横浜自然観察の森

横浜自然観察の森ネイチャーセンター

横浜自然観察の森は、環境庁(当時)の自然観察の森事業の第一号として横浜市によって整備され、1986年3月27日に開園しました。日本野鳥の会は1983年の基本計画の段階から、横浜市からの委託によりこの施設に関わり、開園後も業務委託(後に指定管理)という形で継続して運営に関わっています。当会レンジャーは市の委託を受けて自然観察センターに常駐し、横浜市、そしてボランティアグループ「横浜自然観察の森友の会」の三者が協働で、管理・運営を行っています。

この場所は1960年代にミニゴルフ場建設の計画があり、伐採や造成が行われました。しかしその後、1969年、首都圏の緑を守るための「首都圏近郊緑地保全法」により、円海山一帯が緑地保全の対象になったことなどから、ゴルフ場建設は中止となります。その後、横浜市は1973年に一帯の緑地を風致地区に指定したり、複数の市民の森を設置するといった保全政策を展開。自然観察の森設置へとつながってゆきました。

2026年11月29日(日)開催 開園40周年記念
「森の生きもの学会~トコロジストが見つけた、足元のたからもの~」

自然環境

横浜自然観察の森やその周辺環境について解説。緑地が減少する都市にとって貴重な環境であることが見えてきます。

活動内容

自然にふれあうことで関心をもってもらい、自然を守る仲間を育てる教育活動や、科学的な視点で環境を保全するための調査、自然環境を維持するための管理について解説します。


変化していく友の会とレンジャーの関係

1988年に横浜自然観察の森を支えるボランティア組織として設立された「横浜自然観察の森友の会」は、現在、約150名の会員によって運営されています。開園当初は、友の会会員向けの行事のみを開催しており、レンジャーを中心にプログラムを作り、友の会にサービスするという関係でした。また、会報の編集や会員管理、会員間をつなぐ役割といった友の会の事務局をレンジャーが担っていました。

100人ほどのメンバーから始まった友の会ですが、他に同様の施設がなかったことや会員向けの行事を多く開催していたこともあり、発足から5年後には会員数が400人を超えるほどになりました。しかし同時に、運営を担う人材不足という問題を抱えます。その解決策として「関わるメンバー自身で運営をする方針」に転換しました。これによって、人が増えれば増えるほど運営も拡大していくしくみができたのです。

現在は、事務局の運営を友の会が担い、レンジャーは友の会のプロジェクトをサポートしながら全体を調整する役割を担っています。

野鳥の会レンジャーと共に創る魅力的なフィールド

レンジャーの想い

2026年、開園40周年を迎えた横浜自然観察の森。その誕生までには、開園前から多くの団体や個人の皆さんの支えと協力がありました。ここでは、開園当初の様子や忘れられない出来事について、初代チーフレンジャーの川村研治さんにお話をうかがいます。40年という長い歳月を経た今、川村さんはどのような思いを抱いているのでしょうか。また、現チーフレンジャーの古南が、これまで受け継がれてきた活動や自然環境を、どのように未来へつないでいくのか、その展望を語ります。

横浜自然観察の森が生まれたころのこと(初代チーフレンジャー 川村 研治)


初代チーフレンジャー
川村 研治

1986年1月のある夜、私は福島市小鳥の森でハレー彗星を探していました。小さくぼんやりとした光のかたまりを望遠鏡で見ると、長い尾を引くほうき星が姿を現し、皆で大喜びしたのを思い出します。ハレー彗星が日本から見えなくなるころ、私が横浜に転勤することを知っていたボランティアの人たちが集まってくれていたのでした。

開園ポスターの衝撃
開園準備の中でも活躍していたのが六浦勉さん。植物や昆虫について豊かな知識をお持ちでした。開園記念展示や行事も六浦さん自身が企画・作成・運営を担っていました。「開園のポスターを作った」と見せてくださったのは自筆の水彩画に文字を入れた作品でした。ウソが枝にとまり、コサギの足元にはママコノシリヌグイが咲いています。図鑑の絵のように正確で上手な絵ですが、季節や環境を考えると変です。どうコメントして良いか戸惑っていると、六浦さんが笑って言いました。

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横浜自然観察の森の辿ってきた道(チーフレンジャー 古南 幸弘)


チーフレンジャー
古南 幸弘

「横浜に新しくできるサンクチュアリで、レンジャーとして働いてもらいます」日本野鳥の会に採用が決まって、上司から電話で任地を聞いたときに、最初は意外な感じがしました。

私の学生当時、サンクチュアリと言えばウトナイ湖サンクチュアリのイメージが強く、原生的自然環境下で水鳥のフライウェイの中継地、草原性鳥類の繁殖地、そして絶滅のおそれのある鳥類の生息地を守っている場所でした。そんな場所が、大都市、横浜のどこにあるのだろう?

港町のイメージが強い横浜市ですが、実際に赴任してみると、市内には農家がかつて農業のために落葉かきをして肥料をとったり、薪や炭をとったりしていた農用林(雑木林)を中心とした里山環境があちこちに残っていること、特に市南部のJR根岸線の南側には、円海山周辺緑地と呼ばれる広大な緑地が三浦半島にかけて広がっており、市の施策によって営々と守られてきたことを知りました。

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横浜自然観察の森の歴史

横浜自然観察の森の活動年表
1967年 日本野鳥の会が会誌『野鳥』で、理想的な保護地域としてアメリカのサンクチュアリの現状について紹介を始める
1969年 円海山一帯(横浜市)が首都圏近郊緑地保全法により、「円海山・北鎌倉近郊緑地」に指定される
1971年 横浜市が市民の森制度を創設。1973年から1979年にかけて、円海山周辺に釜利谷、峯、氷取沢、瀬上、金沢の5つの市民の森が設置される
1973年 12月 円海山一帯が都市計画法に基づき横浜市により、緑豊かな生活環境の形成を目的とした風致地区(円海山風致地区)に指定される
1976年 (財)日本野鳥の会がサンクチュアリキャンペーンを開始
1977年 3月 横浜市緑政局が「金沢市民の森基本設計」において、現在の観察の森の区域内にビジターセンターと自然探究路等を整備する方針が掲げる
1983年 横浜市が「横浜自然観察の森基本計画」策定に着手し、 (財)日本野鳥の会に委託
1984年 11月 横浜市により横浜自然観察の森の施設整備計画、事業計画が策定され、第1期整備工事が着手される
1985年 横浜市により第2期整備工事が着手される。横浜自然観察の森運営準備会で、友の会構想について協議
1986年 3月 第2期整備工事が完了。3月27日開園式を開催、自然観察センターオープン。「横浜自然観察の森条例」施行。横浜市は運営業務を(財)日本野鳥の会に委託。
4月 横浜市により第3期整備工事が着手される
1987年 3月 環境庁と神奈川県の補助事業による整備工事がすべて終了
1988年 守山弘さんの著書『自然を守るとはどういうことか』が刊行される。二次的自然と評価されてきた雑木林が、氷河期のリフュージとしての機能している可能性を指摘。つくば市の守山さんの里山研究のフィールドをレンジャーが訪問。
10月 横浜自然観察の森友の会が設立される
1989年 4月 ホタルの保全活動が、環境庁の「ふるさといきものの里」として認定される
1990年 「市民参加による都市林の保全と活用」をテーマとしたメンバー登録制の年間行事「雑木林ファンクラブ」を4月から11回開催。1994年度まで継続して開催
1992年 7月 隣接地に横浜市により市民利用宿泊施設「上郷・森の家」が設置され、市内の小学校4年生を中心とした宿泊体験学習での利用が始まる
1993年 3月 自然観察センターの年度利用者数が初めて5万人を突破する
10月 土浦市の宍塚大池で開かれた「里山サミット」(宍塚の自然と歴史の会主催)にレンジャー、友の会メンバーが参加。雑木林ファンクラブの活動を紹介
11月 友の会が設立5周年行事を開催。友の会が横浜市より「環境保全活動賞」を受賞
12月 名古屋市で第1回全国雑木林会議(雑木林研究会主催)が開催され、レンジャーが参加。雑木林ファンクラブの活動について報告
1994年 友の会会員、当会レンジャー、横浜市職員らによる自主勉強会「グリーンネットワーク21」と重松敏則九州芸術工科大教授による翻訳本「環境保全ボランティアグループをつくるには」を自費出版。原著はイギリスの環境保全団体British Trust for Conservation Volunteer の” Organising a Local Conservation Group”
1995年 雑木林ファンクラブが、独立した市民ボランティアグループとして活動を開始(1996年度から、友の会のプロジェクトとして活動)
1996年 10月 開園10周年行事を開催。「全国自然観察の森運営協議会」第1回が、横浜自然観察の森を会場として開催され、全国10カ所の自然観察の森の運営担当者と環境省自然環境局職員らが出席。調査報告書第1号を発行
1997年 12月 ガイドブック「森の小さなおとしもの」を発行
1998年 10月 友の会設立10周年記念行事として「円海山ネットまつり」を開催。横浜市港北区で第6回全国雑木林会議(よこはまの森フォーラム実行委員会主催)が開催され、友の会会員、当会レンジャー・職員らが参加
2000年 3月 自然観察センターの利用者の累計が50万人を突破。友の会雑木林ファンクラブの活動が横浜市の「保全活動賞」を受賞
2001年 5月、7月、9月、11月 開園15周年行事を開催、保全管理のあり方を検討
6月 友の会雑木林ファンクラブが環境大臣により地域環境保全功労者として表彰される
2002年 友の会と当会レンジャーが、「いきもののにぎわいのある森づくりを考える会」を発足し、保全管理計画を検討(2005年3月まで)
2004年 2月 当会横浜自然観察の森レンジャーや友の会会員らが執筆・制作に参加した「身近な自然を活用した環境教育ティーチャーズガイド」が環境省自然保護局自然ふれあい推進室から発行される
7月 友の会の横浜自然観察の森の案内・調査・環境管理活動が、横浜市の「横浜・人・まちデザイン賞(まちづくり活動部門)」を受賞
円海山周辺の緑地の保全管理計画策定に横浜市が着手。当会のレンジャー等が策定に協力(2007年度まで)
2005年 3月 「いきもののにぎわいのある森づくりを考える会」の成果として、「横浜自然観察の森保全管理計画(2005)」が策定され、横浜市に承認された。全体の目標を「生きもののにぎわいのある森(生物多様性の保全された森)」とし、園内の森林を目標とする林相によって3つのゾーンに区分し、順応的管理の方針を導入した
企業のCSR関連活動への対応を開始
2006年 10月 開園20周年行事「人も生きものもにぎわう森へようこそ〜『観察の森いいとこまるごと体験 Day』」を開催
11月 横浜自然観察の森等を会場として「全国自然観察の森運営協議会」(第11回)が開催される
2007年 円海山周辺の緑地の保全管理計画が横浜市により決定され、「いきものに触れ合える、人もいきものもにぎわう森」が緑地の目的に掲げられる
2008年 環境省生物多様性センター主催のモニタリングサイト1000里地調査への参加を開始。8種目の調査を友の会とレンジャーが分担・協力して継続的に実施
11月 友の会設立20周年記念行事を開催、20周年記念誌を発行
上郷・森の家、金沢動物園との3施設連絡会が発足し、大規模緑地をフィールドにした施設の相互活用、連携行事を開始(2013年度まで)
2009年 4月 横浜市みどり税に基づいた「横浜みどりアップ計画事業」の適用が開始される
レンジャーによる環境管理マニュアルの策定、運用を開始
2010年 3月 横浜自然観察の森を含む区域が、首都圏近郊緑地保全法に基づく「大丸山近郊緑地特別保全地区」に指定される
2011年 4月 横浜市が「生物多様性横浜行動計画(ヨコハマbプラン)」を策定、公表。「緑の10大拠点」が「生物多様性保全推進地区」に位置づけられた。中でも、横浜自然観察の森を含む円海山周辺緑地は生物多様性の宝庫であり、次代を担う子どもたちの体験フィールドとして市民全体で守り・育てる対象(「つながりの森」)と位置づけられた。
6月 自然観察センター利用者数の累計が100万人を突破
9月 横浜市が自然観察センター改修工事に着工(2012年3月完了)
2012年 4月 自然観察センターがリニューアルオープン。記念行事「より鳥みどり」を開催
アニメーション映画『おおかみこどもの雨と雪』が封切られ、全国の映画館で上映される(当施設が主人公の職場のモデルのひとつとされ、2010-11年に取材を受けていた)
「横浜自然観察の森保全管理計画書(2013年3月)」を横浜市、当会、友の会の協働により策定(2013年3月まで)。
2013年 4月 保全管理計画をフォローアップするための事業(保全管理懇談会、実施計画の検討会、勉強会、雑木林管理ゾーンのモニタリング調査等)を開始
2015年 11月 横浜自然観察の森等を会場として、全国自然観察の森運営協議会(第20回)が開催される
2016年 10月 開園30周年記念行事「森へ行こう 横浜自然観察の森の楽しみかた」を横浜市開港記念会館にて開催。横浜市環境創造局より友の会に感謝状が贈呈される
2017年 3月 ブックレット「都市の森の自然保護-横浜自然観察の森の三十年」を(公財)日本野鳥の会から発行
2018年 横浜自然観察の森条例が改正され、指定管理者制度が導入される。友の会設立30周年イベント「親子☆森のミニたたら体験」、記念講演会「円海山緑地成立にかかわる自然史/植物相から見た三浦半島」が開催される
2019年 横浜市により、2020~2024年度の横浜自然観察の森の指定管理者として(公財)日本野鳥の会が選定される
2020年 2月28日~5月31日 新型コロナウイルス感染予防と感染拡大防止のため臨時休館
4月 指定管理者制度が開始される
2021年 4月20日~10月30日 新型コロナウイルスまん延防止のための重点措置、緊急事態措置、経過措置期間のため、来館者が減少。
2022年 1月21日~2月13日 新型コロナウイルスまん延防止等重点措置が実施される
2023年 5月 新型コロナウイルス感染症が5類に移行。これ以降、友の会行事の事前受付等の措置を緩和。
2024年 横浜市により、2025~2029年度の横浜自然観察の森の指定管理者として(公財)日本野鳥の会が選定される
2026年 6月 自然観察センターの利用者累計が150万人を突破
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