2013 年11 月10 日
主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター
※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997 年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。
1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法
三宅島では1998 年より調査を開始し、以後99 年、05 年、06年、08 年、09 年、10 年、11 年、12 年と9 回調査が行われ、今回の調査は10 回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1 名、日本生態系協会の職員1 名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1 名、アンバージャックダイビングスクールのインストラクター1 名、島内のボランティアダイバー3 名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1 名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100m のラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。
2.調査結果
テーブル状のサンゴを中心に、50%程度が造礁サンゴに覆われ、昨年とほぼ同様の結果となった。
9月の低気圧、10月の台風の波浪による物理的営力によってテーブル状サンゴが減少し、被覆状のサンゴが増えていた。
オニヒトデなどのサンゴ食動物による影響は見られなかった。サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、2000 年噴火後のリーフチェックでは初記録となるオトヒメエビも確認できた。
3.総評(鈴木倫太郎博士 【日本生態系協会】 コメント)
調査範囲の北側にあるテーブル状サンゴ群集は例年通り良好な状態で保たれており、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。しかし、夏季の高水温での白化原因で一部の造礁サンゴが減少したと思われる。しかし、それによって全体のサンゴの被度が大きく減少したとは認められない。ただし、種の構成については変化が認められた。また、台風・低気圧の波浪の影響により、テーブル状のサンゴの減少が認められた。一方、被覆状サンゴは台風の影響を受けずに、生息域を拡大している。ただし、去年と比較して大きな環境の変化は認められなかった。昨年まで見られていたサンゴ食の巻貝が今年は確認されず、オニヒトデも昨年に引き続き見られなかった。今後、白化や台風によって受けた影響がどのように変化していくか推移を見守っていきたい。
4.参考リンク
「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」 http://www.snapper-d.com/