公益財団法人 日本野鳥の会

鳥インフルエンザと餌台について

2011年2月1日掲載

鳥インフルエンザ 餌台の野鳥を怖がる必要はありません

全国で、水鳥などの野鳥やニワトリで高病原性の鳥インフルエンザの発生が続いていますが、家の庭などの餌台での野鳥から人への感染を恐れる必要はありません。

鳥インフルエンザは、「強毒の高病原性」であっても人へ簡単に感染することはありません。これは、ウイルスへの適合性があるたんぱく質の種類が鳥と人では違うためです。
アジアでは、鳥インフルエンザがニワトリなどの家禽から人へ感染して尊い人命が失われています。これらの感染例は、飼っていたニワトリのフンの粉塵を吸い込んだり、食用に処理する時に鳥の血液がかかるなどして、ウイルスを大量に取り込んでしまった特殊な例と考えられています。
川や池のカモ、ベランダのハト、庭の餌台に来る小鳥、ゴミ置き場のカラスなど、野鳥は私たちの身近にいますが、通常の生活において、人と野鳥が接する中で、感染につながるような大量のウイルスの取り込みはまず考えられません。

餌台は清潔に

今シーズンは、複数の地点において野鳥からも高病原性の鳥インフルエンザのウイルスが見つかっています。ウイルスが見つかっている野鳥は現状ではすべて水鳥ですが、小鳥などがウイルスを持っている可能性も否定できません。もし鳥インフルエンザのウイルスを持った個体が餌台にやってきた場合、衛生管理が不十分な環境下では、野鳥間で感染を引き起こす可能性もあります。
2005年から2006年にかけて北海道で発生したスズメの大量死において、餌台でのサルモネラ菌への感染が原因であった可能性が指摘されているように、鳥インフルエンザに限らず、食べ残しの餌やたまった糞を介して野鳥の間で感染症が起こる可能性もあります。
こうした事態を防ぐためにも、日頃から餌台を清潔に保つ必要があります。

■具体的な餌台の管理について
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/inf-birdfeeder
※なお、餌台の清掃等で、糞などに触れた場合には、うがいと手洗いを十分行うようにしてください。

近隣で鳥インフルエンザが発生した場合

もし、ご自宅の近く(10キロ圏内が目安)で、野鳥から高病原性鳥インフルエンザが確認された場合、給餌を自粛することが望ましいと考えられます。これは、人間の間でもインフルエンザが流行った際に、極力人ごみに出ないようにすることが推奨されるのと同様で、野鳥の場合も近くで鳥インフルエンザが発生している場合は、むやみに鳥を集めないほうが野鳥のために安全だからです。

注)鹿児島県出水市で高病原性鳥インフルエンザの発生後も、ツルへの給餌が継続されている理由は、給餌の中止により、逆にウイルスを持っている可能性のあるツルを分散させて感染を拡大させてしまうことが心配されているためです。

もし、餌台で死んだ鳥などを見つけた場合

餌台で、野鳥の死体を発見した場合には、素手では触らないようにしてください。野生の動物は、様々な病原菌や寄生虫を保持している場合があります。また、複数の個体が原因不明で死亡した場合は、お近くの都道府県や市町村役場にご連絡ください。

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