身近にいる野生生物がいつのまにか姿を消してしまった例として、私たちを驚かせたのが、メダカです。
里山の象徴であり、全国どこにでもいると思われていたメダカが、いつのまにか絶滅に追いやられていたんです。身近にたくさんいるからといって決して安心してはいけないという教訓ですね。
鳥は環境のバロメーターと言われますが、鳥の暮らしに関わりあいのある植物や昆虫、両生類、は虫類達の生きている環境を指標する、という意味でも、また彼らを守る法律が他には十分整備されていない、という点からも、「鳥獣保護法」の内容とその運用は、今の日本にとって生態系に影響を及ぼすものといえるでしょう。
“鳥獣保護区”という制度が規定され、鳥獣の保護繁殖を図るために、環境大臣あるいは都道府県知事が設定できることになっています。でも鳥獣保護区といっても「狩猟法」における”禁猟区”がそのまま移行したもので、規制としてはおもに猟が禁じられているだけのものです。
たとえば、埋め立て地や干拓、伐採などの開発行為についてなんら法的効力がありません。鳥獣保護区のなかで特別保護地区に指定された場所でこれらの行為が鳥獣の保護に影響を及ぼすおそれがある場合に、許可が必要となります。
そんな緩やかな規制の鳥獣保護区でさえ、いまだ国土全体の約10%にも及びません。
公道や公園、社寺境内、墓地など禁猟ですし、行政も鳥獣保護区を拡大していこうという方針は持っていますが、考え方としては、基本的には日本全土で狩猟OKなんです。逆に、原則的に、日本全土を禁猟にし、限られた場所でのみ狩猟できる、という考え方にすべきだというのが、当会をはじめ自然保護関係者の主張です。
「鳥獣保護法」の基本精神は、鳥獣は原則として捕獲してはいけない、というものでしたね?
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そうでしたが、狩猟鳥獣の捕獲は認められています。狩猟鳥獣は、時代とともに見直され、現在野鳥で26種、哺乳類で20種です。
これらの鳥獣以外は原則、捕獲・飼養してはいけないことになっています。
鳥獣保護法における捕獲規制の一覧表
ところが、「鳥獣保護管理法」には「捕獲等の特別許可」という制度があるんです。たとえば、一時的に弱っている野鳥を保護したり(保護飼養)、人工養殖などを行う場合などには、捕獲や飼養の許可の対象となるのです。愛玩飼養や有害鳥獣駆除も、この特別許可の許可範囲に入ります。
現在、都道府県知事が愛玩用に捕獲・飼養の許可を下ろすことのできる野鳥が決められています。2007年4月からは、メジロ1種に限定することが、環境省からの許可基準として各都道府県に示されています。
当会や支部、全国密猟対策連絡会(略:密対連)など多くの声が、「愛玩使用の全廃を!」「せめて種類の削減を!」と訴え続けてきた成果です。
都道府県の対応にはばらつきがあり、いっさい捕獲・飼養許可を出していないところもあれば、1年間に200件以上乱発しているところもあり、足並みが揃わず、苦難の末ようやくこぎつけた種類数削減です。これが2012年4月から、原則として許可されないことになりました。詳しくはこちらをご覧ください。
捕獲許可と飼養登録がなければ違法です。一世帯一羽までは許されていますが、一年間ごとに更新する飼養登録票と足輪として装着する登録票が義務づけられています。
そうともいえないんです。外国から輸入されたものや、適法に飼育している鳥獣ながら生まれた場合には、飼養登録票がなくてもいいんです。だから、野外で違法に捕獲したメジロでも、「輸入したものを買った。輸入証明書もある。」といい抜けることができます。しかも、その輸入証明書も、輸入業者の組合が任意で発行するものですから、なんの法的根拠もないんです。
でも、粘り強い会員や支部、密対連、山階鳥類研究所の活動の成果により、メジロについては国内産と、国外産の識別ができるようになりました(環境省と密対連が「識別マニュアル」を作成しています。密対連のホームページからダウンロードできます。
日本で密猟されたものか、海外から正規のルートで輸入されたものか、メジロ以外は見ただけでは区別のつかない場合が多いのです。
輸入証明書はあっても、先ほど説明したようにその事実を証明するものではありません。
日本でみられる野鳥が店頭に並んでいる場合には、密猟されたものも多いと、会や密対連では考えています。これについては、今後、法律の整備をすすめていく必要があります。
メジロ以外でも識別できる種類として、オオタカ、オオルリ、キビタキ、ウグイス、ホオジロのマニュアルが環境省により作成されており、密対連のホームページからこれらが見られます。また密対連の作成した分かりやすいリーフレットも入手できます。
カスミ網は販売、所持、使用が原則禁止されています。
でも学術目的などで、環境省の許可を取り扱っている場合もありますから、注意してください。その場合は環境省発行の許可証を携行していますし、カスミ網の近くに許可によっての行為 であることを示す旗などの印がたててあります。
それに、もしそれが違法な密猟行為だとすると、暴力団などがからんでいる可能性もあるので、ひとりで対処するのは、とても危険です。まずは、発見した場所、現場の様子などをしっかりメモして地元の警察や行政、当会や密対連に相談してください。
多くの皆さまの厳しい目が大切な力になります。密対連では、行政や警察への働きかけを強くするため、全国から野鳥密猟、違法飼育、違法販売などの違法行為にまつわる情報を集めています。違法行為かどうか、確かめられない段階でも結構ですので、どんな小さな目撃情報でも、お寄せくださいますよう、ご協力を当会からもお願いいたします。
「怪しい・・・」と思ったら密猟110番へご連絡を!
たとえば