公益財団法人 日本野鳥の会

緑の回廊に風力発電施設の設置を進める林野庁よりの通達の撤回を求める申し入れを行いました

令和4年7月22日

農林水産大臣 金子 原二郎 様
林野庁長官 織田 央氏 様
関東森林管理局長 赤崎 暢彦 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
品川区西五反田3-9-23

日本野鳥の会 奥会津連合
代表 長沼 勲
〒967-0004
福島県南会津郡南会津町田島字後原3432
連絡先 090-9420-9430

申し入れ書

<申し入れ事項>

緑の回廊内に風力発電所の施設設置を可能とする「緑の回廊の区域内への再生可能エネルギー施設の設置等に係る手続について」(令和3年3月31日 2林国経第 183 号)は、「国有林野の管理経営に関する法律」第3条に違背するため、白紙撤回すること。

<申し入れの理由>

「国有林野の管理経営に関する法律」において、国有林野の管理経営の目標は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することにあるものとされている。

国有林の有する「公益的機能」の定義について、林野庁は「森林林業基本法」第2条で規定する森林の有する多面的機能、すなわち「国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球の温暖化の防止、林産物の供給等」のうち、「林産物の供給等」を除く機能が「公益的機能」であるとしている。

経営企画課長通知で風力発電所等の建設を推進するとされている「緑の回廊」は、公益的機能のうち自然環境の保全にとって極めて重要な「保護林」の生態学的連結性を確保するために不可欠な地域であり、日本国政府が「保護林」とともに国内の保護地域として生物多様性条約事務局に提出している地域である。

再生可能エネルギーへのシフトによる地球温暖化防止は重要な課題であるが、生物多様性保全との公益性の両立を図ることが重要である。この観点から「緑の回廊」は、自然環境の保全という公益的機能の発揮を優先すべき地域であり、地球温暖化対策のための風力発電施設の建設場所としては不適当であると考える。

本申し入れ書のPDF版はこちら/78.8KB]

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