2022年1月14日
減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
政府のプラごみ対策新法政省令に対しNGO27団体が共同提言
~スプーン等の選択的有料化では不十分、包括的な規制強化による大量生産・大量消費からの脱却を~
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバーおよび賛同27団体は、本日14日に閣議決定された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)の政省令等(以下、本政省令)」について、山口壯環境大臣および萩生田光一経済産業大臣あての提言書を策定、発表しました(「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律 政省令」への共同提言 PDF/762KB)。
2021年6月に成立した「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)」の具体的な内容を定めた政省令が、1月14日に閣議決定され、今年4月より施行されることとなりました(https://www.env.go.jp/press/110313.html) 。減プラスチック社会を実現するNGOネットワークは、プラスチック新法に関連し、より包括的かつ実効性のある政策の導入を目指し継続的に改善を働きかけてきましたが、依然として反映されていないため、このたび本提言書を発表します。私たちは世界的に深刻なプラスチック汚染の本質的な解決に向けて、引き続き政府へ政策改善の働きかけを続けていきます。
プラスチック新法で注目されるスプーンやフォーク等の選択的有料化では、プラスチック全体を十分に削減することはできません。そこで、意欲的で明確な発生抑制目標の下で、食品トレーなど必ずしも必要のない主要な使い捨てプラスチックを広く選定し、提供禁止や有料化することで、大量生産・大量消費を前提とした社会の枠組みを変えていくことを求めています。また、マイクロプラスチックや漁具、農業用資材などを含め、プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となる「基本法」を新たに制定の上、それに基づき法規制を整備し、環境流出と気候変動問題の双方を確実に改善していくことを要請しています。
追加的なプラスチック汚染を根絶する目標の2030年への前倒し
マイルストーン(目標)の明確化と、バイオマスプラスチック導入以外の目標の引き上げや期限前倒し
循環基本法における優先順位に沿ったリユースの推進と各優先順位の定義の明確化
事業者への努力要請に一定の強制力をもたせ、特定プラスチック使用製品のみならず、容器包装リサイクル法が適用される容器包装についても、品目を特定し、有料化を義務づけること
バイオプラスチックを含めた代替素材の使用につき、やみくもに推進することなく、必要不可欠な製品や部品についてのみ、持続可能性が担保できるものを使用するように義務付けること
主務大臣による設計認定制度について、国や地方公共団体、事業者に対し、認定プラスチック使用製品の使用に努めるよう単に要請するのではなく、一定程度の認定製品の使用を義務付けた上で、認定されていないプラスチック使用製品の使用を制限していくこと
主に家庭から排出されるプラスチック使用製品について、分別収集、再商品化その他のプラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講じるために、製造事業者や使用事業者に、必要なコストの負担を求めること
特に自然環境への流出の可能性が高い、漁具・農業用資材に使用されるプラスチックについても、明確な対象とすること。そして、製造事業者や使用事業者への環境配慮設計や流出防止措置の導入、適切な漁具管理や流出時の報告・回収を義務付け、必要な基盤整備等を行うこと
特に製造・流通・使用過程で生ずる一次マイクロプラスチックの環境への流出の防止のために、意図的に使用されるマイクロプラスチックの製造・利用を早期に禁止し、予防原則の観点から、一次マイクロプラスチック発生抑制対策を早期に導入すること
プラスチック使用製品に含まれる有害化学物質に関する影響について調査研究を進めるだけでなく、プラスチックに含まれる化学物質の成分表示を義務付けること
別途、明確な発生抑制目標を有し、プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような「基本法」を早急に制定すること
地球規模のプラスチック汚染を包括的に解決するために、各国がすべきことを明確に規定し、世界各国からの幅広い参加を促進できる、法的拘束力のある国際協定の早期発足に向けて、日本政府として最大限貢献すること
以上
世界自然保護基金(WWF)ジャパン
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日本野鳥の会 自然保護室(担当:岡本/山本)
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