公益財団法人 日本野鳥の会

プレスリリース 2018.07.18

2018年7月18日

三宅島のサンゴ、今年も健全な状態を確認
~リーフチェック開始以来、造礁サンゴの割合が最高を記録~

主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク

 2018年7月17日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎沖のサンゴ群集である。
 調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の71%程度がサンゴに覆われ、カタン崎においても、38%程がサンゴに覆われており、ともに健全な状態であった

※リーフチェックとは
 サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。

1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法

富賀浜のテーブル状サンゴ群集と調査ライン
写真1. 富賀浜のテーブル状サンゴ群集と
調査ライン

 三宅島では1998年より調査を開始し、2005年の帰島以後は、2007年以外毎年実施し、今回の調査は15回目となる。今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、島内のダイビングショップインストラクター2名、ボランティアダイバー2名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1名で富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
 世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン直下の構成種を造礁サンゴ、海藻、砂床など10種に分類し記録した。あわせて、ライン周辺の魚やエビ、ウニなど世界共通の対象種および三宅島独自対象種の生き物の数を記録した。

2.調査結果

(1)富賀浜

 テーブル状および被覆状のサンゴを中心に、71%程度が造礁サンゴに覆われていた。この数値は三宅島でのリーフチェック開始以降、最も高い割合であるとともに、このテーブル状サンゴ群集自体は依然として伊豆諸島最大であると思われる。また、元来テーブル状サンゴの大群集域内であった場所に枝状サンゴが目立つようになってきた。さらに昨年同様、調査ライン後半での被覆状のサンゴの成長してきているのに加え、調査ライン中盤の被覆状サンゴの生息域にはテーブル状サンゴが成長していた。オニヒトデやサンゴ食の巻き貝は確認できず、それらによる食痕もみられていない。昨年の台風21号の影響は調査区域では見られなかったが、調査区域外では破損などの影響が見られた。調査ライン周辺での対象の魚類および無脊椎動物はほぼ例年どおり見られ、依然として健全な状態を保っていた。

(2)カタン崎

調査風景(カタン崎)
写真2. 調査風景(カタン崎)

 被覆状および塊状のサンゴを中心に、38%程が造礁サンゴに覆われていた。昨年と比べるとわずかに減ったがライン設置のずれによる影響の範囲内と考えられる。また、数cm程度の海藻が増加していた。オニヒトデおよびサンゴ食の巻き貝は全く見られず、食痕も確認されなかった。また昨年の台風21号の影響も確認されなかった。サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類は特に目立った変化がなく、無脊椎動物においてシャコガイが初めて確認された。


3.総評(コーラル・ネットワーク リーフチェックコーディネーター 土川 仁氏コメント)

調査参加者
写真3. 調査参加者

 富賀浜の調査範囲の造礁サンゴ群集は、1998年の調査開始以来、最大の割合となった。依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。
 オニヒトデおよびサンゴ食の巻貝は、どちらの調査範囲内でも認められず、食痕もなかった。両地点ともサンゴの生育環境として健全な状態を保たれていると考えられる。今後の推移を見守っていきたい。

4.参考リンク

「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「三宅島ダイビングサービスディープイン」 http://www.deep-in.info/
「ドルフィンクラブ三宅島」 http://www.dolphin-club-miyakejima.com/

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