2014年7月6日
主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター
2014年7月5日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークとスナッパー・ダイビングセンターが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎のサンゴ群集である。
調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の57%程度がサンゴに覆われていた。昨年よりサンゴが微増し、例年と変わらず健全な状態であった。カタン崎においては昨年より微減したものの、36%程がサンゴに覆われ、健全な状態であった。
また、富賀浜では、原因が分からないが最近、死んだサンゴが見られ、今後の推移を見守っていく必要がある。
※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。
1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法
三宅島では1998年より調査を開始し、05年の帰島以後は、07年以外毎年実施し、今回の調査は11回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、日本生態系協会の職員1名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1名、アンバージャックダイビングスクールのインストラクター1名、ボランティアダイバー7名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。
2.調査結果
(1)富賀浜
テーブル状のサンゴを中心に、57%程度が造礁サンゴに覆われていた。昨年と比べると微増し、海藻類が減少したものの、大きく環境が変化したものではなく、健全な状態を保っていた。
昨年の台風の影響と思われるテーブル状サンゴの破損が見られた。被覆状のサンゴが多い区域では、サンゴの増加が見られた。
サンゴ食の巻き貝による食害がみられ、ごく一部、原因が分からないが最近、死んだサンゴが見られた。
サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られ、ナガウニが例年と比べ、多く確認された。ほか、調査区域付近でイセエビおよびホラガイも見られた。
(2)カタン崎
テーブル状のサンゴを中心に、36%程が造礁サンゴに覆われ、良好な状態にあった。ほか、海藻類が増加しており、季節による影響が大きいと思われるが、今後注視していきたい。オニヒトデは全く見られず、オニヒトデと疑われる食害も確認されなかった。
サンゴ食の巻き貝も見られず、食害も確認されなかった。サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物は特に目立った変化がなかったが、バテイラ類が若干減少していた。また、イセエビが確認できた。
3.総評(鈴木倫太郎博士 【日本生態系協会】 コメント)
富賀浜の調査範囲の造礁サンゴ群集は健全な状態であり、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。一年前の台風の影響による損壊が見られた箇所においても回復が見られた。一方、昨年調査できなかったカタン崎においては2年前と比べて海藻が増えていた。ただしこれは季節的な影響が大きいと思われる。また、2年前と比べ、海底の状況が変化していると思われた。これは昨年の台風の影響と地震によるがけ崩れの影響も考えられる。
オニヒトデは、どちらも調査の範囲でも認められなかったほか、数年前に増加していた、サンゴ食の巻き貝は減少していた。両地点とも例年通り、良好な状態を保たれていると考えられる。今後の推移を見守っていきたい。
4.参考リンク
「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」 http://www.snapper-d.com/