
2026年2月26日
本とりまとめについて、環境省ホームページにて意見募集(パブリックコメント)の結果概要が公開されました。意見募集要領の条件を満たした有効意見の内訳は、個人・団体から17件、意見数はのべ226件でした。当会からの意見も一部、修正内容に反映されました。
2026年2月4日
私たちの社会や経済、暮らしは、長い地球の歴史の中で培われた生物多様性からさまざまな恩恵を受けています。しかし、人間活動による過度な開発行為や地球温暖化の進行などにより生物多様性の損失が進んでおり、このままでは私たちの生活に大きな支障が出てくる可能性があります。
生物多様性国家戦略は、生物多様性条約※1と生物多様性基本法にもとづき、生物多様性を守り、その恩恵を持続的に利用していくために国が定めた基本計画です。日本では1995年に初めて策定され、それ以降数年おきに改定されています。
現在、運用されている「生物多様性国家戦略2023-2030(以下、国家戦略2023-2030)」は、世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組※2を達成するために日本が取り組む事項が掲げられ、さらに、2020年を基準として、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復に転じる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」実現のためのロードマップを示す内容となっています。
図1:生物多様性の損失を減らし、回復させる行動のポートフォリオ
出典:地球規模生物多様性概況第5版 Global Biodiversity Outlook 5(PDF)を改変
昆明・モントリオール生物多様性枠組では、締約国が目標実現のための実施状況をまとめた「国別報告書」の提出のタイミングで、それらの評価を行うことが決定されています。
そのため日本は、生物多様性条約第17回締約国会議(CBD‐COP17)に向け、2026年2月末までに「国別報告書」を提出しなければならず、それに合わせて環境省は、「国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価(案)」および「生物多様性条約第7回国別報告書(案)」を取りまとめました。さらに、提出前に国民に向けてパブリックコメントを実施し、私たち国民から中間評価(案)と国別報告書(案)に対する意見を広く求めることとしました。
当会は「国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価(案)(PDF/環境省)」に対して24件の意見を提出しました。ここでは、特に当会が事業として取り組んでいるプラスチック問題、絶滅危惧種の保護を中心に紹介します。

プラスチック汚染問題の解決には、プラスチックの生産と消費を削減する発生抑制が不可欠です。一方、本中間報告では「<使用済プラスチックの有効利用>は増加傾向にある」と評価していますが、回収とリサイクル率だけでなくプラスチックの生産・消費の削減についても評価する必要があります。
そこで、今後の方針として、以下の記載を要望しました。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行状況評価報告書(P12)」にもあるように、まだ保護増殖事業が開始されていない種も多くあるため、完了の考え方を検討すると同時に、新しく保護増殖事業を開始する種の検討を開始することを記載してください。
このほかに、当会が提出した意見の全文ならびに「生物多様性国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価(案)」については以下のPDFをご覧ください。
当会は、今後も生物多様性の保全の推進と2030年のネイチャーポジティブ実現、2050年の自然と調和した社会の実現のために、さまざまな取り組みを進めていきます。
※1.生物多様性条約とは?
国連は、1992年6月に開催された「リオ地球サミット」(=環境と開発に関する国連会議)において、生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用、遺伝資源から得られる利益の公正な配分を目的に「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)」を提出・採択し、署名を呼びかけました。条約には同会議中に日本を含む168カ国が署名し、2025年3月現在、194カ国が参加しています。
同条約では、生物多様性の保全と、持続可能な利用を目的とした「国家戦略」の策定を締約国に求めており、日本では、生物多様性の保全と持続可能な利用、その恩恵を将来にわたって享受できる、自然と共生する社会の実現を目的に、2008年に「生物多様性基本法」が制定され、「生物多様性国家戦略」を策定することが国の責務として規定されています。
※リオ地球サミットでは、生物多様性条約のほかに、大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を目的として、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた「気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)」も採択された。
※2.昆明・モントリオール生物多様性枠組とは?
昆明・モントリオール生物多様性枠組とは、2022年の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された世界目標。愛知目標(2010年)で掲げられた「自然と共生する社会」を2050年ビジョンとして掲げ、その具体的姿を4つの2050年グローバルゴールとして表現しています。
さらに、2030年ミッションとしてネイチャーポジティブの実現が掲げられ、そのための23個のグローバルターゲットが設定されています。そして、それら以外に締約国の目標達成のための実施状況を評価することも決定されました。
これは、前の世界目標である「愛知目標」が十分に達成されなかった要因として、以下の評価があったためです。
2026年1月26日(月)に「太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会(第1回)」が開催されます。当会からは、「太陽光発電と風力発電が鳥類に与える影響と出力規模の関係」について自然保護室の浦主任研究員が発表します。この検討会の様子は、傍聴用としてYouTubeでライブ配信が行われます。
2026年1月26日(月) 10:00~12:00
2020年4月に、太陽光発電事業が正式に環境影響評価法(アセス法)の対象事業になりました。
太陽光発電の導入が急速に拡大した一方、様々な懸念も発生していることから、2025年12月23日に「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ(内閣官房ホームページ)」が関係閣僚会議で策定されました。
このパッケージの中では、不適切な事業に対して厳格に対応する必要があると明記され、法的規制の強化について以下のような項目があげられています。
今回、太陽光発電事業(メガソーラー)等の法対象となる規模等について検討を行うため、環境省と経済産業省が合同で「太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会」を実施します。
当会は野鳥とその環境を守る視点から、「太陽光発電と風力発電が鳥類に与える影響と出力規模の関係」について発表します。
環境省/報道発表資料

かつて“村の守り神”と呼ばれ、人の暮らしのそばにいたシマフクロウ。開発によってすみかをうばわれ、絶滅の危機におちいっても、なんとか次の世代へ命をつなぎながら少しずつ数を増やし、再び人里の近くへ戻ろうとしています。しかし、その先に待つのは、行き場がないという現実 ――
若鳥たちが新天地を求めて飛び立つ先に、迎え入れることのできる森を残せるのか。いま、未来への分岐点に差しかかっています。
北海道東部の限られた河畔林に生息し、河川や湖沼で魚類やカエルなどを食べる。全長70cm、羽を広げると180cmにもなる世界最大級のフクロウ。国の天然記念物。環境省のレッドリストで、絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧ⅠA類に指定されている。

北海道の森にくらすシマフクロウは、アイヌの人々から「コタン・コロ・カムイ(村の守り神)」として敬われ、かつては集落のすぐそばにすむ身近な存在でした。しかし、明治時代以降の開拓や河川改修、森林伐採によって生息地が失われ、絶滅の危機に瀕しました。国や関係者、そして当会による保護活動の結果、現在では知床や根室地域など、豊かな森林が残る北海道東部を中心に、200羽を超えるまでに回復しています。
ところが、いまなお繁殖地の周辺でさえ、太陽光発電施設の建設やバイオマス発電の燃料確保などを目的として森林が伐採されることがあり、シマフクロウが安心して子育てできる環境は限られています。
当会野鳥保護区の隣接地でも、森が伐採されてしまう。赤い印より右側が野鳥保護区で、左側は民有地
さらに若鳥たちは新たな生息地を求めて西へと広がろうとしていますが、日高山脈の以西には工業地帯が多く、彼らの「新天地」となりえる森は限られているのが現状です。せっかく命をつないだ次の世代が羽ばたこうとしているのに、行き場がないという未来にはしたくありません。
未来に向けて、現在の繁殖地を守りながら、新たな生息地をひらく ──
当会は、シマフクロウの保全と分布拡大に向けた取り組みを進めていきます。現在の野鳥保護区では、生息地を買い増すなど、生息中心域の70%以上の土地を確保することで、繁殖地の保全を強化(図1)。さらに、北海道西部への分布拡大を見すえ、ウトナイ湖ネイチャーセンターを拠点に、勇払原野周辺の水系に広がる河畔林の買い取りや、新たな野鳥保護区の設置を視野に入れ、若鳥たちが安心して生息できる環境づくりに取り組みます。
図1.シマフクロウの生息中心域について
シマフクロウのなわばりは河川に沿って10kmに達し、川から100m以内にある樹洞を使って繁殖します。川の両岸の河畔林と営巣木の周囲、緩衝域を考慮して約400haにもおよぶ広大で重要な範囲を「生息中心域」として保全していきます。生息中心域の約70%以上を確保することが保全上重要と考えています
日本野鳥の会のシマフクロウのための野鳥保護区の数とつがい数
シマフクロウたちは日高山脈を越え、より人の暮らしのそばへと向かおうとしています。さまざまな課題を解決し、再び彼らが私たちの暮らしのそばに羽ばたく日を目指して ──
シマフクロウと人が共生する未来のために、どうかご支援をお願いいたします。
シマフクロウと人が共生する未来のために
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(左)新デザイン「シマフクロウ」シルバーブローチ
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当会は2004年に初めてシマフクロウの野鳥保護区を設置し、その後オホーツク・根室・釧路・十勝・日高の5地域へ広げ、現在では合計1,168haの野鳥保護区を設けています。さらに日本製紙株式会社の協力を得て共同で保全している社有林を加えると、総面積は約3千haを超え、14つがいのシマフクロウの生息地に保護活動の足掛かりを築きました。そのうち4つがいには、餌資源や営巣木が不足しているため、給餌や巣箱の設置による繁殖の補助も行っています。
また保護区内の森林では、地域の林業関係者や住民、全国の支援者の協力を得て、シマフクロウがくらせる森づくりを進めています。

根室市の園児たちといっしょに苗木を植える。100年かけてシマフクロウの森を作る活動

体の大きなシマフクロウに適した樹洞を持つ営巣木がほとんどなくなってしまい、巣箱の設置が繁殖の手助けに
今後は若鳥の分散・定着を見すえ、北海道西部にも生息候補地を探し出すため、ICレコーダーを使いシマフクロウの行動や利用状況を把握する調査や、河川での魚類調査を通じて環境の適性を検討し、野鳥保護区の設置等、生息地保全を進めていきます。特に勇払原野にそそぐ勇払川上流部や美々川水系では、河畔林の買い取りや野鳥保護区の設置を視野に入れた調査・準備を進めていきます。
シマフクロウが飛来した際に安心してくらせるよう、餌資源や営巣木の確保など環境整備にも力をそそぎながら、市民への普及活動にも取り組み、地元の理解と協力を得て保全の歩みを進めていきます。

特殊な機械を使った魚の捕獲調査。標識をつけて放し、餌資源としての魚の密度や量を調べる

夜間にシマフクロウの鳴き声を録音し、利用状況を把握。生息候補地の把握に努めている

松本潤慶 チーフレンジャー
シマフクロウの生息地保全は、生息状況の調査や情報収集から始まります。森の所有者調べ、売買交渉、行政への申請など事務仕事は多岐にわたり、「野鳥保護区」の設置までには何年もかかることもあります。
土地の購入後も、巡回や巣箱、給餌場の維持管理、伐採跡地の環境改善など、その土地の状況に応じた地道な活動が続きます。こうした仕事は、土地所有者や林業家といった地域の方々との深い協力関係、そして皆様からの温かいご支援なくしては進みません。
シマフクロウが身近な野鳥に戻る日まで、私たちは北海道の森で活動を続けます。

ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンターは、ラムサール条約湿地・ウトナイ湖(苫小牧市)のほとりにある自然保護と環境教育の拠点です。日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、野鳥や湿地の生きものの観察、展示、自然体験を通じて地域の自然とのふれあいを提供しています。シマフクロウの生息環境調査や野鳥保護区の設置も進めています。
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日本野鳥の会のプレゼント付き寄付は、自然を守る活動に楽しく参加していただく寄付のしくみです。
寄付の金額により、ご希望に応じて野鳥グッズをプレゼントしています。プレゼントが不要の寄付もお選びいただけます。
ツバメを見守っているようすを、ブログ「ひなこのお散歩日記」にてご紹介しています。
感謝状についての詳細は「ツバメをみまもっている団体や企業のご紹介」をご覧ください。

フレスコキクチ鹿島店

桜川市役所

道の駅 三芳村 鄙の里

スーパーベルクス 板橋中台店

板坂理容室

キッズアカデミー
太陽丘こども園

若狭町観光船レイククルーズ

若狭町立気山小学校

公益財団法人
愛知県都市整備協会、
御油郵便局、
Family Salon LUCKY、
ファミリーマート豊橋大清水店

SHOES BOUTIQUE イシハラ

サンヨネ豊川店

maisondes

道の駅 明宝

JAみえきた 四季菜 尾平店

洛和会音羽記念病院

京都新聞西小倉販売所

株式会社マイスターエンジニアリング

神戸野田高等学校

西宮消防署北夙川分署

浜村温泉 魚と屋

医療法人ピーアイエー
ナカムラ病院

松江市立佐太小学校

日本交通株式会社 山口営業所

得得うどん大西店

玄海みらい学園

医療法人優健会 樋口医院

有限会社 茶友

合資会社 君島タクシー

泉石蔵
2025年6月27日
鳥インフルエンザは、鳥の病気です。養鶏場などのように鳥と濃密な接触をすることがない限り、人への感染は過度に心配する必要はありません。しかし、バードウォッチングによって、知らず知らずのうちにウイルスを運んでしまい、発生の拡大に加担してしまうことがありえます。
ここでは、このようなことを避けるために、どのようなことに気をつければよいのかについてお伝えします。
状況は日々更新されますので、最新の状況は以下のサイトでご確認ください。
鳥インフルエンザは、カモ類などの水鳥が主な宿主とされています。水鳥が集まる池や湿地、湖でバードウォッチングをするときにはとくに注意が必要です。
バードウォッチングによってウイルスを広げてしまうケースとは、靴や車のタイヤなどに付着したウイルスを周囲の養鶏場などへ移動させてしまうことを想定しています。
そこで、以下の点に配慮していただくようにお願いいたします。
当会では、野鳥観察や野鳥撮影を楽しむ方に向けて、鳥インフルエンザを広めないための注意点をまとめたポスターを作成しました。以下から自由にダウンロードしてご活用ください。
鳥インフルエンザを広めないために、皆さまのご協力をお願いします。
鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等を除き、人には感染しないと考えられていますが、鳥インフルエンザの拡大を防ぐことは重要です。高病原性鳥インフルエンザが養鶏場などで発生すると、飼育されているすべての個体を殺処分する措置が取られ、農家に多大な負担がかかります。これは近隣の養鶏場等への感染の拡大を防ぐためと、鶏舎の中で感染が繰り返されるとウイルスの変異が起こり、たまたま人に感染しやすい変異が生じることを防ぐためです。変異によって人から人にうつるようになると新型のインフルエンザ発生の原因にもなりかねません。
また2024年は、タンチョウ、マナヅル、ナベヅルといったツル類や、オジロワシ、オオワシ、ハヤブサといった猛禽類など、絶滅のおそれのある種で高病原性鳥インフルエンザによる死亡例が報告されています。とくにナベヅルでは2022~2023年には1000羽以上が死亡しています。とくに個体数の少ない絶滅のおそれのある種で集団感染が起きれば種の存続の危機となります。
鳥の死体や弱っている個体を発見した場合は、素手ではふれないでください。同じ場所で複数の死体を見つけた場合は、市町村や都道府県にご連絡ください。
死体の鳥インフルエンザ検査については、国内での発生状況や種類によって異なります。
詳しくお知りになりたい方は、環境省の『野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル簡易版』(PDF/3MB)をご覧ください。
鳥インフルエンザが発生した探鳥地に行くのは控えましょう。ウイルスが増殖している場所に大勢の人間が押し掛けることは、それだけウイルスの拡散を助長させる恐れがあります。
また、観察場所の半径10kmの範囲で鳥インフルエンザが確認された場合は、靴底消毒を徹底するなど、前掲の「水辺でのバードウォッチングの注意」を参考に配慮をお願いいたします。
冬の水辺は見どころが多く、バードウォッチングに出かける機会が多い季節と思います。いつにもまして、野鳥への配慮や人間社会の生活への配慮が必要な状況となってきています。適切な対策をとることで、周囲の理解を得ながら、バードウォッチングを楽しんでいただけますようご協力をお願いいたします。

(写真/PIXTA)
縁起のよい瑞鳥(ずいちょう)として日本人にとうとばれてきたタンチョウ。かつては、北海道から関東地方へと渡る優美な姿も見られましたが、明治時代の乱獲や湿原の開発で激減し、絶滅したと考えられていました。ところが、1924年に釧路湿原の奥地で十数羽が再発見されたのです。二度と同じ目にあわせたくない――その思いを胸に、地域の人々とタンチョウを守り続け、今年で「再発見」から100年になりました。ようやく約1900羽まで復活しましたが、今もなお新たな試練に直面しています。

タンチョウ 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
日本で繁殖する唯一のツルで、国の特別天然記念物。北海道東部を中心に生息。
全長140cm、羽を広げると240cmにもなる日本最大の野鳥。古くから日本文化を彩り、日本画や民話、地名などにも登場する。アイヌ語で「サルルン・カムイ(湿原の神)」。
当会は1987年、北海道鶴居(つるい)村でタンチョウの保護活動を続けていた故・伊藤良孝さんの協力を得て、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを開設しました。以降、レンジャーが常駐し、食べものが不足する冬期にはデントコーンをまいたり、繁殖地が開発されないよう湿原を購入し独自の野鳥保護区を設置するなどして、タンチョウを守ってきました。

命をつないだ給餌活動
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリには、一日最大250羽近くのタンチョウがエサを求めて飛来する

デントコーン
飼料用のトウモロコシ
多くの人々の努力や当会の活動が実を結び、現在タンチョウの数は約1900羽まで回復しました。しかし、給餌により人を恐れなくなったタンチョウが、人間の生活圏に近づきすぎて、交通事故や農業被害など、別の問題が深刻化してきています。また、冬期給餌場にタンチョウが密集することで、鳥インフルエンザの集団感染のリスクも高まっています。もし感染が拡大すれば何百羽も大量死するおそれがあるのです。

道路を歩いて横断、交通事故にあうこともある

タンチョウがデントコーン畑に侵入し、
種や芽をついばむ
冬でもタンチョウが自然に食べものを採れる場所が必要だ――当会は2007年から鶴居村の中で冬でも自然採食できる場所を整備し、タンチョウの自立を助けてきました。2013年には環境省が給餌量を削減して越冬地を分散させる方針を決め、冬の自然採食地はさらに重要な存在となっています。

整備した自然採食地を利用するタンチョウ
(タイマーカメラで撮影)
数が増えたタンチョウは北海道東部から分布を広げつつあります。自分の力で生きようと羽ばたいた先々で、彼らが人と距離を取り、冬も飢えず、繁殖期に安全に子育てができる環境を整えるには、その地域の人々の理解と協力が不可欠です。
当会は、タンチョウの情報や自然採食地づくりのノウハウを地域社会と共有し、地域主体の保護活動を推し進めていきます。また、タンチョウの新たな生息地である自然豊かな勇払(ゆうふつ)原野が、ラムサール条約の枠組みで恒久的に保全されるよう働きかけていきます。タンチョウと人が共生する社会の実現のため、ご支援をお願いします。
タンチョウと共生を目指す当会の活動にご支援をお願いします

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(左)「タンチョウ」の記念ブローチ<縁enishi>(右)カムイの羽根しおりセット
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タンチョウは優美なだけではなく、仕草や行動が人間くさいのも大きな魅力です。彼らを絶滅の淵から救った冬期給餌は、地域の方々にとって「身近な隣人」を助ける思いやりだったのでしょう。一方で給餌により人との距離が近くなり、人里での事故や農業被害、過密化による鳥インフルエンザの脅威といった課題も生じています。これからもタンチョウと共に暮らす感動と共生への覚悟を胸に、地域の人達と連携して取り組んでいきます!

鶴居小学校6年生 総合的な学習の時間
タンチョウとの共生をテーマにした授業で講師として招かれた
2007年から冬期のタンチョウの採食行動を調査し、凍らない水辺を利用している状況がわかりました。そこで、鶴居村の方々やボランティアの方々の協力を得て、夏は水路を掘り藪(やぶ)を払うなどの造成作業をし、冬はタンチョウの利用状況を調査し評価するサイクルをくり返し、17か所の自然採食地を完成させました。しかし、タンチョウの分布は拡大しつつあり、当会だけの採食地整備には限界があります。今後は、この取り組みのノウハウをテクニカルレポートとしてまとめ、一般に公開し、タンチョウの分散先となる地域社会で自然採食地を増やせるよう、あと押ししていきます。

ボランティアの皆さんと自然採食地を整備
水路を掘り、食べものとなる水生昆虫などのすみかをつくる
日本の湿地が過去100年で6割も消失したなかで、北海道の勇払原野には、数万羽の水鳥が飛来し、オジロワシやチュウヒなど絶滅危惧種が繁殖する豊かな湿原が残されています。2013年からはタンチョウも飛来しはじめ、2020年には、130年ぶりにヒナの姿が確認されました。重要度が増す勇払原野ですが、湿原の多くが工業地帯に指定されており、湿原の保全と経済活動との両立が課題です。
当会は、勇払原野の弁天沼周辺の湿原やウトナイ湖へ流れこむ美々川(びびがわ)をラムサール条約の枠組みで保全し、また工業地帯については自然共生サイト等の枠組みを利用して、ワイズユース(賢明な利用)を実現する共生社会のモデルをつくるため、働きかけていきます。

新天地で命を育むタンチョウ
2020年5月に当会レンジャーが130年ぶりに勇払原野で確認したヒナは、秋には飛べるまでに育った
おもに水鳥の生息地として重要な湿地を保全し、ワイズユース(賢明な利用)を進める国際条約。日本から湿地を登録するには、①「定期的に2万羽以上の水鳥を支えている湿地」等の国際基準を満たし、②国指定鳥獣保護区の特別保護地区であるなど国内法で保全され、③地域の合意を得られている必要があります。登録の過程では関係者が湿地のワイズユースを考えていくことになります。
1987年、全国からの募金で建設されました。タンチョウ保護を進める拠点として、冬期給餌をはじめ、生息地の保全や調査、普及教育活動などを行っています。

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
タンチョウとの共生を目指す当会の活動に、ぜひご支援をお願いします。
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寄付の金額により、ご希望に応じて野鳥グッズをプレゼントしています。プレゼントが不要の寄付もお選びいただけます。
皆さまのご寄付は、タンチョウとその生息地を守り共生を目指す活動をはじめ、自然を守るさまざまな活動の資金になります。シマフクロウ、チュウヒ、シマアオジなど絶滅危惧種の野鳥たちの保護活動のほか、身近な野鳥たちの調査研究、野鳥と自然の大切さの普及啓発活動などにも使われます。
ツバメを見守っているようすを、ブログ「ひなこのお散歩日記」にてご紹介しています。
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古舘製麺所

フラワーショップすがわら

道の駅いたこ

東武鉄道株式会社
高坂駅、森林公園駅

大多喜町立西小学校

柏の葉T-SITE

東急電鉄株式会社

河内じばさん

浅の川温泉 湯楽

DNP田村プラスチック株式会社
萩原工場

中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋株式会社

グループホーム秋桜の里
特別養護老人ホーム一晃
特別養護老人ホーム光楽苑

株式会社ぎゅーとら
ラブリー藤里店

多気町立勢和中学校

京都上里郵便局

メルカロード宇治川
(宇治川市場商店街連合会)

欧和食ライン

ちゃあちゃんのお弁当屋さん

湯梨浜町立東郷小学校

株式会社久保アグリファーム

社会福祉法人守里会
初音保育所

武市勝之さん(農家)

八幡浜市立神山小学校

松山認定こども園星岡

もろおか市場

春日北公民館

佐世保俵町商店街協同組合

熊本県立小国高等学校

降水量が少なく渇水の多い香川県では、古くから雨水を利活用するため、多くのため池が造られてきました。
全国一の密度を有する香川のため池は、里山と共に地域の人々の生業(なりわい)と結びついた独特の風景となっています。
ため池は、田んぼの水を確保したり、洪水を調整したりする機能のほか、生物相を豊かにする水辺としての働きを併せ持っています。また、農業のサイクルに合わせて水位は変動し、毎年または数年に1度、「池干し」が行なわれます。このように「適度に管理する」という人の営みが池の機能を維持するとともに、生態系のバランスにも寄与しています。
このような環境は、順次いろいろな池で池干しが行まわれる秋から冬場にかけて、特に水辺を好む旅鳥や冬鳥に安住の場所を提供しています。しかし、再生可能エネルギーの導入加速化の必要性が叫ばれる近年、太陽光発電装置が設置される池が増えてきました。特に、その効率性から比較的大きな池が開発されるケースが増えています。これによりシギ・チドリ類やカモ類、サギ類などに影響が出ています。
クリーンなエネルギー源の確保は重要なことですが、先人が長い年月にわたって積み上げてきた讃岐平野のため池と里山の循環サイクルは、今後とも守っていきたいものです。
香川県一円
池、田んぼ/農耕地
1月、2月、3月、10月、11月、12月


水草の多い池ではカイツブリ、バンなどが繁殖しています。ミサゴは年間を通して見られ、出会える確率も高いです。
水を抜いた池では淡水湿地を好むイカルチドリ、コチドリ、タゲリ、アオアシシギ、ハマシギ、ツルシギ、トウネン、セイタカシギなどのシギ・チドリ類、マガン、ヘラサギ、クロツラヘラサギ、ナベヅルなどの大型の野鳥や、タヒバリ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイなどの小鳥類も立ち寄ります。また、近年はコウノトリの冬季の餌場、休息地となっています。
丸亀市田村池、八丈池、大窪池、金丸池、善通寺市前池、高松南部の小田池、坂瀬池など冬季に水を湛えた池には、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ミコアイサなどのカモ類や、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、オオバンなどの水鳥が多数渡来します。特にミコアイサの飛来数は、近県に比べて多くなっています。ミコアイサは丸亀市宝憧寺池(ほうどうじいけ)、新池、大池、高松市坂瀬池、平田池などにやってきます。

高松市 小田池(右側が太陽光パネル)

高松市 坂瀬池
ため池近くの道路の多くは非常に細くなっています。車の走行には十分注意してください。また、駐車する位置も、地元の方の通行に支障をきたさないよう、十分注意してください。
日本野鳥の会 香川県支部については、以下をご覧ください。

広島県鳥類目録(2024)340種中、八幡川(やはたがわ)河口付近で、海鳥を中心に約200種が観察されています。広島市西区と佐伯区の間で広島湾に注ぐ八幡川の河口は、多くの野鳥が集まる場所として知られてきました。かつては、汽水域に繁茂するアオサを主食とするヒドリガモが3,000羽いる場所として知られていました。
1980年代に入ると都市化の進展に伴い、広島港五日市地区湾整備事業による埋立て計画が生じました。埋立ては、河口干潟・前浜干潟の自然環境を保全するため、人工干潟・野鳥園の設置を前提に実施されました。人工干潟は1991年造成され、沈下対策の2期工事が2006年に施工されました。以来、日本野鳥の会広島県支部では、沈下計測や野鳥の飛来モニタリングを、継続して行なっています。埋立地内に設置される野鳥園は、埋立て造成地の利用とセットとなったため、今後(2025年以降)展開される見込みです。
日本野鳥の会広島県支部が発足した1981年の第1回探鳥会から、八幡川河口で毎月1回定例探鳥会を開催しており、広島県を代表する探鳥地です。広島県西部に位置し、100万を超える人口がある広島都市圏からアクセスが容易な地でもあります。今後開設される野鳥園とともに、河口に集まる多くの野鳥を身近に観察できる瀬戸内海広島湾の河口干潟で、ガンカモ類、シギ・チドリ類、サギなど水鳥を中心とした多数の野鳥を身近に観察できる場所です。
広島県広島市佐伯区五日市町
海、干潟、川/河原、池、草地
1月、2月、3月、4月、5月、8月、9月、10月、11月、12月


干潟を利用する代表種はシギ・チドリ類ですが、八幡川河口で観察されるシギ・チドリは4月末から5月初めの時期を除いては多くはありません。八幡川を代表するガンカモ類はヒドリガモが代表種でしたが、近年はオカヨシガモ、マガモ、オナガガモ、カルガモ、ヒドリガモと5種の陸ガモが各々100羽前後、河口干潟で越冬します。人工干潟の水面では、潜水ガモのスズガモ、ホシハジロの300羽以上の群れが、10月から4月に越冬します。冬季には、カンムリカイツブリやユリカモメ、カモメ、ウミネコ、セグロカモメのカモメ類4種と、近年多数のカワウの群れが見られます。夏のヨシ原では、オオヨシキリや近隣のツバメが集まる集団ねぐらが観察できます。
八幡川の西10km、廿日市(はつかいち)市に位置する野鳥飛来地です。支部の定期的な探鳥会を年2回程度開催しています。前浜干潟に生息する野鳥が観察できます。おすすめは春秋のシギ・チドリ類と冬のガンカモ類です。満潮時には、牡蠣の幼生を抑制する棚「カキひび」の上で羽を休める、多数のユリカモメやハマシギ等が観察できます。

宮島の大鳥居
御手洗川の対岸の世界遺産「宮島」は、紅葉谷公園、大元公園、包ヶ浦、標高535mの弥山(みせん)などで、山地の野鳥を観察できる見どころが多い場所です。大鳥居を望むコースをめぐる探鳥会も、年2回程度開催しています。
日本野鳥の会 広島県支部については、以下をご覧ください。

斐伊川(ひいがわ)河口を含む宍道湖(しんじこ)西岸一帯は、日本国内におけるマガン、ヒシクイ、コハクチョウなど大型鳥類の集団越冬地(西限)であり、西日本における極めて重要な野鳥生息地となっています。
斐伊川は出雲神話に出てくる暴れ川で、本流から枝分かれし、中国山地から多くの土砂を運び、出雲平野を造った河川でもあります。その自然豊かな河口付近を中心に、宍道湖を含む湿地、水田を主とした農耕地帯があります。現在は河川管理の方法も進み、暴れる川にならないよう河口部で年間数万㎥の土砂を河川外へ運び出しています。
この工事の時期・範囲・工法などは、維持管理をしている国土交通省と日本野鳥の会島根県支部が継続協議をし、少なくとも大型の水鳥のガン類、ハクチョウ類などの冬鳥の群れが飛来する10月から翌年の3月までの期間は、野鳥たちの生息に悪い影響を与えないように、樹木の伐採・ヨシ原の刈り取り・土砂の移動などの工事は控えるようにしています。
2005年11月には、宍道湖・中海が「ラムサール条約」の登録湿地となりました。自然環境を守りつつ共生を図る「賢明な利用」を通して、その恵みを後世に伝えていくことが求められているところです。
また、国土交通省が主宰する「斐伊川水系水鳥プロジェクト」の中心地域で、大型水鳥類を指標とする豊かな自然環境を未来に繋げる斐伊川水系生態系ネットワークの形成をめざしています。
日本野鳥の会島根県支部では、例年12月と1月に斐伊川河口部で探鳥会を開催しています。一帯は斐伊川河口から宍道湖西岸にかけて護岸の管理道や農道があり、河川内や宍道湖、その周辺の農耕地では、四季を通して125種前後の野鳥が観察できます。
島根県出雲市島村町/灘分町
湖、川/河原、池、田んぼ/農耕地、草地
1月、2月、3月、10月、11月、12月


冬鳥のハクチョウ、ガンカモ類と入れ替わりに、ツバメ、オオヨシキリ、セッカなどの夏鳥が訪れ、渡り途中のシギ・チドリ類、コヨシキリ、ノビタキなどの旅鳥が、水田や草地、砂州で採餌し休んでいる姿が見られます。
河口部から宍道湖にかけては、多くのカモ類を見ることができます。マガン、コハクチョウのねぐら立ち・ねぐら入りも観察できます。日暮れ時、近年飛来数が増えた数万羽のトモエガモが、餌場に向かう時の独特な飛び方は見応えがあります。猛禽類は、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ハイタカ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサなどが見られます。また葦原ではサンカノゴイも観察できます。
ミサゴは河川、宍道湖上空で探餌し、急降下して足から水面に突っ込み、魚を捕まえます。年間を通して飛来するようになったヘラサギは、浅瀬で餌をとり、砂州などで休んでいます。


斐伊川河口から1㎞あまり北に「宍道湖グリーンパーク」があります。ここは、野生動植物の保護繁殖や人と自然の調和した自然環境の保全を目的として、島根県で活動する「公益財団法人ホシザキグリーン財団」が運営しています。ビオトープとしての機能も意識された公園で、宍道湖の湖岸に隣接する野鳥観察舎の2階には望遠鏡が備えられていますし、常設展示のほか季節にあわせた展示や野鳥だけでなく、昆虫や植物などをテーマにした企画展(夏・冬)などもあって楽しめます。
入園は無料で、開園時間は9:30-17:00。定休日は毎週火曜(祝日の場合翌平日)と年末年始です。
施設の利用やイベント情報の詳細はホームページをご確認ください。
日本野鳥の会 島根県支部については、以下をご覧ください。