公益財団法人 日本野鳥の会

2008年4月の韓国での発生と日本などへの渡り鳥

2008年4月11日掲載

2008年4月の韓国での発生

韓国からの報道によると、4月1日に全羅北道の養鶏場で強毒の高病原性鳥インフルエンザの届出が出されたとのことです(H5N1亜型確認は4月2日)。続いて3日には同道の「カモ飼育農場」(編注:アヒルの飼育場と思われる)でも届出が出されています(5日に感染確認)。発生地付近では、韓国の当局により防疫措置が実施されています。
韓国では、2003年12月に初めて強毒高病原性鳥インフルエンザ感染が報告され、2006年11月-2007年3月にも発生していますが、冬以外の季節に発見されたのは今回が初めてです。

この時期の日本・韓国への渡り鳥

春はツバメやカッコウなど国外から日本や韓国に来る渡り鳥が多い時期です。しかしその経路は、東南アジアなど南の越冬地から日本や韓国、さらに北のシベリアなどへ向かう、南から北への移動が主流です。朝鮮半島から日本へ、北から南へ向かう移動を行う渡り鳥はほとんどいません。また、南から北へ向かう渡り鳥の動きも、3月から4月前半は時期的に早く、飛来がまだあまりない時期です。

渡り鳥が感染を広げた報告はありません

野鳥への感染事例から、野鳥がウイルスを遠い地域まで運ぶ可能性があることは分かってきました。そのため渡り鳥が鳥インフルエンザを運んでいるのかどうかを明らかにすべく、世界各地で渡り鳥のウイルス保有調査などの広範囲な調査と研究が進められています。しかし、これまでの調査では、世界的に見ても、渡りの経路に沿って野鳥がウイルスを伝播した証拠は発見されていません。
http://www.wbsj.org/nature/hogo/kyozon/influenza060314.html

野鳥から人への感染例はありません

野鳥から人へ鳥インフルエンザが感染した例は、世界でもありません。ウイルスは鳥の細胞表面のたんぱく質に適合していますが、鳥と人ではたんぱく質の種類が違うので、高病原性でも鳥インフルエンザは人へ感染しないのです。
アジアでは、鳥インフルエンザで尊い人命が失われています。これらは、飼っているニワトリのフンの粉塵を吸い込んだり、食用に処理する時に鳥の血液がかかるなどして、ウイルスを多量に取り込んでしまった特殊な例と考えられています。

軒先のツバメ、庭のスズメ、ゴミ置き場のカラスなど野鳥は身近にいますが、普通に人と野鳥が接している限り、感染につながる大量のウイルスの取り込みはまず考えられません。そのため世界的にも野鳥から人への感染は発生していないのです。

身近にいる野鳥から、あるいは鶏卵、鶏肉を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていません。

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