公益財団法人 日本野鳥の会

2011年~2012年 小鳥類の越冬状況について

昨年の12月ぐらいから、「ツグミやシロハラといった冬鳥をほとんど見かけない。」、「エサ台に例年来ていたヒヨドリやメジロも少ない。」といった声を各地から聞きます。また、最近になってマスコミからの問い合わせも受けるようになって来ました。そこで、当会の各地の支部に問い合わせをして情報を整理して見ました。

1.各地の状況

特に例年より少ないという情報の多かった種類は以下のとおりです

ツグミについて

シロハラ

ジョウビタキ

ヒヨドリ、メジロ

また、日頃から観察されている会員の方の印象だけではなく、探鳥会の記録を見てもこの冬小鳥類が少ない様子が見て取れます。定期探鳥会で個体数を記録されている大阪支部の記録を図にまとめて見ました。冬鳥ではシロハラが、留鳥ではメジロが特に少ない状況が見て取れます。一方ヒヨドリは例年の変動の範囲内とも考えられます。

大阪支部の探鳥会記録に見る小鳥類の越冬状況

各地で鳥が少ないという中で、情報を寄せていただいた中で最も北の旭川では、例年通りというのが特筆されます。

2.理由等について

冬鳥の越冬数については、通常も年毎の変動が通常も見られ、その際には幾つかの理由がよく言われています。

理由1 繁殖地の気象条件が悪く、繁殖がうまく行かなかった。
ツグミやシロハラ、ジョウビタキの繁殖である極東ロシアや中国東北部で繁殖に悪影響のあるような異常気象は無かったようで、この可能性は低そうです。(気象庁ホームページ、世界の季節の気候より

理由2 北方や山での秋の実りがよく、まだ食べ物があり、平地や南の地方に来ていない。
ツグミが旭川では例年通りであり、1月中旬以降東北、関東で徐々に見られ出していることから、ツグミについてはこの理由の可能性も考えられます。また、2月になって九州でもシロハラを見かけるようになったというたよりも頂いております。
また、ヒヨドリやメジロも全国で繁殖しますが、冬は暖かい地方へ移動するものも多くやはり、どこか食べ物の条件の良いところにとどまっている可能性があります。大阪市自然史博物館の和田岳氏によるとヒヨドリの移動と液果を食べつくす時期によってその場から移動する場合やその場に留まる場合があるとされています。(和田岳 1999,2000

3.その他

1)水鳥について
1月に行われた全国一斉のガンカモ類の生息状況調査の各県の速報を見ると、ガンカモ類に関しては、ほぼ平年通りと思われます。また、宮城県ではカモ類の数が少なく、地震による地盤沈下で湿地が増え、分散したためとされています。また、ただ、同じく震災の影響からかクロガモが少ないという情報がいわき支部から届いています。

2)今後
分布の偏りや過去の年との客観的な比較は、全国的な調査結果を待たなければ、はっきりとしたことは言えません。各地の定点で皆様が行われているカウントの結果や定期探鳥会の情報をお送りいただければ、併せて検討したいと思います。また、現在全国の会員の協力を得て、モニタリングサイト1000の森林・草原の越冬期の調査を行なって。結果の集計が出るのはまだ先ですが、冬鳥の状況をその際にはまたお伝えいたします。

参考 連携団体等からの情報

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