2012年9月2日
主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター
2012年9月1日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークとスナッパー・ダイビングセンターが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎のサンゴ群集である。
調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の50%程度がサンゴに覆われていた。昨年よりサンゴが微減していたが、例年と変わらず健全な状態であった。カタン崎においても昨年より微減したものの40%以上がサンゴに覆われ、健全な状態であった。
また、富賀浜とカタン崎の両方でサンゴ食の巻き貝を確認し、食害も認められ、今後の推移を見守っていく必要があるが、早急に駆除すべき状況ではなかった。
※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。
三宅島では1998年より調査を開始し、以後99年、05年、06年、08年、09年、10年、11年と8回調査が行われ、今回の調査は9回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、日本生態系協会の職員1名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1名、明治学院大学ダイビングサークルの大学生1名、島内のボランティアダイバー1名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ3名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。
(1)富賀浜
テーブル状のサンゴを中心に、50%程度が造礁サンゴに覆われていた。昨年と比べると微減し、海藻類が減少したものの、大きく環境が変化したものではなく、健全な状態を保っていた。
台風の影響と思われるテーブル状サンゴの破損が見られ、被覆状のサンゴが増えていた。
オニヒトデの食害は見つからず、オニヒトデも確認されなかったものの、サンゴ食の巻き貝による食害がみられ、
そこにまとまった数の巻き貝も確認された。ただし、早急に駆除すべき状況ではないと考えられる。
サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、イセエビも確認できた。また、ナガウニが例年と比べ、多く確認された。
(2)カタン崎
テーブル状のサンゴを中心に、40%以上が造礁サンゴに覆われ、良好な状態にあった。富賀浜同様に、昨年と比べると微減し、海藻類が減少したものの、健全な状態を保っていた。オニヒトデは全く見られず、オニヒトデと疑われる食害も確認されなかった。
サンゴ食の巻き貝が見られ、食害も少し確認された。
サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、オトヒメエビが確認できた。
富賀浜の調査範囲の北側にあるテーブル状サンゴ群集は例年通り良好な状態で保たれており、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。しかし、台風の影響によるものと思われるテーブル状サンゴの破損が見られ、代わりに被覆状のサンゴが増えるなど、種の構成が若干変わった印象があった。今後もその推移を見守っていく必要がある。カタン崎の造礁サンゴ群集の状態は昨年より良くなっている。これは数年前に見られた泥状の沈殿物が見られなくなっており、サンゴの良好な生息環境として安定してきているためと考えられる。
オニヒトデは、どちらも調査の範囲でも確認されず一安心であった。ただし、サンゴ食の巻き貝は富賀浜とカタン崎でそれぞれ確認され、食害も確認された。早急な駆除は必要ないものの、今後の推移を見守っていきたい。
「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」http://www.snapper-d.com/