現在、エネルギーシフトの観点から再生エネルギーの一つとして、イギリスやデンマークを筆頭に洋上風力発電の導入が各国で注目されています。
わが国では政府系機関により洋上風力発電の技術研究開発がはじまったばかりで、その中で洋上風力発電建設に伴う事前の環境影響評価の方法についても研究されていますが、国内では沖合洋上風力発電の経験がないため、方法論については暗中模索の状況が続いています。
洋上風力発電の先進国では、建設の前後に環境影響評価を行い、洋上風車が海鳥などに対してどのような影響を与えるかの情報を収集しています。イギリスやデンマークでもまだまだ情報が少ないと言われていますが、経験のない日本で環境影響評価方法を確立するにはまず、これら海外の先進事例から学ぶほかありません。
そこで当会は本書を、洋上風力発電と鳥類について海外から知見を学び、普及するために制作しました。編集にあたっては、洋上風力発電と鳥の関係、影響の評価に必要な調査内容、調査方法の妥当性、実際の調査結果、累積的影響の評価という5つのテーマに基づき、有用と思われる文献を選び、翻訳を行ないました。
当会は、本書により洋上風力発電が鳥類に与える影響の知識が一般市民や研究者、行政関係者や事業者などに普及することを望んでいます。また、紹介した調査方法や評価結果が今後の国内での洋上風力発電建設に関わる環境影響評価において参考にされ、それをもとに環境影響評価の枠組みが検討、実行されることで洋上風力発電と野鳥との共存がはかられること、そして洋上風力発電が真にクリーンなエネルギー源となることを期待しております。
●目次●
はじめに・・・・3
編集にあたって・・・・4