春になると飛来するツバメですが、いくつかの調査ではツバメが減少しているという結果が出ています。
環境省が行なった繁殖分布の調査では、1974年から1978年までと、1997年から2002年までの調査結果が報告されています。結果を比較すると、ツバメの繁殖がかなり少なくなっていることがわかります。
大阪のすいた市民環境会議では、吹田市内のツバメの巣の調査結果が報告されています。1998年と2010年の調査結果を比較すると、3分の1に減ってしまいました。
石川県健民運動推進本部では、昭和47年から小学生による『ふるさとのツバメ総調査』が行なわれています。この調査では、個体数や巣の数だけではなく、県の世帯数や米の作付面積とあわせて集計されており、年を追うごとにツバメが減っていることがわかります。
ツバメが減少している背景は以下の要因が考えられています。いずれも、私たち人間の生活と深いかかわりがあることがわかります。
身近だった里山の自然が宅地化などで減り、農業の衰退により水田や耕作地が減少し、ツバメのエサとなる虫が少なくなっていることが考えられます。エサの減少は、子育ての成功率にも影響します。
ツバメは民家の軒先などに巣を作りますが、最近の西洋風家屋では軒のないものや、壁面が加工されて巣が作りにくいものもあるようです。巣を作る環境が減ってしまい、その結果、繁殖が困難になりました。