撒かれていますが、撒かれた排泄物は必ず河川に流れ込みます。未処理の家禽のフンを集めて、輸送すると、きわめて効率よくウイルスが広まります。「トリインフルエンザを経験した国や危険のある国では、たとえ熱処理を施し、適切に堆肥にしたり、サイロに貯蔵したりしても、家禽の排泄物や家禽飼育場で使用したわらなどを飼料として利用することは禁止することが望ましい」と、国連食料農業機関(FAO)は提言しています。
詳細は2006年3月のバードライフ報告、「養魚とトリインフルエンザ拡散の危険性」(BirdLife’s March 2006 report, Fish farming and the risk of spread of avian influenza;PDF, 200 KB、英文)を参照して下さい。
飼い鳥の違法取引の横行により、H5N1ウイルスに感染した鳥が遠い地域にまで運ばれています。例を挙げると、台湾当局はこれまでに、感染した鳥が中国本土から密輸されるのを2度押さえています。英国の鳥類検疫所で発生したH5N1ウイルスの感染も合法的に見せかけて、違法に輸入された鳥が感染源と考えられます。問題の鳥(ゴシキソウシチョウLeiothrix argentauris)は台湾原産ではないからです。2004年にタイからベルギーに手荷物として密輸されたクマタカSpizaetus nipalensisのつがいがウイルスに感染していることが判明しました。飼い鳥の感染源はアジアの生鳥市場である可能性が最も高いのです。家禽や捕獲された野鳥は、狭いところに押し込められて売られているので、排泄物で相互に汚染し合う危険性が高いからです。2006年と2007年の初頭に、香港で発見された死亡した「野鳥」はウイルスに感染していましたが、感染源はおそらく生鳥市場でしょう。香港には宗教的な理由で放鳥される捕獲された野鳥の大規模な商取引(2005年だけで、少なくとも50万羽と言われている)が存在しますが、このウイルスに感染した鳥はその一部であることを示す証拠があります。
H5N1ウイルスの感染を予防するためには、家禽の監視と検査、家禽とその加工製品および飼い鳥の移動や売買の規制、農業や水産養殖における家禽の排泄物の使用規制、家禽およびその加工製品や捕獲された野鳥の不法取引の取り締り強化など、総合的な安全管理を徹底することが重要です。特に、監視の対象にアヒルを含めるのが望ましいです。アヒルはウイルスに感染しても無症状でいられることが知られていて、感染が見落とされやすいからです。感染経路、感染率、ウイルスの生存率に関する実験室の実験結果から、H5N1ウイルスの挙動は他のトリインフルエンザウイルスとは大きく異なることが強く示唆されるようになりました。これはH5N1ウイルスが野鳥ではなく、家禽の置かれた環境に適応した結果であることが関係していると思われます。家禽産業が現在の強毒のH5N1ウイルスを生み出し、感染拡大に大きな役割を果しているのです。野鳥だけを考えるのは誤りであり、費用や労力を無駄にするおそれがあります。
屋内飼育や(家禽への)予防接種などの問題に関しては、獣医師の指導に従うことが望ましいことです。十分な抗原が含まれていれば、予防接種は効果が期待できますが、質の劣るワクチンは病気の発症を押さえるものの、ウイルスの増殖、感染、進化を許してしまいます。予防接種の利点に関して、ウイルスの研究者、獣医師、政治家の間で議論が続けられています(予防接種に関する議論の詳細は国連食料農業機関のウェブサイトやネイチャー誌を参照して下さい)。
H5N1ウイルスが家禽や人に感染する危険を減らすために、2005年と2006年に、野鳥の駆除や生息地からの締め出し、生息地の破壊や巣落としを提唱した政府高官がいましたが、世界保健機関(WHO)、国連食料農業機関(FAO)および国際獣疫事務局(OIE)は、野鳥の駆除によるトリインフルエンザの防止は現実的でないという意見で一致しています。駆除や放逐を試みると、かえって野鳥が移動することによりウイルスをより広い範囲へ伝播させるおそれがあり、事態を悪化させてしまいます。野鳥における疫学的監視強化や、野鳥の個体群におけるウイルスの挙動に関する詳細な調査を実施することがきわめて重要です。国によっては死亡した野鳥やH5N1ウイルス感染を発見し、報告できる態勢を整えることが急務な場合もあります。
H5N1ウイルスは人に重大な病気を引き起こす可能性はあるものの、感染力は弱いものです。鳥から人へはまだ感染しにくい状態です。通常は長時間にわたり濃密に接触しなければ、感染しません。今のところ、人から人への感染は、もしあったとしてもきわめてまれであると考えられます。一方、こうした人から人への接触感染が北スマトラで起きたと考えられており、H5N1ウイルス感染により家族6名が死亡しています。人から人へたやすく感染して、大流行を引き起こす型に進化する可能性が懸念されています。
この100年の間に、A型のインフルエンザが少なくとも3回大流行し、世界中で多くの人命が失われました。こうした危険なウイルスの系統の起源は特定されていませんが、少なくとも2つの系統は、おそらくブタを介してと思われますが、鳥と人のインフルエンザウイルスが出会い、遺伝物質を入れ替えたときに、生まれたと考えられています。H5N1ウイルスは中間宿主を介さずに、家禽から直接人間に感染できる、めずらしい系統なので、H5N1ウイルスの感染が後を絶たないと、こうした進化が再び起こる確率が高まります。
人への感染は、ほとんどが家禽と濃密な接触を持つ人の間で起きています。家禽や野生のガンカモ類で発生した感染の規模や範囲を考えると、人の感染件数は比較的少ないです(世界保健機関の統計によると、2007年1月15日現在、261件の感染が確認されており、死亡者数は161人)。これは、ウイルスが家禽から人へ感染する能力がまだ低いことを示しています。
バードウォッチングに行ったり、庭に餌台を設置したりしても感染することはありません。しかし、野鳥の死体にはさわらない、餌台の清掃や餌出しを行なったあとは、石鹸で手を洗うなど、常識的な注意事項を守る必要はあります。いずれにしても、こうした注意事項を守ることは望ましいことです。野鳥はH5N1ウイルスに限らず、人体に害を及ぼす危険性のある病原体を持っている可能性があるからです。H5N1ウイルス感染が発生した地域、とりわけ水域に近い地域では、獣医師の指示に従って、適切な検疫期間を設けるのが望ましいことです。トリインフルエンザウイルスには水や排泄物の中では長期間、生存できる能力があるからです(水中ではpH、塩分濃度、温度などによるが、100日までは生存可能)。また、感染が起きている水域では遊泳しないことです。
H5N1ウイルス感染が発生した国では、家禽や他の飼い鳥を取り扱う人に対しては、予防措置を徹底させ、鳥にウイルスを感染させないようにする必要があります。野鳥や野鳥が利用する池などの水に直接接触することをできるだけ避けるのが望ましいことです。
絶滅が危惧されている種や数ヶ所の地域だけに集まる種に対して、H5N1ウイルスは大きな被害を及ぼす可能性があります。世界的に絶滅が危惧されている鳥が少なくとも2種、すでに影響を受けています。野鳥に発生したウイルス感染の報告の多くは感染種を特定していないので、感染が気付かれていない絶滅危惧種が他にもいる可能性があります。2006年2月にギリシャで、アオガンBanta
ruficollisの死亡個体からH5N1ウイルスが検出されましたが、これは重大な問題です。全世界の個体数(88,000羽)の90%が集まるのがルーマニアとブルガリアの5ヶ所のねぐらなのですが、この2国ではウイルス感染が発生しているからです。さらに、2005年の夏に中国北西部の青海湖で発生したウイルス感染で、世界的に絶滅が危惧されているオグロヅルGrus nigricollisが死亡しています(チェンら、2006)。また、飼育下の個体がどのくらい入っていたのかは不明ですが、2005年の春に青海湖で死亡が確認されたインドガンは、全世界の個体数の5%~10%に相当すると推定されています。2006年5月には、中国北西部の青海湖と西蔵地方(チベット自治区)で、600羽を超えるインドガンがH5N1ウイルスに感染して死亡したと言われています。
しかし、これまでにウイルスに感染した野鳥の個体数は少ないです。家禽飼育施設での感染率の高さとは対照的に、自然界で野鳥に感染する力はまだ弱いと思われます。毎年、インフルエンザウイルス以外の一般的な病気で死亡する個体の方がはるかに多いです。例えば、ドイツ北部のニーダーザクセン州の報告によると、今年、検査のために持ち込まれた7,000羽の死亡個体のうち、H5N1ウイルスに感染していたのは0.1%に満たないものでした。
H5N1ウイルスの感染を防止するために、政府や一般大衆が行なう誤った駆除や生息地の破壊行為の方が野生生物にとっては、ウイルス感染による死亡よりも大きな脅威でしょう。野鳥がマスコミで悪者扱いされています。政治家がハンターに、渡ってくる鳥を1羽残らず打ち落とすように要請した国もあります。水鳥の飛来地と繁殖地をなくすという口実のもとに、湿地の干拓計画を復活させた政府もあると報じられています。トリインフルエンザの感染防止に役立つという誤った思い込みから、人間の近くで繁殖しているツバメHirundo rusticaやイワツバメDelichon urbicaなどの野鳥の巣落しが行なわれていますが、こうした行為は野鳥を含めた生物の多様性を損なう危険性があります。
先にも述たようにバードライフ・インターナショナルはトリインフルエンザ対策委員会の委員を務めています。本委員会はウイルス感染の原因に関して、詳細なデータや情報を求めるとともに、トリインフルエンザの発生の早期報告と監視体制の確立に尽力しています。トリインフルエンザに関する最新情報を分析し、解明の進んでいない部分を特定して、トリインフルエンザが社会や経済、環境に及ぼす影響の削減策を提言するために、2006年の4月上旬に、生態学、鳥類学、ウイルス学、獣医学の分野の専門家が会合を開きました(www.cms.int/avianflu/conclusions rec ai seminar.pdfを参照)。
トリインフルエンザ対策委員会は「トリインフルエンザと野鳥」に関する小冊子を最近発行しました(www.cms.int/avianflu/cms ai brochure sep06.pdfを参照)。
2006年の5月下旬にバードライフインターナショナルは、国連食料農業機関(FAO)および国際獣疫事務局(OIE)による「トリインフルエンザ会議」にも出席しました。野鳥のトリインフルエンザに関するデータの質と量を高めるために、会議では「世界トリインフルエンザ監視ネットワーク(GAINS)」の設立が決定されました。バードライフは「GAINS」のパートナーとして、重要湿地(重要野鳥生息地)で病気や死亡した野鳥の個体数に関する基礎データを現在収集しています。
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原典:http://www.birdlife.org/action/science/species/avian_flu/index.html (c)BirdLife International.
(バードライフ・インターナショナルの許可を得て翻訳。なお、この声明の翻訳にあたっては、黒沢隆さん、黒沢玲子さんにお世話になりました。記して感謝します。訳文の文責は(財)日本野鳥の会にあります。(財)日本野鳥の会)