日本固有種のアカコッコは、主要な生息地の1つ三宅島で、人が放したイタチなど新たな捕食者の出現や、噴火や離農による生息環境の変化などが影響し、大きく数を減らしています。こうした環境の変化は、アカコッコだけでなく島の生物多様性にも大きな影響を与えています。当会は、アカコッコを島の自然保護のシンボルとして、その保護に取り組んでいます。
アカコッコの生息地(赤塗の地域で繁殖)
照葉樹林や二次林を好み、アシタバ畑や民家の庭など人に近い環境も利用します。地面に降りて落ち葉や土の下の昆虫やミミズなどを食べるほか、樹上で果実も食べます。木の上に草や苔でお椀状の巣を作り、一腹あたり3~4個の卵を産み、雌雄が協力して子育てをします。
アカコッコの親と巣立ちビナ
重要な生息地の1つが伊豆諸島の三宅島です。一年を通して生息していますが、季節により見られる数が変化するなどそのくらしにはまだ謎が多い鳥です。
アカコッコは、島という捕食者となる哺乳類がいない環境でくらしていました。ところが、三宅島では、農業被害を減らすため、ネズミの捕食者となりうるイタチを放しました。
1970年代に行なわれた公式放獣は、イタチの導入による島の生態系への悪影響が懸念されたため、オスに限るなど、慎重に行なわれました。しかし、非公式に行なわれた80年代の再放獣では、メスも一緒に放たれたため、イタチが島内で定着、増加するという事態を招きました。
こうして増えたイタチは、アカコッコの新たな捕食者となり、アカコッコは絶滅の危機に瀕するほどに減少してしまいました。
アカコッコの捕食者となったイタチ
火山の島でくらしてきたアカコッコにとって、噴火による個体数の増減は自然の流れなのかもしれません。三宅島では2000年の噴火後にアカコッコの個体数が減少しましたが、時を経て徐々に森に緑が戻り、アカコッコが少しずつ増えてきています。それでもイタチ導入前に比べると、四分の一ほどの数しかいないと考えられています。次に何かアクシデントが起きた時に、アカコッコがどれくらい持ちこたえられるかが心配されます。
当会は、アカコッコの個体数の増加を目的に、2012年から重要な生息地である東京都三宅島を中心に調査や環境整備、普及教育活動などを行なっています。
当会の活動が後押しとなり、2020年にはアカコッコが「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」による「国内希少野生動植物種」に指定され、国が保全のために必要な措置を講じることができるようになりました。
こうした当会のアカコッコの保護の取り組みは、カンムリウミスズメの保護の取り組みと共に、三宅村の小学校の副読本にも掲載されています。
アカコッコの保護活動は、日本野鳥の会へのご寄付などを基に活動を進めています。アカコッコをはじめとした島の生きものたちのために、ご支援をお願いします。
●ご寄付の種類や方法については資料またはホームページをご覧ください
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●アカコッコのグッズを購入することで活動を応援。
※本事業は、手島基金と多くの方からのご寄付を基に活動させていただいています。